言うまでもなく、客のニーズを一番よく知っているのは客自身だ。そこで、企業はアンケートを取ることになる。私も飛行機の中で、笑顔の乗務員から「アンケートに協力してください」、とパンフレットのようなものを受け取ったことがある。
余談になるが、客室乗務員の持つ雰囲気は大切だと思う。普通なら、街角でアンケートに協力してほしいなどと頼まれても、先ずイエスと言うことはない。アットランダムにアンケートを何人かに配っているだけだと思うが、不思議なことに、乗務員に断っている人は一人もいなかったような気がする。
話を元に戻そう。「問題なのはアンケートです」、と言うのはportfolio.comのフレッド・ライクヘルド氏だ。アンケートの何が悪いのだろうか?さっそく、ライクヘルド氏が挙げる10項目を見てみよう。
1、質問の数が多すぎる。これでは、アンケートを見ただけで回答する気が無くなってしまう。更に、質問数が多くなれば多くなるほど、それを分析するコストも高くなる。
2、はたして、本当に適切な客からアンケートを取っているだろうか?たとえば、100の質問で成り立つアンケートの場合、一体どんな人がそれに応じているのだろうか?忙しい人は、いちいち100の質問に答えている暇は無い。しかし、こんな忙しい人ほど、アンケートの重要な対象になるのではないだろうか?
3、アンケートは単なる統計にすぎない。たとえば、Aさんが不満を表明していたとしても、会社側からは、Aさんに対して何らかの配慮があるわけではない。
4、電話でのアンケートは、アンケートというのは名ばかりで、売り込みの電話であることが多い。
5、アンケートの結果、客の満足度が高いということが分かっても、これは会社の収益とほとんど関係が無い。統計によれば、客はどんなに製品に満足していても、他社の製品も試してみるものだ。
6、アンケートを企画する会社は、業種に関係なく、同様な質問を用意する傾向がある。銀行と航空会社のアンケートが、本当に類似した質問で構成されて良いものなのだろうか?
7、質問の形式に問題がある。イエス、ノーで回答するもの、選択肢型などあるが、どれも完璧なアンケート方法ではない。
8、客のニーズや満足度は簡単に測定できるものではない。製品に対する満足度は抜群でも、客は店員の応対、アフターサービスの全てに満足しているだろうか?
9、電話などのアンケートが逆効果になり、客はその会社の製品を使うことを止めることもある。
10、アンケートのお陰で、会社が大きく改善された、という話は聞いたことがない。
(参考にしたサイト: http://www.portfolio.com/resources/insight-center/2007/09/12/Reasons-You-Dont-Understand)