Saturday March 31, 2007

US Market Recap

米国証券業界、変遷の足跡

オンライントレードが当たり前なり、証券会社が、よりいっそう身近になった。90年代のブルマーケットでも、たしかにオンライントレードをすることができたが、不安定な56Kモデムを使っている人が多かったから、注文の途中に接続が切れてしまう、といったトラブルが起きたものだ。

そこで今日は、NWTファイナンシャルグループのジョン・ジェッサム氏(チーフ・オペレーティング・オフィサー)に、米国証券業界について語っていただいた。さっそく、話を聞いてみよう。(Jはジェッサム氏、Kは筆者)

K: アメリカの個人投資者たちは、一般にどんな証券会社を使っているのですか?

J: 大きく分けると、アメリカには三種類の証券会社があります。現在のように、オンライントレードが普及する前は、「フルサービス」と呼ばれる一種類の証券会社しかありませんでした。ようするに、昔流の証券会社です。電話でのやり取りが中心になり、投資者は営業マンの推薦銘柄を売買するわけです。

ほとんどの場合、営業マンが口にする銘柄は、会社のアナリストたちによって選ばれた銘柄です。フルサービスの証券会社に共通して言えることは、手数料が高いことです。1%から3%ほど取られますから、1度の取引で手数料が600ドルになることもあります。もちろん、情報が確かであれば、投資者たちは喜んで手数料を払います。(注:最高でも手数料は5%を超えることはない。)

オンライントレードの普及に伴って、次々と誕生したのが「ディスカウント・ブローカー」と呼ばれる、手数料の安い証券会社です。先駆けになったのはチャールズ・シュワブです。今では割高に聞こえますが、39ドルの手数料は、当時としては破格な値段でした。

その次に現れたのが「ディープ・ディスカウント・ブローカー」です。これは、ディスカウント・ブローカーよりも更に手数料が安い証券会社です。会社によってマチマチですが、1回の手数料は5ドルから20ドルが一般的です。

手数料以外に、フルサービスの証券会社と、ディスカウント・ブローカーの大きな違いは、銘柄のアドバイスが有るか無いかです。ですから、ディスカウント・ブローカーを利用すると、銘柄選択から情報収集まで投資者が自分で全てする必要があります。

もう一つは、「アセット・マネージメント」を専門にする会社です。これは、投資者が資金をアドバイザーに任せて運用してもらう方法です。売買する度に手数料を請求されることはありませんが、定期的に2%ほどの運用料金を取られます。

K: 最近ジェッサムさんは、新しい証券会社をスタートされましたが、どのタイプの証券会社ですか?

J: 以前は、デイトレードや短期トレードをする人たちを対象にして、ディスカウント・ブローカーをやっていました。NWTファイナンシャルは、引き続きディスカウント・ブローカー業務も行っていますが、フルサービス部門、そしてアセット・マネージメント部門も設けました。ですから、お客様のニーズに合わせて、適切な投資アドバイスができるようになりました。

K: しかし、ジェッサムさんのような会社は、他にも色々ありますよね。わざわざ日本から口座を開設する意味はあるのですか?

J: もっともな質問です。私は大阪に住んでいたことがあります。ですから日本には愛着があり、日本からの皆様により良いサービスを提供しようと思いました。決して大きな会社ではありませんが、日本人スタッフを揃えて、きめ細かいカスタマーサービスを心がけています。今年に入ってからは、日本語のマーケットニュースレターも開始しました。

K:頻繁にトレードする人なら、やはり手数料が一番安い会社の方が得ですよね?

J: トレーダーにとって、たしかに手数料は重要な問題ですが、だからと言って一番安い所を選ぶのが必ずしも正しいことではありません。考えてみてください。皆さんはレストランに行ったら、メニューの中で一番安いものだけを注文するでしょうか?

当社の場合、株の手数料は7ドル99セントから19ドル99セントです。各トレーダーの売買回数によって、手数料は決定されます。しかし、当社の大きな違いは素早いカスタマーサービスです。実際にこんなことがありました。知人の使っている、あるディスカウント・ブローカーのソフトウェアに不具合が生じて、完全に売買ができなくなってしまいました。とうぜん電話したのですが、他のトレーダーたちからの電話も殺到して、なかなか担当者と話すことができません。解決したときには、株価は2ポイントほど逆方向に動いた後でしたから、口座には2000ドルの穴が開きました。当社なら、電話がつながらない、などといったことは起きません。ですからスタッフが、迅速に問題に対処することができます。

K: 今度フルサービス部門や、アセット・マネージメント部門をスタートされたようですが、ディスカウント・ブローカー部門だけを利用しているお客さんにも、株に関するアドバイスが貰えるのでしょうか?

J: もちろんです。他社のディスカウント・ブローカーは、株に関するアドバイスは一切しませんが、当社は違います。スタッフが毎日マーケットの動きを監視していますから、お客様の相談をいつでも受けることができます。とうぜん将来の株価を100%正確に予測するのは無理ですが、タイムリーな情報を提供することができます。

K: ジェッサムさんが、トレーダーに何かアドバイスするとしたら、先ずどんなアドバイスをしますか?

J: 焦らず、ゆっくりとトレードを習得してください。トレーダーとして成長するには、とにかく時間がかかります。熱心な態度は良いのですが、新人トレーダーに共通していることは、売買をあまりにも頻繁にし過ぎます。いきなりデイトレードに飛び込むのではなく、最初は2、3日間株を保有するスイングトレードから始めた方が良いと思います。こうして、ゆっくりと進んでいけば手数料も少なくてすみます。それと、素早い適切な損切りも学んでください。

さて、もし皆さんがトレードではなく、長期投資に興味があるなら、ミューチュアルファンドを利用することを勧めます。これも、ゆっくりと焦らずにコツコツとやって行くことが鍵です。マーケットが上がる時も、そして下がる時もミューチュアルファンドに投資し続けることで、結果的には皆さんも驚くほどの成果を上げることができます。

K: 株やミューチュアルファンド以外には、どんな金融商品を扱っているのですか?

J: 国債、先物、為替、コマーシャルペーパー(CP)、定期預金、とにかく何でもそろっています。

K: 最後に何か一言ありますか?

J: 6月に日本の皆さんのためにセミナーを予定しています。既に、シアトル・マリナーズ球場の特別室を手配し、対ボストン・レッドソックス観戦も計画しています。2日間のセミナーですが、私の自宅でバーベキュー・パーティーもするので、皆さんと楽しい時間を過ごそうと思います。

K: ボストン・レッドソックスですか?それは是非観たいですね!私も行きたいなあ。。。

J: 残念ながら、球場の特別室には20人までしか入ることができません(笑)。さて、今日こうして、皆さんに米国証券事情を説明することができ、とても嬉しく思います。証券会社は、株のデイトレードだけではありません。そこは、皆さんの財産を築き上げる場所です。当社は、フルサービスのディスカウント・ブローカーとして、これからもますますきめ細かいサービスを心がけていくつもりです。

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発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット