自社株買い戻しは、本当に良いニュースだろうか?企業が、市場から自社株を買えば発行済み株数が減り、結果的に一株あたりの利益が向上する。と聞くと好材料のように思えるが、こんな報道があった。
ファイナンシャル・ウィークは、50の最も規模が大きい自社株買い戻しを調べた結果、次のようなことが分かった。
1、2006年1月、ディズニーは102億ドルにおよぶ、自社株買い戻しを発表した。その日以来、最高経営責任者ロバート・アイガー氏は、4160万ドル相当の持ち株を売却している。買い戻しが発表される前年、アイガー氏が売った持ち株は560万ドルだった。
2、EMCは1年前、30億ドルの自社株買いを発表した。その日以来、ジョセフ・トゥッチ氏(最高経営責任者)は、475万ドルにおよぶ持ち株を手放している。自社株買い戻し発表以前、トゥッチ氏は持ち株を売却したことは無い。
3、2006年8月、ヒューレット・パッカードは、60億ドルの自社株買い戻しを発表した。それ以来、マーク・ハード氏(最高経営責任者)は、1180万ドル相当の持ち株を処分している。買い戻しが発表される前年、ハード氏が手放した持ち株は100万ドルに達しなかった。
4、メーシーズは、2006年8月、60億ドルの自社株買いを発表した。テリー・ランドグレン氏(最高経営責任者)は発表以来、1290万ドルにおよぶ持ち株を売却している。買い戻しが発表される前年、氏が手放した持ち株は940万ドルだ。
5、2006年5月、ペプシコーラは85億ドルの自社株買い戻しを発表した。その日以来、最高経営責任者(インドラ・ヌーイ氏)は1200万ドルにおよぶ持ち株を売却している。発表の前年、ヌーイ氏が処分した持ち株は、10万ドルにも満たない。
6、バレロ・エネルギーは、2006年10月、60億ドルの自社株買いを発表した。ウィリアム・クリース氏(最高経営責任者)は、総額1810万ドルにおよぶ持ち株を、買い戻し発表以来売っている。買い戻し発表前、クリース氏は、持ち株を手放したことはない。
メガン・ジョンストン氏(ファイナンシャル・ウィーク)は、こんな感想を述べている。
「行動は言葉より雄弁、と言われます。大企業の最高経営責任者は、持ち株を処分するという行動で、自社株買い戻し発表を全く価値のないものにしてしまいました。」
ここで最初の質問に戻ろう。自社株買いは、本当に好材料だろうか?
ロバート・アイガー氏(ディズニー最高経営責任者)
(参考にしたサイト: http://www.financialweek.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070910/REG/70907026)