先日発表されたレポートによれば、ブッシュ大統領は、ほとんど株に投資していない。現に、大統領の個人資産の中で、株の占める割合は4%ほどだ。残りの96%は、定期預金、マネーマーケット・ファンド、それに国債などだから、正に超保守的と言うしかない。
それでは、副大統領のチェイニー氏はどうだろうか?28%が株に割り当てられているようだが、大統領ほどでないにしても、やはり株投資に消極的な姿勢だ。
もう少し見てみると、副大統領は、アメリカン・センチュリー・インターナショナル・ボンド・ファンド(外国の国債専門ファンド)に投資している。このファンドの特徴は、ドルが下がると上がる仕組みになっている。更に、28%の株だが、その中の7割ほどはドル安で恩恵を受ける外国株だ。
もう一つ目につくのは、副大統領は、インフレを前提にしたバンガードのファンドにも投資している。どうやら副大統領の投資アドバイザーは、ドル安とインフレを、かなり心配しているようだ。
さて、世界的なインフレ懸念が要因となって、先週、米国債が大きく売られ、利回りが約1年ぶりに5%を突破した。 簡単に振り返ってみると、水曜、欧州中央銀行は、金利を3.75%から4%に引き上げ、そして木曜、ニュージーランドの中央銀行は7.75%から8%に金利を引き上げた。更に木曜、米国最大の債券ファンドを運用する、ビル・グロス氏の悲観的なコメントも、国債市場に悪影響となった。
今週のマーケットは波乱な展開になるだろう、とウィンダム・ファイナンシャルのポール・メンデルソン氏は言う。「国債市場、それにインフレ関連ニュースが注目されます。6月限のオプションも、今週で時間切れになりますから、これもマーケットに影響を与えることでしょう。」
株の下げは、一段落したのだろうか?それとも、金曜の上げは一時的なものであり、更なる下落が待っているのだろうか?予想を上回る企業収益、プライベート・エクイティ・ファンドによる頻繁な買収などが主な原因となって、マーケットはほとんど休むことなく、2月の急落後から上昇が続いていた。しかし先週、急騰する国債10年物利回りは、とうとう投資者たちを動揺させた。
「状況は一変しました。米国経済は減速している、ひょっとしたら不景気に陥るかもしれない。そんな見方から、経済は思っている以上に強い。インフレ問題は深刻になり、連銀は金利引き上げに踏み切るだろう、というシナリオを考慮しなければいけません」、とRNCゲンター・キャピタルの社長、ダン・ゲンター氏は指摘する。
国内のインフレを測定する、生産者物価指数は木曜、そして消費者物価指数が金曜に発表される。もちろん、予想を大きく超える数値は、株の売り材料だ。もう一つ、インフレと密接な関係がある、原油価格にも注意を払わなくてはいけない。ゴールドマンサックス、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズの決算発表も控えているから、メンデルソン氏の言うように、今週は一波乱あるかもしれない。
(参考にしたサイト: http://money.cnn.com/2007/06/08/markets/sun_lookahead/index.htm?postversion=2007060911
http://www.kiplinger.com/columns/value/archive/2007/va0605.htm)