先ず、今日の投資家たちが望んでいることを要約しよう。「米国経済は、満足な企業収益をもたらすほどの成長率を保ち、同時に連銀による金利引下げが実施される程度の成長速度であること。」無理な注文だ。
ほとんど0成長になった、今年最初の3カ月間の米国経済状態を見て、投資家たちは、喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのかが分からなかった。弱い経済は、たしかに金利引下げの可能性を高める。しかし、経済が下向きになってしまえば、企業利益に悪影響となり、結果的に株を下落させることになる。
連邦公開市場委員会が、6月28日に開かれる。ここまでのデータを見てみると、第2四半期の経済成長率は第1四半期を上回り、インフレ率も上昇している。言い換えれば、米国経済が上向きになっているのだから、企業収益には好材料だが、金利引下げが実現される可能性は無い。それどころか、逆に、金利引き上げの心配をした方がよい。
既に、インフレの匂いを嗅ぎつけた国債は、ここ2カ月間で0.5ポイント以上も利回りが上がっている。これで、投資家たちは、何度も繰り返された、バーナンキ連銀議長の言葉を思い出したことだろう。「弱い成長率は経済の問題ではない。問題になるのはインフレだ。」
ほぼ全ての投資者は、金利引下げの望みを捨てたことだろう。現に今週、大手金融雑誌は、金利引き上げの警報記事を載せている。最近発表された、連銀からのコメントを読む限り、早ければ今月、遅くとも8月には金利が引き上げられることになりそうだ。手遅れになって非難を浴びるより、連銀は早めの利上げを選ぶことだろう。