国債利回りは、更に上昇するだろうか、それとも、この辺がピークになって一旦下げるだろうか?これが、週末一番の話題だ。2002年以来の高水準に達した利回りは、米国経済に悪影響を及ぼし、結果的に株安を生み出す、という意見を支持する人たちもいるが、こんな統計がある。
過去15年間を振り返ると、国債利回りが10%以上の上げになったことは4回あった。この4回のうち3回は、株式市場の代表的な指数、S&P500は平均で20%を超える伸びを記録した。例えば、1999年、4.6%だった国債利回りは、ほぼ40%近い上昇となり、6.4%に達した。しかし、S&P500は衰えることなく、20%の成長となった。
2003年、利回りは11%上昇し、S&P500は26%増。1996年は15%ほど利回りが上がったが、株式市場は20%の伸びだった。1994年は、国債利回りが、株に悪影響になった年だ。5.8%だった利回りは、34%ほど上がって7.8%に達し、S&P500は1.5%の下落になった。
しかし、指摘したいのは、今日の世界的な金利上昇だ。株だけに限らず、商品、不動産、それに社債などが好調だったのは、低金利を利用して、必要以上の投資資金を簡単に手に入れることができたためだ。金利上昇が、今後も長く続くことになると、肝心な投資資金の調達が難しくなってしまう。流動資金の減少は、言うまでもなく、株安につながる。
クレジット・デリバティブと呼ばれる、金融派生商品の存在も忘れてはいけない。貸付債券や、社債の信用リスクをスワップやオプション形式で売買するのがクレジット・デリバティブだが、最近の大きな国債利回り上昇で、多額な損を出しているヘッジファンドがあるかもしれない。ことによっては、金融市場に混乱を起こすこともありえるから、潜在的な心配材料だ。
12月、4.4%だった国債10年物利回りは、現在ほぼ5.3%ほどだが、これは決して高い水準ではない。過去20年間を調べると、国債の平均利回りは6.2%だ。逆に言えば、今までの利回りは、人工的に低く抑えられていたのではないだろうか?有り余る資金を手にした機関投資家たちは、経済状況を無視して、国債を異常なレベルまで買い進んでしまったようだ。
現在、国債市場に起きているのは、利回りの正常化なら、同様な例を、短期金利に見ることができる。連銀は、長いこと、金利を1%という超低レベルに抑えていた。しかし、金利引き上げ政策が実施され、2004年1%だった金利は、2006年の中頃には5.25%に達していた。その間、S&P500は、年平均で11%の伸びを見せ、上昇する金利が、株式市場を衰えさせることはなかった。
単に、国債利回りの上昇だけに気を取られてはいけない。大切なのは、どの程度の上昇までなら、株式市場は耐えられるか、という質問を考えてみることだ。
(上記は、チェット・カリアー氏の意見をまとめたものです。http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&refer=columnist_currier&sid=avZuivzxHHzc)