最高経営責任者の自宅が、豪華であれば豪華であるほど、株価には悪影響になる。これは、アリゾナ州立大学のクロッカー・リュー氏と、ニューヨーク大学のデービッド・ヤーマック氏共著、「株主のマンションはどこ?」と題されたレポートに記されている結論だ。ということは、株を買う前に、先ず最高経営責任者の家を見る必要があるのだろうか?
実際にレポートを読んだマイケル・ブラッシュ氏は、こう語っている。トップが、あまりにも行き過ぎな金額で自宅を購入することは、株価下落を予知している。そもそも、莫大な金額を家に投入することは、自分の地位は永久に安泰、と最高経営責任者が安心しきっていることを示し、こんな状態では株主のことなど全く頭に無い。
実例を見てみよう。
パワー・ワン(PWER): 2000年8月、当時最高経営責任者だったスティーブン・ゴールドマン氏は、カリフォルニア州マリブに大豪邸を購入した。ベッドルームの数は6、浴室は7、そしてプール付きだ。ホームインフォマックスの見積もりによれば、購入当時の価格は330万ドル、そして現在の価格は1320万ドルほどになる。
ゴールドマン氏が豪邸を購入した時、パワー・ワンの株価は86ドル近辺で取引されていたが、年末には39ドル31セントまで下落した。しかし、それで終わったわけではない。2001年の9月には、なんと5ドル50セントの低レベルまで落ち込んだ。株価不振の理由は、インターネットバブル崩壊、と会社側は説明している。
ヒルトン・ホテルズ(HLT): 1990年末、最高経営責任者のスティーブン・ボレンバック氏は、カリフォルニア州ロサンゼルスに、約3エーカーの広大な土地を有する大邸宅を買った。このニュースで空売っていれば、45%ほどの利益を上げることができた。
ダラー・ゼネラル(DG): 最高経営責任者デービッド・パーデュー氏は、2004年、テネシー州ナッシュビルに6ベッドルーム、7浴室付きの大邸宅を建てた。株価は20ドル27セントで年末をむかえたが、翌年から下げが始まる。2006年の8月には、株価は12ドルを記録した。
逆例は、大投資家ウォーレン・バフェット氏が指揮をとるバークシャー・ハサウェイ(BRK.A)だ。1958年、ネブラスカ州オマハの普通の住宅街に、バフェット氏は3万1500ドルで自宅を購入した。株価の方は、1980年以来、+34820%の大成長だ。
ヤーマック氏によれば、に豪邸を買う最高経営責任者は、自分が完全に会社の主権を握ったと信じているから、役員たちの言うことなど全く気にしない。とうぜん、首を切られる心配などもしないから、全力で仕事をすることもない。
過去35年間を振り返って、実際に豪邸を買った最高経営責任者の株を空売り、バフェット氏のように、普通の家を買ったトップの株に投資したらどうなっただろうか?空売り、または買った6カ月後はS&P500指数の伸び率を15%上回り、1年後は29.2%、そして3年後は46%上回っている。「これほど優れた投資方法は、なかなか見つかるものではありません」、とヤーマック氏は付け加えている。
(上記の情報は、次のサイトから得たものです。
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=970413
http://www.slate.com/id/2162989
http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/CEOMansionsAStockIndicator.aspx)