と聞くと、来年は株がスランプに陥るような気がしてしまうが、大切なのは状況に応じた投資を選ぶことだ。もちろん、何をどう選ぶかが問題になるから、ここでティム・ミドルトン氏(ファイナンシャル・コラムニスト)の意見を聞いてみよう。
株には、上昇と下降の局面がある。プロはいつもやっていることだが、皆さんには、下げマーケットに対する準備はあるだろうか。言い換えれば、万が一のために備えた保険だ。下げ相場に役立つ、株と同様に売買できる上場投信を紹介しよう。
・Short S&P500 ProShares (SH): 一般的なベアファンドだが、これはS&P500指数が、1%下がると1%上がる仕組みになっている。
・UltraShort S&P500 ProShares (SDS): これも上と同じベアファンドだが、違いはSDSはレバレッジされているため、S&P500指数が1%下がると2%上がる仕組みになっている。(注:レバレッジされていると言っても、投資金額以上の損を出すことはない。)
単純に考えれば、二番目のUltraShort S&P500 ProShares (SDS)の方が得だ。現に、一日の平均出来高を調べてみると、Short S&P500 ProShares (SH)は17万6000株、そして後者は1660万株だから、明らかにSDSに圧倒的な人気がある。
サブプライムで金融関連銘柄が叩かれたが、ミドルトン氏は、こんな例をあげている。
もし、UltraShort Financials ProShares (SKF)に、1月から9月30日まで投資したとすると、14.4%の利益があった。(注: UltraShort Financials ProShares (SKF)は1月から取引が始まった新上場投信。これは、金融セクターが1%下がると、2%上がる仕組みになっている。Ultra(ウルトラ)が付くファンドはレバレッジされている。)
さて、実際には、どの程度の金額をベアファンドに割り当てたら良いだろうか。ミドルトン氏の話に戻ろう。
株75%、債券25%の割合で投資された、計10万ドルのポートフォリオがあったとしよう。株は、米株、外国株、そして新興市場に同等に投資されている。この場合、2000ドルずつ(ポートフォリオの2%)米株用にUltraShort S&P500 ProShares (SDS)、外国株用にUltrashort MSCI EAFE Proshares (EFU)、そして新興市場用にUltraShort MSCI Emerging Mrkts ProShares (EEV)に投資したと仮定しよう。(注:全てウルトラだから、1%下がると2%の利益がある。)
もし、株が10%修正すると、7万5000ドル(75%)の株は6万7500ドルに下がる。もちろん、単純計算になるが、2000ドルずつ投資したウルトラ・ファンドは2400ドルになるから合計利益は1200ドルだ。債券の部分は変化がなかったとして、全部足してみると、2万5000ドル(債券)+1200ドル(ウルトラファンドの利益)+6万7500ドル(10%修正後の株残高)=9万3700ドルだから、ポートフォリオ全体の下げは6.3%だ。
ここが肝心になる。ミドルトンの勧めているのは、ウルトラ・ベアファンドで儲けよう、ということではなく、もしものために備えた保険だ。逆にマーケットが上がってしまえば、とうぜんベアファンドは下がるから、掛け捨て保険を買うようなつもりでベアファンドを利用したい。
ウルトラファンドの種類は下記を参照してほしい。
http://www.proshares.com/funds
ミドルトン氏
(参考にしたサイト: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/MutualFunds/UseETFsToHedgeYourBets.aspx?page=1)