米国株式市場は、ベアマーケットの入り口に立っている、と言うのは1987年の暴落を予想したマーク・フェイバー氏だ。過去100年間を振り返ってみると、ベアマーケットは3.3年に一度の割合で起き、1929年から1932年のベアマーケットでは、ダウ指数は89%の大幅下落を記録した。
言うまでもなく、下げ相場と仲良く持ち株を塩漬けにしてしまうのは面白くない。できれば、うまく乗り切りたい。良いアイディアはないものだろうか?さっそく、ダン・カプリンガー氏の意見を聞いてみよう。
投資者にとって、下げ相場を耐えることほど難しいものはない、と氏は言う。特に、暴落に怯えて株を完全にやめてしまおう、と決心する人もいるくらいだから、下げに対する恐怖は並大抵なものではない。しかし、カプリンガー氏は、次の暴落のことなど考える必要は無い、と主張する。
・下げ相場だからといって、全ての株が暴落するわけではない。前回のベアマーケットからも分かることだが、大きく下げたのはシスコ・システムズ(CSCO)やインテル(INTC)などの人気ハイテク銘柄だ。違った言い方をすれば、暴騰していた銘柄ほど、ベアマーケットでの下げは厳しいものになる。逆に、食品銘柄などは上げているから、下げ相場でも伸びる株は存在する。
・下げ相場を乗り切るためには、バランスのとれたポートフォリオを作成することだ。ベアマーケットだからといって、100%株を避けるのは正しい態度ではない。
・ほとんどの場合、下げ相場は思ったほど悪くならない。
さて、話を「米国株式市場は、ベアマーケットの入り口に立っている」、と言ったフェイバー氏に戻そう。
・経済の減速、悪化するインフレを考慮すると、マーケットは2月の高値を突破するより、下げ方向に動く可能性の方が高い。
・銀行、証券会社などの金融関連銘柄の低迷は、マーケットの暗い先行きを示唆している。
・米国政府から発表されるインフレデータには、食料品などの値上がりが、どう一般家庭に影響を与えているかが、適切に反映されていない。実際のインフレ状態は、政府が示すようなおだやかなものではない。
・中国も含めて、新興市場の下落幅は、米国株式市場より深刻なものになる。余剰流動資金が新興市場の大きな原動力になっていたが、反対に資金が引き締め方向に動くと、新興市場は簡単に崩れるおそれがある。
・1月の安値以来、クルードオイルは28%の上昇ラリーを展開した。安いオイルが、株上昇を助けていたが、これからはオイルの下落を見込むことができない。
・サブプライム融資問題の拡大が懸念される。