こんなに明確なチャートパターンなのに、なぜ買えなかったのだろう?とにかく、買うべきだった、と後悔することがある。しかし、この考え方の危険性を指摘するのは、「The Psychology of Trading(トレードの心理学)」の著者、ブレット・スティーンバーガー氏だ。正確に言えば、一つの単語が悪影響になるのだが、氏の意見を要約してみよう。
トレードするべきだった、と簡単に口にするが、この「するべき(should)」という言葉には気をつけないといけない。こうするべきだった、という表現は期待どおりに行動できなかった自分を示すだけだから、私たちに心理的なダメージを与えることになる。
更に、shouldというボキャブラリーは、間違った判断をする原因になる。例を挙げよう。
・The dollar is plunging, so we should get inflation and the market should drop! 「ドルが急落している。これはインフレを引き起こし、マーケットを下落させるにちがいない。」
・The market is in an uptrend, so we should rally today! 「マーケットは上昇基調だから、今日はラリーがあるはずだ。」
・We're in a growing deficit as a country; we're mired in Iraq; oil prices are skyrocketing, so we should have a bear market! 増大する財政赤字、長引くイラク戦争、急騰するオイル。株式市場は、ベアマーケットに襲われるにちがいない。」
少なくとも、こう結論することができる。優れたトレーダーになりたければ、自分の相場観に固執するのではなく、実際の値動きを観察することが大切だ。
違った例を使って、「WAY of the TURTLE」の著者、カーティス・フェイス氏(タートル・トレーダーとして知られる)は、こんな話をしている。
勝率の高いパターンが現れた時、トレーダーたちは売買を執行する。ベテラントレーダーなら、どんなに良いパターンでも、思惑が外れることがありえることを承知している。しかし、新人トレーダーには、そのことが理解できない。高勝率パターンで損を出すと、パターンそのものを疑い始め、せっかくのトレード手法を捨ててしまうのだ。
新人トレーダーは、マーケットは自分の見方どおりに動くと思っている。特に、時間をかけて出した分析結果なら尚更だ。ようするに、株は綿密な分析さえすれば、正確に値動きが予測ができる、と信じきっているのだから、完全に現実を無視しているとしか言いようがない。もちろん、こんな状態では損切りなどもってのほかだ。
ベテラントレーダーは、マーケットが常に正しいことを知っている。とにかく、自分が何をどう分析しようと、そんなことにマーケットは全く興味がないのだから。
(参考にしたサイト: http://www.wayoftheturtle.com/2007/04/18/truth-or-fiction/
http://traderfeed.blogspot.com/2007/04/most-dangerous-word-in-traders.html)