だれもが、バリー・ボンズやアレックス・ロドリゲズのような大打者になれるわけではない。現実は、メジャーに入ったものの、全く芽が出ないケースの方が多い。
野球の場合なら、高校、大学、マイナー・リーグ、そしてメジャー・リーグという順番で登っていく。言い方を換えれば、目的地に行き着くまでに、何回かのテストがある。しかし、デイトレーダーは違う。いきなり、プロたちの競うメジャー・リーグに参戦だ。
ここで、「The Psychology of Trading (トレードの心理)」の著者、ブレット・スティーンバーガー氏に届いたメールを紹介しよう。
トレードで、大きな成功をつかみたい、と思っていました。手数料や経費を引いた後、たしかに利益は出ていたのですが、現状の生活スタイルは、私の夢から大きくかけ離れています。それに、この程度の収入では、家族を満足させることもできません。
おそらく、これがプロのバスケットボール選手が感じていることなのでしょう。大学時代は、チームのスターとして活躍したのですが、プロの世界では、思ったような成績をあげることができません。ようするに、プロ・チームの中でエリートになれなかったのです。でも、だからと言ってプロでの成功を諦めたくはありません。
ここで思い出すのは、ボブ・ナイト氏です。氏は大学時代、バスケットボールのエリートでしたが、プロで大きな活躍をすることはありませんでした。結局プロ生活に見切りをつけ、結果的には、大学のバスケットボールコーチとして大成功をおさめました。このように、夢を実現できなかった人たちは、どこかで見切りをつけて、他の分野へ進んで行くのです。
私にとってトレードは、人生の縮図のようなものでした。単に欲や恐怖だけでなく、様々な感情を経験しました。しかし、トレードの夢が消えた今日、気が重くなっていることは事実です。問題は、トレードの経験をこれからの人生に、どう役立てるかです。
このメールに対する、スティーンバーガー氏のコメントを記そう。
「夢が死んだ時、私たちは現実に直面する。つらく厳しい経験だが、これを通して私たちは自分自身を発見する。本当の自分が見えた時、私たちは天職を知ることになるだろう。」
スティーンバーガー氏
(参考にしたサイト: http://traderfeed.blogspot.com/2007/09/when-trading-dream-dies.html)