最近、サブプライム融資という言葉を聞かないで一日を終えることはない。サブプライムのスペルはsubprimeだが、これはsubとprimeに分けることができる。subには「下」という意味があり、primeには「第1級の、主要な」といった意味がある。だから、subprimeは「第1級以下」ということになり、サブプライム融資というのは、低所得者やクレジット歴の悪い人たちを対象にしたローンのことだ。
サブプライム融資問題が、低迷する米国住宅市場を更に悪化させる、という報道が毎日のようにされている。しかし、ファイナンシャル・コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏は、「サブプライム融資問題は、既に他のセクターに広がっている」と言う。氏の話を要約しよう。
サブプライムが原因で下げたのは住宅銘柄だけではない。アメリカを代表するオートバイメーカー、ハーレーダビッドソン(HOG)もサブプライムの犠牲株だ。ハーレーダビッドソンは単なるオートバイメーカーではなく、融資会社も経営している。特別注文のオートバイは、2万5000ドル(296万円)もするから、どうしてもローンの必要性が生じてくる。現に、約半数がハーレーから融資を受けているのだが、最近毎月の支払いが不可能になっている人たちが増えている。
とうぜん、サブプライム融資に消極的になるわけだが、そうなるとオートバイの売上が低下することになる。結局ハーレーは、11%から17%増を見込んでいた2007年度の収益を、4%から6%増に下方修正した。もちろん、これは売り材料になり、70ドル以上だった株価は59ドルまで叩かれてしまった。
現在、ハーレーは60ドル70セント前後で取引されている。ブラッシュ氏は、59ドル以下の指値買いを計画し、更に下がるようなら買い足す方針だ。11月につけた75ドルが目標株価に設定され、30%近い利益を狙っている。言うまでもなく、氏のやり方はファンダメンタルに基いたものであり、チャートや指標に頼ったテクニカルな方法ではない。
ファンダメンタル的に、ハーレーが買える理由を、ブラッシュ氏はこう説明している。
・ハーレーには強力なブランドイメージがある。既存するファンを維持するだけではなく、女性、黒人、そしてラテン系市場開拓にも成功しそうだ。
・アメリカ国内だけでなく、海外市場への進出にも積極的だ。前四半期のヨーロッパでの売上は+29%、そして前々四半期の売上は+18%だった。更に、中国やインド市場への進出も計画している。
・キャッシュフローが良好だから、積極的な自社株買戻しが実行されそうだ。
参照したブラッシュ氏のコラムは下記。