さて、水曜は連邦公開市場委員会だが、今回も金利据え置きが予想されている。ブルームバーグのコラムニスト、ジョン・ベリー氏は、相反するデータを考慮すれば、連銀は金利を据え置くしかないと言う。氏の見方を要約してみよう。
現在の状態では、今年後半のインフレ率や経済成長率を読むことは難しい。どちらにしても、説得力のある経済データが見つからないわけだから、連銀は現行金利を変えることは無いはずだ。
あるアナリストは、米国経済が下向きになるから、今年の終わりまでに連銀は金利を4.5%に引き下げることを予測している。しかし、これが現実となるためには、明確なインフレ率の下落が確かめられないといけない。
4月27日の発表によれば、第1四半期の米国GDP(国内総生産)は、2006年第4四半期の+2.5%を下回る、+1.3%という結果だった。たしかに下落しているが、連銀関係者にとって、これはあまり大した意味を持つ数字ではない。問題なのは、GDPが減少していても、国内最終販売は相変わらず+2%のペースで伸びていることだ。
更に、1月2月と大きな上昇を見せた個人消費支出は、3月に変化はなかったが、年間ベースに直すと+2.1%だ。バーナンキ連銀議長は+2%以内に抑えたいわけだから、現在の状態ではインフレが気になる。
しかし、住宅市場に目を移すと、全く違った様子が見える。第1四半期、年間ベースで住宅投資は17%の下落となり、これで3期連続の下げだ。この住宅市場の低迷は、第1四半期の国内総生産から、ほぼ1%を削り取る結果となった。ジャネット・イェレン氏(サンフランシスコ連銀議長)は、「今年の後半、住宅市場が回復しても不思議ではないが、現時点では回復に賭けようとは思わない」、と述べている。
住宅市場とは正反対に、強い成長を示したのは、製造業の動向を見るISM指数だ。先月、この指数は3月の50.9を大きく上回る54.7を記録した。ISMのノルバート・オーレ氏によれば、新規受注、生産高、それに雇用状況も予想以上の伸びになったという。
とにかく現在の状況では、急いで金利を下げる必要はない。連銀のイェレン氏も指摘しているように、国内総生産がパッとしないのに、なぜ労働市場がこうも好調なのかが分からない限り、金利据え置きは続くことだろう。イェレン氏は、更にこう付け加えている。「インフレの先行きが中々つかめません。とにかく今は、注意深く状況を監視して、はっきりした方向性が現れるのを待つことです。」
参考にしたサイト: http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&refer=columnist_berry&sid=ag3qcA2no9nU