先ず、10年物国債利回りの長期チャートを見てほしい。
現在4.51%の利回りは、上昇するチャンネルの底辺をテストしている。ここがサポートになるかならないかが注目されるが、トミー・キルゴア氏は、こんな質問をする。「もし、ブレイクダウンなら、それは株にとって好材料でしょうか、それとも悪材料でしょうか?」
底辺割れが起きれば、とうぜん国債利回りは下がる。そうなれば、一般的には住宅ローンの金利なども下がることになるから、これは株にプラス材料ではないだろうか?キルゴア氏の話を続けよう。
「表面的には、ブレイクダウンは株に良い影響を与えそうですが、はたしてそうでしょうか?先週金曜、雇用統計が発表されました。米国経済は不況に陥る心配はない。だから連銀は、短期金利を早々に引き下げる可能性は先ず無い、と解釈され国債が売られました。そのため利回りが上がり、チャンネルの底辺割れが回避されました。
そして月曜、金曜とは打って変わって、深刻化するサブプライム住宅ローン問題が大々的に報道され、安全な投資を求める資金が国債に集まりました。もちろん、これは利回りを引き下げる形となって、また底辺割れの可能性が出てきました。
もしブレイクダウンなら、利回りはどこまで下がるでしょうか?フィボナッチの数字を使って計算すると、38.2%戻すと4.41%、50%の値戻しなら4.16%、そして61.8%なら3.9%です。こうなれば逆イールド現象が更に進み、米国経済が不況に陥る可能性が高まるだけでなく、連銀は金利引下げに踏み切ることでしょう。(注: 61.8%レベルが崩れた時点で、完全にトレンドが転換した、と解釈するテクニカル・アナリストが多い。)
2月27日のマーケット急落を振り返ると、国債利回り低下は株に好影響、逆に利回り上昇は株に悪影響、と単純に結論することはできません。現に、27日の急落は利回りが下げる中で起き、今年初めの株上昇は、利回りが上がる中で起きています。」
キルゴア氏が少し触れた、サブプライム住宅ローンは予想以上に大きな問題になる可能性がある。ローンの支払いが不可能になった消費者が大幅に増え、サブプライム住宅ローンの大手(全米第2位)、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルは倒産をまぬがれることはできない、と報道されている。(既にニューヨーク証券取引所は、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルの取引を停止した。)
マーク・ザンディ氏(ムーディーズ・エコノミー・ドット・コム)はこう語っている。「今年、サブプライム住宅ローン不履行数は前年度の倍に当たる、80万に達することが予想されます。これらの住宅は差し押さえられ、競売されることになりますから、更なる住宅価格下落を引き起こします。」
失業が理由で、ローンの支払いが不可能になっているわけではないから、アメリカの経済は大丈夫、と反論する人たちもいる。しかし、こんな状況では住宅ローンを積極的に行う金融機関は無いから、やはり米国経済にはマイナスだ。
Wednesday March 14, 2007
US Market Recap
国債利回り低下は株に好影響?
Stocks You Need To Know About
住宅セクター指数
下は住宅セクター指数の週足だ。
サブプライム融資問題が影響して、既にトレンドラインを割っている。これを見る限り、まだ住宅市場は底を打っていない。
サブプライム融資問題が影響して、既にトレンドラインを割っている。これを見る限り、まだ住宅市場は底を打っていない。
Wall Street English
ダウ指数、ほぼ2%の下げ
下げ原因はこう報道されている。
Dow sinks 200 in afternoon trade as worries about subprime market, economy, dollar, spark another wave of selling..
サブプライム融資、経済、ドルなどが材料になって、ダウは午後の取引で200ポイントの下げとなった。
Dow sinks 200 in afternoon trade as worries about subprime market, economy, dollar, spark another wave of selling..
サブプライム融資、経済、ドルなどが材料になって、ダウは午後の取引で200ポイントの下げとなった。