三分の二以上のアメリカ人は、米国経済は既に不況に陥っている、または来年中に不況に襲われる、とNBCニュースのアンケートに答えている。低失業率、おだやかな経済成長が続くアメリカなのに、どうしてこうも消費者は悲観的なのだろうか?
最近のニュースを見ていたら、将来が不安になっても当然だ。ヤフー・ファイナンスに掲載された、ベン・スタイン氏のコラムを参考に、話を進めていこう。
・住宅市場の低迷が毎日のように報道されている。先ず、理解しなければいけないのは、住宅市場が米国経済を占める割合は約5%だ。住宅市場が15%下落すれば、米経済は0.75%の被害を受けることになる。もちろん、無視できる数字ではないが、これだけではアメリカを不況に陥れることはできない。
・サブプライム融資問題は報道されているほど悪くない。住宅ローンの20%がサブプライム融資により、その中の20%が月々の支払いに遅れている。言い換えれば、全住宅ローンで問題があるのは4%だけだ。たとえ支払いが遅れていても、実際に家を差し押さえられてしまうのは、0.5%から2%にすぎない。住宅ローン会社は、既に手数料などで十分儲けているから、家の差し押さえが原因で大打撃を受けることはない。
理解できないのは、アメリカのサブプライム融資が原因となって、メキシコやタイの株式市場が下げた、という報道だ。断言できるが、米国のサブプライムと外国の株式市場を結びつけるものは何もない。明らかに、投機筋が作り上げたパニックとしか思えない。
・クレジット・クランチ(金融収縮、信用収縮)が資金の調達を困難にし、企業買収が減る、と頻繁に報道されている。現在のアメリカは、本当に深刻なクレジット・クランチを経験しているのだろうか?答えは「ノー」だ。もし、マスコミの言うことが正しいなら、ジャンクボンド(低格付け債権)の利回りは急騰していなければならない。たしかに、以前のように簡単に資金を手に入れることはできないが、歴史的に見れば、今日の金利は割安レベルだ。
さて、話を元に戻そう。悲観的な将来を予想するアメリカ人は、いったい何を心配しているのだろうか?下記が回答だ。
値上がりする医療費 44%
海外にアウトソースされる職業 34%