アメリカ人にとって、忘れることができない9月11日がやって来る。信じられない光景だった。テロリストは、旅客ジェット機を使って、世界貿易センターを襲った。事の重要性を考慮して、一時的に株式市場は閉鎖されたが、世界的な株安を回避することはできなかった。おそらくビンラディンは、株を大量に空売って儲けたのだろうな、と憶測する人たちが多かったが、実は今日、株式市場に似た不審な動きが見られると言う。
言うまでもなく、テロ事件で大打撃を受けたのは航空会社だ。データを調べてみると、事件直前の週に、大量なアメリカン航空とユナイテッド航空(両社はテロに利用された航空会社)のプットオプションが買われていた。簡単にオプションを説明すれば、株が上がると思うならコールオプションを買い、逆に下がると思うならプットオプションを買う。
今回話題になっているのは、航空会社のプットオプションではなく、S&P500指数のプットオプションだ。9月7日(金)、S&P500指数は1453.55で終了したが、これが今月中に700まで下落する可能性はあるだろうか?言い換えれば、9月21日(9月限が切れる日)までに、S&P500指数が半分以上の価値を失う確率はどの程度あるだろうか?
回りくどい言い方をしたが、ご察しのように、S&P500指数のプットオプション、9月限の700に異常な出来高があるのだ。どう見ても低確率なトレードなのだが、なぜこんなに遠く離れたプットオプションを買うのだろうか?また何か悪いことが起きるのだろうか?そんなわけで、誰が言い始めたかは分からないが、このプットオプションは「ビンラディン・オプション」と呼ばれるようになった。
下は、7日のマーケット終了時点における、S&P500のプットオプションだ。
S&P 500指数 1453.55 (?25.00)
丸で囲ったのは、オープンインタレストと呼ばれる、未決済になっている契約総数(建玉)だ。オープンインタレストは、現在の指数に近いコントラクトが増える傾向があり、金曜の指数に一番近いコントラクトは、グリーンの丸で囲った、9月限1450だ。青の丸もオープンインタレストが多いが、金曜のマーケットでS&Pが25ポイント下げる前は、そこが最も指数に近いコントラクトだったからだ。赤丸は、9月限の1405だから現在の指数値から離れすぎているため、24968とオープンインタレストが少ない。それでは、9月限700を見てみよう。
オープンインタレストは、何と116961もある。9月限1405の、ほぼ5倍に相当する数値だ。オプションのマーケットメーカー、ダン・パーパー氏は、こう述べている。「別に不思議な現象ではありません。おそらく、ボックス・スプレッドでしょう。」ボックス・スプレッド?また勉強することが一つ増えた。
(参考にしたサイト: http://www.thestreet.com/newsanalysis/optionsfutures/10377063.html