先月の金利引下げで、いっそうドル安が進む形となった。ダウジョーンズ社の報道によれば、第3四半期、ユーロはドルに対して5%を超える上げになり、その上昇率のほとんどは9月に起きている。ということで、ドル安が米国経済に与える影響を探ってみよう。
・「インフレを引き起こす可能性がある」、とハンター大学教授のハワード・チャーニック氏は言う。ドル安は、アメリカへ輸入される製品価格を上昇させる結果になり、特にドルで取引されるオイルの値上がりが顕著になる。オイルが上がれば、とうぜんガソリンの値段も上がる。
現在、アメリカにインフレは存在しない、と主張する人たちは、食品とエネルギーを除いた物価指数を参考にしている。たしかに、それらを除いた指数は最近0.1%の減少だったが、第3四半期、クルード・オイルの値段は15%も上がっている。直ぐに結果が表れなくても、最終的に被害を受けるのは米国消費者だ。
・逆に言えば、ドル安で米国製品が安くなり、ペプシ・ボトリング・グループやナイキなどの国際企業は、既にドル安の好影響が収益に反映されている。
・ドル安で、米国への海外からの旅行者が増えている。もちろん、アメリカ人にとって海外旅行は割高になったわけだから、ヨーロッパ行きをあきらめて国内旅行に変更だ。
・ドル安で、外国企業による米国企業の買収が増える。特に最近、カナダの活躍が目立つ。例を挙げれば、トロント・ドミニオン・バンクによるコマース・バンコープの買収、それにロイアル・バンク・オブ・カナダによるアラバマ・ナショナル・バンコープの買収がある。為替アナリストの、キャシー・リエン氏はこう語っている。「ドル安が更に進めば、海外の投資家たちは、ファンダメンタルズのしっかりした米国企業の買収に積極的になることでしょう。」
・海外企業は、米国企業の買収へ乗り出すだけでなく、低迷が続く住宅市場や他の分野にも進出してくるだろう。注目は、ドルを大量に保有する中国の動きだ。先日、中国は国営投資会社の活動を開始し、既にブラックストーン・インベストメント・グループの大株主になっている。ブラックストーン・インベストメント・グループは、単に株のヘッジ・ファンドで有名なだけでなく、米国不動産投資も積極的に行っている。
更に、こんな疑問もある。もし中国が、急ピッチで米国企業の買収を始めたらどんなことになるだろうか?たとえ、経営方針に変更が無くても、長期的に米国市民に大きな心理的影響を与えることにならないだろうか?
(参考にしたサイト: http://www.marketwatch.com/news/story/story.aspx?guid=%7B5420A9CE-1598-4BC8-A3CB-7422C7BD7195%7D&siteid=rss)