どのサイトへ行っても、ドル安を伝えるヘッドラインが目につく。例を挙げれば、「ドル下落で原油は新高値」(AP通信)、「円急騰、東京株式市場大幅安」(ダウジョーンズ)、などがある。とうぜん疑問になるのは、なぜここに来て、ドルの下げ方が急ピッチになったのだろうか?
・金利引下げに、あまりにも積極的なバーナンキ連銀議長
ブレット・スティンバーガー氏(「精神科医が見た投資心理学」の著者)は、こう説明している。
A銀行の定期預金は2%の利息、B銀行の定期は6%の利息なら、あなたは迷わずB銀行を選ぶことだろう。それでは、各国々の金利を比較してみよう。
(注:数値は3カ月の金利)
アメリカ: 1.84%
英国: 5.25%
日本: 0.57%
ドイツ: 3.96%
ブラジル: 11.8%
上記を、3カ月の定期預金と見立てるなら、あなたはどの国を選ぶだろうか?言うまでもなく、利回りの低いアメリカは避けられ、ドルを売って魅力的な国へ資金が移動されているわけだ。
・打たれ強くなった海外の経済
米国経済の減速は、外国経済に悪影響を与えたものだが、最近その傾向が薄れている。その結果、米国経済が下向きになっても、アメリカに大して追従しない外貨が買われるようになった。
・スタグフレーションの危険があるアメリカ
モルガン・スタンレーの、スティーブン・ジェン氏は、こう述べている。
米国がスタグフレーションに襲われることは無いと思う。しかし、今日の減速する経済と上昇する物価を考えると、スタグフレーション懸念があることは否定できない。投資家は、景気後退、不況、インフレといった言葉を極端に嫌う傾向があるから、そのような懸念が存在することだけで十分なドル売りの材料になる。
さて、APのヘッドラインにもあるように、原油の高値更新が続いている。現在の需給を考慮すれば、原油は買われ過ぎ、と言うアナリストが多い。しかし、ナウマン・バラカット氏(マクアリー・フューチャーズ)は、ドル安の進む今日、インフレ対策として海外の投資家は原油買いを選んだ、と語っている。
(参考にしたサイト:http://money.cnn.com/2008/03/03/markets/oil_record/index.htm?postversion=2008030312
http://traderfeed.blogspot.com/2008/03/abandoning-us-dollar-look-at-world.html