ユーロ・パシフィック・キャピタルの、ピーター・シフ氏は、こう語っている。「2007年の終わり頃に、米国経済は不景気に陥ることを予想していましたが、ベアスターンズのヘッジファンドお陰で、もっと早く不景気がやってきそうです。」
少し説明すると、ベアスターンズのような信用の高い機関が、今回のような大損を出すと、銀行などの金融機関が、融資に対していっそう消極的になり貸付金利が上昇する。これは、企業の借入費用の増大につながり、以前のように簡単に資金が調達できなくなるから、最終的に米国経済が減速するというわけだ。
サブプライム融資問題が、最も深刻なのが住宅ローンだ。昔からアメリカでは、どんなに苦しくても、住宅ローンは毎月必ず払え、ということが言われてきた。しかし、ビジネスウィークの報道によれば、サブプライム融資を利用した消費者には、全くそんな考えは無いようだ。
サブプライム住宅ローンで、家を購入した人たちのほとんどは、頭金ゼロそしてローンは変動利率だ。度重なる連銀による金利引き上げ、それに最近の国債利回り急騰で、月々のローン支払いも更に上がり家計に大きな負担になっている。悪いことに、住宅市場も低迷だから、物件は買った時より値段が下がっている。
面白いデータがある。2003年、32%のサブプライム住宅ローンは、支払いが30日以上遅れていた。2006年、その数値は36%に上昇している。しかし同期間、クレジットカードには反対の現象が見られる。サブプライムローンを利用した人たちで、2003年、クレジットカードの支払いが30日以上遅れていたのは32%、そして2006年は24%だ。
なぜ住宅の支払いよりも、クレジットカードの支払いが重要視されるのだろうか?
・住宅の支払いが遅れても、最悪の場合は物件の差し押さえで済む。しかし、個人破産を申請しても、クレジットカードの借金は、そう簡単に帳消しにすることができない。
・住宅の支払いが遅れても、実際に家が差し押さえられるまでは、少なくとも4カ月間の猶予がある。(平均は6カ月から1年)しかし、一度でも支払いが遅れると、直ぐクレジットカードは金利が上がってしまう。
「消費者にとって、クレジットカードは、ますます重要になっています。給料ぎりぎりの生活を乗り切るために、消費者はガソリンから食料品まで、とにかく広くクレジットカードを使っています」、とスタン・オリアイ氏(エクスぺリアン・グループ)は言う。
(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/06/21/news/economy/credit_crunch/index.htm?postversion=2007062114
http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/content/jun2007/db20070620_271294.htm)