先ず、アメリカでの金利引下げに関する、時事通信からの報道を見てみよう。
米連邦準備制度理事会(FRB)が22日、0.75%の緊急利下げを実施したことについて、日銀幹部は「減速感が強まっている米国経済の状況を深刻に受け止めているということだろう。考えが固まれば一刻も早くやった方がいいという判断だと思う」と平静に受け止め、適切な政策運営だとの見方を示している。
気になるのは、「一刻も早くやった方がいい」、という部分だ。バリー・リットホルツ氏(Ritholtz Research & Analytics)も指摘しているが、一週間後にFOMCを控えている段階で、何故わざわざ今日利下げをする必要があったのだろうか?
日経の記者は、こう書いている。
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする米景気の悪化や世界同時株安や米景気の悪化に歯止めをかけるため、29、30日に開く定例のFOMCを待たずに大幅な追加利下げに踏み切った。
一つ細かいことを言えば、連銀から発表された公式声明の中には、「世界同時株安や米景気の悪化に歯止めをかけるため」に利下げした、という表現は無い。「悪化に歯止めをかけるため」、というのは記者の意見であり、実際の声明には、「経済成長下降のリスクが更に高まったため金利引下げを実施した」、と説明されている。
リットホルツ氏の話に戻ろう。
連銀は独立した機関であり、その任務は物価を安定させ、米国の雇用状況を健全な状態に保つ、という二項目だ。しかし、今日の利下げが明確にしたことは、連銀には株式市場を守る、という使命もあったのだ。ヘッジファンドや投機家を保護することは、そんなに重要なことだろうか?
連休でマーケットが休みだった月曜、PIMCO(大手債券ファンド会社)のポール・マカリー氏は、こんなことを言っていた。
大した病気でなければ、先ず予約をしてから、あなたは医者の所へ行く。しかし、緊急な場合なら、あなたは救急車で病院へ運ばれる。今、アメリカが直面しているのは緊急事態だ。米国経済のために、連銀は即刻利下げをするべきだ。
株のヘッジファンドだけでなく、債券ファンドも、不動産担保証券や債務担保証券で大きな損を出している。言い方は悪いかもしれないが、自分で失敗したにもかかわらず、だだをこねる子どものように、ファンドマネージャーたちは連銀に利下げをせがんでいたわけだ。
もちろん、今日の利下げをたたえる声もある。ディック・グリーン氏(ブリーフィング・ドット・コム)もその一人だ。
一見すると、0.75ポイントの大幅利下げは、連銀がパニックしてしまったように映る。しかし、これは適切な処置だ。株安で皆が狼狽しているのだから、どうしても今日のような思い切った方法が必要になる。
なるほど、リットホルツ氏の言うことは本当らしい。マーケット関係者は、連銀を単なる株式市場保護機関、と思っているようだ。
バーナンキ連銀議長
(参考にしたサイト: http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2008012300028
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080122AT3K2200S22012008.html
http://federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080122b.htm
http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/01/a-whiff-of-pani.html