6月13日に発表された、小売売上(5月分)は、アナリストの予想を上回る+1.4%の好結果だった。PNCファイナンシャルのエコノミスト、スチュアート・ホフマン氏は、こう語っている。「3月、小売売上が強い数値を示したのは、感謝祭が大きく影響しています。4月、売上が悪くなったのは、ガソリンの値上がりです。今回5月の結果は、米国経済に明るいニュースです。低迷する住宅市場、高ガソリン価格にもかかわらず、個人消費に衰えの兆しはありません。」
個人消費に問題が無いのなら、なぜ小売セクターの雇用状況が悪くなっているのだろうか?「現在の状況を考えれば、どうして小売セクターが、もっと人を雇わないのかが不思議です。本当に、どう説明したらよいか分かりません。小売店経営者から、最近よく聞くのは、新しい従業員を雇うのが難しくなっている、ということです。労働力不足で、求人難が起きているのかもしれません」、とマイケル・ニーミラ氏(エコノミスト)は言う。
バーナード・サンズのアナリスト、リチャード・へースティングス氏は、こう見ている。「小売セクターの雇用が進まないのは、卸し売り値に近い値段で人気の、安売り店が成長しているのが原因です。特に、大型安売り店のビジネスモデルは、コストを節約するために、店員の数は最低限におさえられています。また、ソフトウェアが改善され、小売業者は、いつ従業員を増やすべきかを、統計的に把握しています。」
アウトソーシングも、従業員が伸びない一因だ。仕入れた品物は、小売店の従業員が店の棚に並べるのが普通だったが、最近は、品物の供給者にそれをやらせる店が増え始めた。「小売業者は、大量に在庫を抱え込むことを嫌います。注文する品物数を減らして、供給者に、ある程度の在庫管理を任せれば人件費を削減できます」、とへースティングス氏は言う。
ワコビアのエコノミスト、ジョン・シルバ氏は、オンラインショッピングも、従業員の数を減らす要素になっていると言う。最終的に、小売店に出向いて品物を購入する人でも、あらかじめインターネットで製品情報を入手していることが多い。これが意味するのは、消費者は何を買うかを既に決めているから、店員に聞きたいことは何もない。だから、店員の数を削減できる、とシルバ氏は説明している。
シルバ氏は、こんな質問をする。「皆さんは、最後に良いカスタマーサービスを受けたのは、いつだったか覚えていますか?おそらく、店員を見つけるのに苦労したことでしょう。おまけに、レジには長い列も出来ていたはずです。」
へースティングス氏の言葉を付け加えておこう。「小売業者は、いつも十分な数のレジを開けておく必要があります。少々悪いカスタマーサービスに消費者は我慢できても、レジの長い列を見て、店から出てしまう人もいますから、レジ係だけは、いつも十分な人数を配置することが重要です。」
(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/06/13/news/economy/may_sales/index.htm?postversion=2007061311
http://money.cnn.com/2007/07/05/news/economy/jobs_outlook/index.htm?postversion=2007070510)