現在アメリカが経験している住宅市場のスランプは、ここ20年間で最悪だ、と多くの業界関係者は言う。2008年度も低迷が続く、という意見が既に主流になり、「不動産投資」という言葉は死語になってしまったようだ。
ロサンゼルス・タイムズの記者に、住宅ローンの支払いが困難になったレアンドロ・ヘルナンデズさんは、こんなことを語っている。
住宅ローンから解放されるために、自宅を売りに出しましたが、買い手は全く現れませんでした。仕方ないですから、ローンのことで、銀行へ交渉に行くつもりです。もし、満足できる回答が得られないなら、私は銀行にこう言います。「物件を差し押さえてください。」
住宅ローンの支払いが、一カ月や二カ月遅れているからといって、銀行が家を直ぐに取り上げることはない。ほとんどの場合、住宅が完全に差し押さえになるには、約12カ月の時間が必要だ。ヘルナンデズさんは、当然このことを知っているから、銀行との交渉がうまくいかない場合は、向こう12カ月間無料で現在の自宅に住むつもりだ。
下は、ワコビア銀行の電話会議から抜粋したものだ。
支払い能力があるにもかかわらず、住宅ローンの支払いを意図的に中止する消費者が増えている。理由は、住宅価格の下落で、住宅ローンの残高の方が、現在の住宅市場価格より高いためだ。
バンク・オブ・アメリカの最高経営責任者、ケネス・ルイス氏は、こう述べている。
クレジット・カードの支払いを毎月忠実にしている人たちの間で、住宅ローンの支払いが遅れている人たちが目立ち始めている。こう簡単に、自宅を手放す態度には、ただ驚くばかりだ。
支払うよりも差し押さえを選ぶ、こんな消費者の増加は、言うまでもなく銀行にとって嬉しいニュースではない。しかし、考えてみれば、銀行も消費者と大して違いはない。ご存知のように、サブプライム問題で、多くの金融機関が損を出している。自らの誤った判断であったにもかかわらず、全ては連銀が悪い、といった態度なのだから恐れ入ってしまう。
ある消費者の言葉を記しておこう。
「安い家が見つかったので、信用にキズがつくに前に買うことにしました。引越しが済んだら、古い家のローンの支払いをするつもりはありません。もちろん、そんなことをすれば私の信用歴の汚点になりますが、これでお金を大きく節約できます。」
差し押さえになった住宅
(参考にしたサイト: http://www.latimes.com/business/la-fi-foreclosures23jan23,1,6863107.story?coll=la-headlines-business
http://biz.yahoo.com/ap/080128/economy.html
http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/01/wachovia-homeowners-just-walking-away.html)