似た状況を設定してみよう。あなたは、いたって健康だった。いつもエネルギーに溢れ、滅多に疲れを感じることはなかった。しかし、今のあなたは違う。爽快感が全く無く、体がいつもだるい。どうしたら良いだろうか?言うまでもなく、そんな時は医者に診てもらうことだ。やる気を出させる言葉を何度も読んで、頑張ろうとする人もいるが、問題は全て心理的なものとは限らない。同様に、経験のあるトレーダーがスランプに陥るのも、心理的要素だけが原因になっているわけではない。
スティンバーガー氏は、ベテラントレーダーがリズムを崩す、三つの要因を指摘している。
1、好トレード機会の減少
あなたは、ある銘柄だけを専門にトレードしているとしよう。以前と比較してみて、一日の値幅に変化はないだろうか?三カ月前までは、一日平均で7ポイント動いていたのに、この頃は4ポイントに減っていないだろうか。このように、ボラティリティの変動は、トレード結果に大きな影響を及ぼす。
2、変化した値動き
短期的な値動きパターンと、出来高を併用したトレードがうまく行かなくなった、と言う人がいる。ようするに、今までに見られなかったパターンが顕著になっているのだが、これはオートマチック・トレードが原因になっていることが多い。人間の手を通さない、100%コンピュータによる売買が、新しいパターンを作り上げている。
3、マーケットの相互関係
以前から言われるように、先物指数に個別銘柄は左右されるだけでなく、新金融商品が増え、マーケットの相互関係がよりいっそう複雑になった。たとえば、ヘッジファンドは上場投信を空売ることが多くなり、そのためその投信に属する銘柄が、一斉に下げるといったことが起きている。
では、どう対処したら良いのだろうか?強調したいのは、さっさと諦めてトレードは全てロボットに任せろ、などとスティンバーガー氏は言っていない。先ず、自分と同様なスタイルのトレーダーの話を聞いてみること。彼らも、あなたのように最近不調なら、間違いなくマーケット自身が変化している。しかし、彼らが今日も好調なら、あなた自身に問題がある。
たとえマーケットが変わっている状態でも、あなたは100戦100敗ではないはずだ。必ず、利益が出ているトレードがあるはずだ。その、うまく行っているトレードを徹底的に研究してほしい、とスティンバーガー氏はアドバイスしている。間違いだけに目を向けるのではなく、あなたの強みに焦点を当ててみよう。
日本では、「精神科医が見た投資心理学」というタイトルで、スティンバーガー氏の本が販売されている。
(参考にしたサイト: http://traderfeed.blogspot.com/2007/12/when-trading-performance-falls-off.html)