そこで今日は、NWTファイナンシャルグループのジョン・ジェッサム氏(チーフ・オペレーティング・オフィサー)に、米国証券業界について語っていただいた。さっそく、話を聞いてみよう。(Jはジェッサム氏、Kは筆者)
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そこで今日は、NWTファイナンシャルグループのジョン・ジェッサム氏(チーフ・オペレーティング・オフィサー)に、米国証券業界について語っていただいた。さっそく、話を聞いてみよう。(Jはジェッサム氏、Kは筆者)
「成長株が次々と倒れ、どうしたら良いでしょうか、と毎日のように相談のメールが来ます。こんな時ですから、今は高配当銘柄に狙いを絞ることです。悪い相場環境では、株価も下がるから同じことだ、と言う人たちもいますが、少し考えてください。株価の下落は利回りの上昇につながり、買い手を集める結果になります。これが、高配当銘柄が下げ相場で強い一つの原因です。
毎月配当を払う銘柄もありますが、ほとんどの場合、三カ月に一度です。高配当銘柄の選び方を説明しましょう。
1、下げ相場でも、魅力的な利回りとは何パーセントのことでしょうか。私の経験から言えることは、4%以下の銘柄に、投資者は興味を示しません。ですから、4.25%以上の銘柄を選ぶことが大切です。
2、配当金は、過去きちんと払われていたでしょうか?一度だけの特別高配当などもありますから、過去のデータを調べて、落ち度なく三カ月に一度、配当を払い続けている銘柄を選んでください。
3、高配当でも株価の安い株はダメです。15ドル未満の株には、先ず機関投資家が手を出すことはありませんから、15ドル以上の株だけに絞ってください。
4、MSNマネーのストック・スカウターを使って、会社のファンダメンタルを調べてください。AからFまでの成績が付けられていますから、選ぶのはA、B、Cだけにしてください。(右下にFactor Gradesがあり、その直ぐ下にFundamentalが載っている。)
5、不安定なマーケットでは小型銘柄が避けられ、資金は大型銘柄に集まります。ですから、時価総額が少なくとも10億ドル以上ある株を対象にしてください。リスクをもっと下げたいのであれば、50億ドル以上の時価総額が必要です。
6、アナリストのイメージが悪い今日ですが、アナリストの意見は、危険な株を避けるのに役立ちます。全てのアナリストが買い推奨を発表している必要はありませんが、平均スコアが買いである銘柄を選ぶことが大切です。
7、株主資本利益率も重要な要素です。少なくとも8%以上ある銘柄を選んでください。それ以下の銘柄は、将来の配当金が中止される可能性がありますから注意が必要です。更に、一株利益も毎年8%以上の伸びがあることも望ましい要素です。
8、ストック・スカウターにもう一度戻りましょう。ファンダメンタルの下に、テクニカルの成績も載っています。これもA、B、Cだけの銘柄を選んでください。」
さて、以上の条件を満たす銘柄として、ドマッシュ氏は五つ挙げている。これらは投資のヒントであり、買い推奨ではないことをお断りしておきたい。
Alliance Resource Partners (ARLP)
Bank of America (BAC)
Natural Resource Partners (NRP)
Suburban Propane Partners (SPH)
U.S. Bancorp (USB)
先ず、バーナンキ連銀議長の議会証言の要点を記そう。
・最近の四半期を見ると、米国経済成長率は年間で+2%ほどに下がっている。
・経済を減速させている最大の原因は、低迷が続く住宅市場にある。
・悪化するサブプライム融資問題は、住宅市場回復時期の予想を困難なものにしている。
・更に、サブプライム融資は多くの消費者に極度の金銭的負担となり始め、これが米国住宅市場全体に、どの程度の影響を与えるかを現時点で予測することは難しい。
・2006年第4四半期、そして今年度の初め頃を見ると、企業による設備投資支出が減っている。
・住宅市場と製造業が低迷しているが、今のところ他のセクターには悪影響を与えていない。
・米国の主要貿易パートナーの国々の経済は、活発な勢いで現在も成長している。
・インフレ率はゆっくりと穏やかなレベルに向かうと見られるが、逆に上昇する可能性はいまだに残っている。
ヘンリー・ポールソン氏(財務長官)はこう証言している。「住宅市場の冷えこみ、そしてサブプライム融資問題は、他のセクターに悪影響を与えることなく食い止めることができたようだ。特に住宅市場に関しては、このあたりが底だと思われる。」
バーナンキ氏の証言について、バリー・リットホルツ氏(リットホルツ・リサーチ&アナリティックス)はこう語っている。「やはり住宅市場が鍵です。最近のサブプライム融資問題もありますから、ここから住宅市場が更に大きく落ち込む可能性があります。もしそうなってくると、個人消費や雇用にも悪影響になりますから、経済成長率は予想以上に下がることになるでしょう。
しかし、逆のことも考えられます。低迷する住宅市場、上昇するエネルギーコストにもかかわらず、個人消費は思ったような弱さを見せていません。ですから、米国経済は予想以上の成長になることも十分に有りえます。
先日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の声明文は、前回の声明と少し違っていました。これは、連銀が金利引下げの準備ができている証拠だ、と多くの人が解釈しましたが、今日のバーナンキ氏の証言を聞く限り、その解釈方法はあまりにも単純すぎます。」
Jefferies & Co. のアート・ホーガン氏はこう述べている。「バーナンキ氏の証言は、現在の不快なインフレ率を強調しただけです。経済が減速気味だから、もうインフレの心配をする必要は無い、と言う人たちもいますが、今日のバーナンキ氏の話からはそうのような結論を引き出すことはできません。」
こんな意見もある。「バーナンキ氏はあまりにも楽観的です。アメリカの経済は、連銀の思っている以上に落ち込むことになるでしょう。インフレばかりに注意を払うのは危険です。とにかく、もっと積極的な処置がない限り、米国経済成長がストップしてしまいます。」 イアン・シェパードソン氏(エコノミスト)
「ベアになることは決して楽ではありません。マーケットは下がる、などと声高に主張することは、大多数の投資者を敵に回すことになります。考えてみてください。投資銀行、証券会社、人気株番組は、株が上がることをいつも望んでいます。大袈裟に言えば、証券業界は上げ相場が土台になっているのです。
ベアには大きな欠点があります。株投資で、莫大な富を築き上げたウォーレン・バフェット氏は、ベア(売り方)ではなく買い方(ブル)です。毎年、フォーブス誌が発表する長者番付を見ても、売り専門でこのリストに入った人は、いままで一度もありません。ようするに、ベア姿勢では資産家にはなれないのです。
ベアの不利なことばかり述べましたが、なぜ私はベアになったのかを説明します。
株が上がる時と、下がる時を比べてください。どちらの動きが速いでしょうか?下げスピードは、上げスピードを圧倒的に上回ります。2月27日の大幅な下げを思い出してください。たった数時間で、マーケットは500ポイントの下落です。私は気長な投資家ではありませんから、いつも速い方を選びます。
私は悲観論者ではありませんが、心配性です。ですから、株価が順調に上がれば上がるほど心配になるのです。こんなにうまく行くわけがない。ここまでは単にラッキーだったのだ。そろそろ売った方が良いかもしれない、といった調子ですから、私にはベアの素質があるのかもしれません。
目立ちたがり屋だ、と言われるかもしれませんが、私は皆が買っていると買う気が無くなってしまいます。どうしても、多数の意見に反対したくなってしうまうのです。もちろん、90年代のブルマーケットで、人と反対のことをしていたら大変です。
私はテクニシャンです。簡単に言えば、チャートを使ってマーケットの状態を判断します。長期チャートは、声高にマーケットの天井を警告しています。私は、この警報を有効に使うつもりです。
私は、アメリカがスタグフレーションで苦しんだ、70年代に育ちました。ガソリン不足で、あちこちのガソリンスタンドに、長い列が出来ていたことを思い出します。あの頃と比べると、今日のアメリカは富に溢れています。経済の肥満ですから、こんな状態は長続きするとは思えません。
白状しますが、私は90年代のマーケットで、思ったような利益を上げることができませんでした。ですから、今回はベアになって90年代の穴埋めをしたいと思っています。」
実際に自分の資金を使って、長期的な株投資をするなら、三つのステップを踏む必要がある。
1、ストーリー性の高い銘柄に注目する:
心理学者たちが長年にわたって集めたデータによれば、人々は事実である正確な情報よりも、談話や物語性の強い話を長く記憶する傾向がある。これが応用されている例は、古代ギリシャやローマだ。教訓や知恵は教科書的なものでなく、神話のような形で人々に語り継がれている。
株の場合にも同様なことが言える。人々を興奮させる、ホットな話題性に富んだ銘柄は、投資者たちに極めて強い印象を与える。単に、強い印象を与えるだけなく、投資者から投資者へとストーリーが語り継がれ、多くの人々がこの銘柄に引き付けられる。
一株利益が15%上がった。チャートに明けの明星パターンが出来ている、などと人々を説得する方法もあるが、たとえそれが事実であったとしても、ホットなストーリーにはかなわない。多くの投資者にとって大切なのはストーリーであり、事実を示す情報ではない。
2、単にストーリーだけでなく、本当に美味しそうな肉もタップリついていること:
Manor Care (HCR)が良い例だ。高齢化する社会を反映して、Manor Careのような高齢者福祉施設を経営する会社が注目されている。更に多くの施設が要るのだが、政府からの規制があるから、簡単に誰でも進出できる業界ではない。そんなわけで、ストーリー性の面でManor Care に問題は無い。
美味しそうな肉に当たるのが情報だ。Manor Careの場合、第1四半期の収益成長率は27.5%が見込まれ、業界平均の+5.5%を大きく上回っている。今年全体で見ると、2ドル77セントの一株利益が予想され、2008年度は3ドル14セントに成長することが予測されている。
3、客はどこにいる?:
ホットなストーリー、美味しそうな肉、その次に必要なのは実際に肉を食べてくれる客だ。どんなに美味しそうな株でも、実際に投資者が買ってくれないことには全く話にならない。いくつかのウェブサイトで調べることができるが、機関投資家の動きを見ることも大切だ。
Manor Care の場合だが、最近オスターワイス・キャピタル・マネージメント、それにバロン・アセットなどのポートフォリオ・マネージャーたちが買っている。更に、Matrix Research社のアナリストはManor Care の一株利益を上方修正している。
ストーリー、美味しそうな肉、そして腹を空かした機関投資家が、投資成功に必要な三要素だ。
週末話題になった銘柄を紹介しよう。先ず、CNNやCNBCで米国投資者にはお馴染みの、ロバート・ウォルバーグ氏はこう語っている。
「連銀の金利対策姿勢が中立的になり、先週の株式市場は、反発ラリーが展開されました。たしかに、金利は予想されたとおり据え置きでしたが、発表された声明に変化が見られ、マーケット関係者は利下げの可能性有り、と解釈したようです。
先物市場を見ると、マーケットは年末までに0.5ポイントの利下げがあることを示しています。私個人的には、そこまで金利が下がるとは思いません。経済が下向きになったと言っても、マイナス成長になるわけではありません。それに、いまだにインフレ問題は残っていますから、連銀が簡単に金利を下げることはないでしょう。
それよりも注目したいのは、世界的なマーケットの急落で、莫大な金額が現金化されました。先週のラリーは、この避難していた資金が、バーゲンを求めて株式市場に戻ったためです。中期的に見た場合ですが、マーケットはまだ10%から12%上昇できる余地があります。
狙える銘柄の一つはNavteq (NVT)です。シカゴに本拠地を置くNavteqは、カーナビ用のデータを提供する、業界リーダーです。あまりにも大き過ぎた期待にこたえることができず、去年、株価の方は低迷しました。しかし、来年度に予想される利益を基準に計算したPER(株価収益率)は21です。それに、年間成長率は25%が見込まれていますから、現在の株価は魅力的です。」
人気番組「マッド・マネー」で、ジム・クレーマー氏はこんな銘柄を挙げている。
「Brocade(BRCD)に注意を払ってほしい。3月29日、Brocadeはアナリストを集めて会議を開く。予想されるのは、Brocade側から明るい見通しが発表され、一株利益が上方修正されることだろう。とうぜん株価には好影響だから、アナリスト会議前に買っておきたい銘柄だ。更に、シスコ・システムズ(CSCO)によって買収される、という意見もあるから、買収ターゲットとしても面白い。
Movado(MOV)も注目銘柄だ。木曜に決算を控えているが、アナリストの予想を大きく上回る好決算発表になることだろう。できれば、決算前に買っておきたい銘柄だ。」
もちろん、皆が買いばかりを考えているわけではない。テクニカル・アナリストたちは、こんなことを指摘している。「週足でマーケットを見ると、決して悪い形ではありません。しかし、マーケットはまだ完全にブレイクダウンから回復していません。急落前の高値を突破できない限り、今の状態では積極的に買うことはできません。先週のマーケットのラリーは急すぎます。このような角度での上昇は、先ず長続きすることはありません。」
皆さんは、Windows Vista にアップグレードされただろうか?「想像以上の驚きを、あなたにも」、のキャッチフレーズで宣伝されているが、想像以上に驚いているのはマイクロソフト自身ではないだろうか。AAXNETの、アンドリュー・グライガス氏は、こんな事実を挙げている。
米運輸省(DOT)、米国標準技術局(NIST)、米連邦航空局(FAA)、そしてテキサス・インスツルメンツ(TXN)はWindows Vista にアップグレードしないことを発表した。また、公立学校も同様な決定をするところが出始めている。たとえば、カリフォルニア州北部のウィンザー学区、それにオハイオ州のベクスリー学区では、高額なVista にアップグレードするのではなくLinux導入を考慮している。
このような状況を反映して、ヒューレットパッカードはLinuxが搭載された企業向けデスクトップ・コンピュータ製造に踏み切るようだ。とうぜんデル・コンピュータもヒューレットパッカードに続くことが考えられるから、3月13日付けのウォールストリート・ジャーナルで報道されたように、いよいよマイクロソフトに本格的な競争相手が現れた。
中小企業、そして家庭の個人ユーザーたちも、 Windows XPからVistaに急いで乗り換える様子は無い。ようするに、現在使っているコンピュータがダメになるまで、Windows XP使用が続くわけだ。しかし、なぜVistaは思ったほど受け入れられないのだろうか?いくつかの原因を見てみよう。
・ファイファー・コンサルティングの調べによると、ユーザーインターフェースにやや問題があるため、仕事の効率がXPよりも劣る。
・多くのソフトウェアは、まだVista用に改造されていない。
・Vistaへのアップグレードは意外と手間がかかる。特に、ドライバー探しに一苦労する。多くのプリンターは、まだVista用のドライバーが無いから印刷ができない。
・マルウェア(破壊工作ソフト)対策には万全が期されているとのことだが、CNetニュースによると、マイクソフトのOneCareアンチウイルスは、認証テストに合格できなかった。
・スティーブ・バルマー氏(マイクロソフト本社役員)は、Vistaにサービスパックは不要だ、と言っていたにもかかわらず、さっそくサービスパック1が出ている。
「Linuxを検討する良い機会です。Windows XPに慣れきっているため、最初は馴染みにくいと思います。しかし、長期的にはコスト面で、Linuxの方がVistaより割安です。他にも、IBMのeComStationがあります。これは以前、OS/2と呼ばれていたものです。悪くはないのですが、専門ソフトウェア・ツールに限りがあるのが難点です」、とグライガス氏は指摘する。
最近発表されているデータを見れば、明らかに米国経済は下向きになり始めているから、連銀の姿勢変化は別に不思議なことではない。しかし、リットホルツ・リサーチ&アナリティックスの、バリー・リットホルツ氏は、こんなことを語っている。
「インフレの心配が無くなったため、連銀が突然タカ派をやめたのではありません。現に、同じ声明の中には、コア・インフレ率が若干上昇している、という一文があります。違った言い方をすれば、連銀の態度が変わった理由は不況を避けたいためであり、インフレ問題が消滅したからではありません。」
FOMC後に発表される声明は、回りくどい表現で有名だ。もっとストレートに書いてほしいものだが、リットホルツ氏は、皆に分かりやすいように、こう声明を書き変えている。
連邦公開市場委員会は、今日、フェデラル・ファンズ・レートを5.25%に据え置くことを決定した。最近の経済データは、我々が予想する以上に悪かった。
1、回復どころか、更に落ち込みがひどくなった住宅市場。
2、大幅に資本支出を減らす企業。耐久財受注の減少も著しい。
3、顕著になった小売売上の低迷。
小売業者は、暑過ぎる、寒過ぎる、雪、雨、と天候を不調の原因としているが、次は月食を言い訳にするつもりだろうか?あまりにも悪すぎるので、自動車メーカーについては、何も言うことはない。どちらにしても、経済の減速は進み、GDPの成長率は+1.5%ほどになるだろう。
こんな状況なのだが、悪いことにインフレ率はやや上がっている。景気の後退で、インフレ問題は消えると思ったのだが、事はそう簡単に行かないようだ。経済が冷え込む状況でのインフレだから、はっきり言うと、我々にはもう残った対策手段は無い。
将来の金利政策について言えば、GDPとインフレのどちらかが極端に悪化しない限り、何もするつもりはない。だから、金利引下げを実施するには、GDPが+1.5%未満に落ち込む必要がある。もちろん、金利引下げなどしたら、インフレ問題が更に悪化することは言うまでもない。
最後に、連銀は引退した前議長グリーンスパン氏にプレゼントするために、皆さんから募金を集めることを計画している。プレゼントとして、我々は氏をテレビもインターネットも無い孤島へ送ることを考えている。とうぜん氏は我々に礼を言いたくなるはずだが、それは2008年に氏がアメリカに戻った時に聞くことにしよう。
デイトレードネットからのお知らせ: 当メールマガジンを日頃ご愛読いただきありがとうございます。2005年8月創刊以来500号余りを配信してまいりましたが、2007年3月末をもって一旦休刊させていただくことになりました。近日中に発行形態をあらため、リニューアルを予定しておりますのでご期待ください。
1ドルに満たない安い株は「ペニー・ストック」と呼ばれているが、そんなものに投資して、本当に儲かるのだろうか?こんな事をよく聞く。「A社の株はたったの5セントだ。500ドルの株が1000ドルになるより、5セントが10セントになる方が簡単なはずだ。よし、少し買ってみよう。」
さて、一株50円の株と3000円の株を勧められたら、皆さんならどちらを買うだろうか?株価だけでは決められない、と言われるかもしれないが、ここでアレクサンダー・グリーン氏(投資アドバイザー)の話を聞いてみよう。
セミナーが終わった後、ある参加された男性から、ペニー・ストックに関する質問を受けた。一株30セントほどの銘柄なのだが、これだけ安い株だから2倍3倍になるのは簡単なはずだ、とこの男性は何度も強調した。
たしかに、ペニー・ストックは簡単に値上がりそうな雰囲気があるが、実際の統計は全く反対の事実を示している。明らかに、30セントの株は60セントに膨れ上がるよりも、0になる可能性の方がずっと高い。だから、もし一株100ドルの株と50セントの株を勧められたら、迷わずに50セントの株を無視するべきだ。
多くのペニー・ストックに共通する3点を挙げよう。
1、安い株の会社のほとんどは収益が無い。それだけでなく、単にビジネスプランがあるだけで、何の活動すらしていない会社もある。ようするに、あるのはセールストークだけだ。
2、ペニー・ストックは売値と買値が極端に離れすぎている。売値が10セント、買値が20セントといったことなど頻繁にあるから、こんな株を買ったら、買った瞬間に資金が半分だ。
3、ペニー・ストックは出来高が低く、更にマーケットメーカーも少ないから、簡単に株価を操作することができる。運良く値段が上がっても、持ち株の全てが、希望の値段で利食えることは先ず無い。
ペニー・ストックのプロモーターには、くれぐれも気をつけよう。彼らの手口は「ポンプ&ダンプ」、といつも同じだ。素晴らしいセールストークを用意して、簡単な儲けを夢見る投資者を集める。とうぜんマーケットメーカーとも打ち合わせ済みだから、株価は急騰する。うまくインサイダーが株を売り逃げると、後は急落が待っているだけだ。
全ての安い株がインチキではない、と反論される方がいるように、もちろん株価だけで全てを判断することはできない。どうしてもペニー・ストックを買いたいなら、必ず決算報告書に目を通してほしい。収益はあるだろうか?赤字決算だろうか?実際に製品があるだろうか?繰り返しになるが、統計を見る限り、ペニー・ストックに投資するのは大切な資金を無駄にするだけだ。
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株投資をするなら、空売り残を調べることを忘れてはいけない、とストリート・ドット・コムでリサーチを担当する、ラーセン・キューシック氏は言う。ところで、皆さんは米株の空売り残情報を、どこから入手できるかご存知だろうか?さっそく、アマゾン・ドット・コム(AMZN)で説明しよう。
ヤフー・ファイナンスへアクセスしてほしい。左上のEnter Symbol(s)にAMZNと入れて、GET QUOTESをクリックする。株価が出てきたはずだが、注目したいのは左側だ。上からSummary、Options、Historical Pricesと並び、更に下へ行くとKey Statisticsがあるから、そこをクリックしてほしい。
右側にStock Price Historyというセクションがあり、そこにはBetaや52-Week Changeの情報が入っている。空売り残が入っているのは、Price Historyセクションの直ぐ下にあるShare Statisticsの中だ。空売り残に関する数字は4つある。それぞれを簡単に説明しよう。
Shares Short: 空売り残の合計株数。2月12日時点で、4612万株ある。
Short Ratio: 一日の平均出来高を基準にして計算した場合、空売りされている全株を買い戻すのに必要な日数。2月12日時点では、6.2日の日数が必要。
Short % of Float : 空売り残が、全浮動株数を占める割合。2月12日時点では14.90%。
Shares Short (prior month): 前月の空売り残の合計株数。4491万株だった。
キューシック氏の話に戻ろう。「ある会社から好ニュースが発表され、その株が格上げされたとしましょう。買い手が集まり、株価は急騰です。言うまでもなく、空売っていた人たちは大変です。空売りポジションを手仕舞うには、株を買い戻さなくてはいけません。正に、買い手に参戦するようなものですから、株価は上がる一方です。
既にお分かりと思いますが、Short RatioとShort % of Float の数値が大きければ大きいほど、好材料が発表された時、売り手のパニック度が高くなります。
一般的に、大型優良企業の株はShort RatioとShort % of Float が他の銘柄よりかなり低くなります。大型優良株は、いざという時の避難場所になるだけなく、年金基金などによって長期投資されますから、大量に空売りされることは先ずありません。優良銘柄のShort % of Float (空売り残が浮動株数を占める割合)の実例を挙げましょう。
ゼネラル・エレクトリック(GE): 0.2% 、コカコーラ(KO): 0.4%、アンハイザー・ブッシュ(BUD): 0.6%、
ウォルマート(WMT): 0.7%、マイクロソフト(MSFT): 0.9%、マクドナルド(MCD): 1.2%
もちろん、下げ相場では上記の株も影響されますが、下げ幅はマーケット以下になる傾向があります。
一概に、このパーセンテージ以上が高すぎる、という基準はありませんが、Short % of Float の高い銘柄を挙げましょう。言い方を換えれば、踏み上げが起きやすい銘柄です。XM Satellite Radio (XMSR): 9.7%、Palm (PALM):
18.6%、NutriSystem (NTRI) : 33.2%、 Crocs (CROX) : 35.2%。」
もちろん、PERだけでは適切に株を選ぶことはできない。収益の伸びが急速な企業は、アナリストや投資者から注目される。とうぜん買いを集めることになるから、PERは業種平均を大きく上回ってしまう。違った言い方をすれば、高PER株を無視することは、有望な大成長株を見逃す可能性がある。
それでは、どうやったら大きな成長を見込める、割安株を見つけることができるだろうか?ビンセント・マオ氏(インベスターズ・ビジネス・デイリー)の意見を紹介しよう。
「世界的な株安で、多数の銘柄が大幅に売られ、その結果PERも下がりました。ですから、買い候補探しの良い機会が訪れた、と言うこともできます。それでは、銘柄探しの注意点を、いくつか挙げましょう。
先ず、PERは15以下だけの銘柄に限定します。一株利益にも注目してください。単に利益の伸びが去年を上回っている、といったことでなく、伸び率が全上場銘柄の中でトップ30%内に入ることも必要です。
次に見るのは、株価の動きそのものです。低PER、高一株利益成長率があっても、肝心の株価が上がっていなければ話になりません。これも全上場銘柄の中で、株価の上げ方が上位30%以内の銘柄を選択することが重要です。
更に、機関投資家の動きも調べてください。PER、一株利益、上昇する株価の条件が揃っていても、機関投資家が売っているようなら避けてください。一般的に、一日平均の出来高が20万株以下、そして一株の値段が15ドル未満の株は、機関投資家から敬遠される傾向があります。」
実際にマオ氏は、10の銘柄を挙げているので記しておこう。(注:これは買い推奨ではなく、投資の一アイディアであることをお断りしておきたい。)
1. Marathon Oil (MRO) : 先日、ゴールドマン・サックスが売りから買いに格上げしている。
2. United States Steel (X) :機関投資家数が、254から290に上がっている。
3. Tesoro (TSO) : オイル銘柄ではトップクラス。
4. Aluminum Corp. Of China (ACH) : 一株利益が、47%の割合で毎年過去三年間伸びている。
5. Commercial Metals (CMC) : 買収に積極的。
6. Reliance Steel & Aluminum (RS) : 2007年度の収益に明るい見通し。
7. Mechel OAO (MTL) : 機関投資家の参入が顕著。
8. Cummins (CMI) : 今年度の一株利益はアナリストの予想を簡単に上回りそう。
9. Arcelor Mittal (MT) : 2期連続で3桁の売上成長率を記録。
10. Safeco (SAF) : シアトルを本拠地にする大手保険会社。PERは10。
1990年代、毎年住宅ローンとして融資された金額は5000億ドルほどだったが、2006年、この数値は3兆ドルに達した。これだけ大幅に伸びている業界にもかかわらず、こんな事実がある。
・20の州では住宅ローン・ブローカーに対して継続教育を義務付けしていない。(アメリカには全部で50州ある。)
・19の州では、採用前に融資担当者に犯歴などが無いかなどを調べる、身元調査を義務付けしていない。
・去年9月、連邦政府は州政府に対して、危険なサブプライム融資の規制を指導したが、それに従った州は半分に過ぎない。
・25の州には、略奪的な融資業務を取り締まる法律が無い。そのため、貸付業者は借り手に高い利率や貸付費用を強いても問題にならない。
米国の不動産ブームは、2000年のインターネット株暴落がキッカケとなった。更に、相次ぐ連銀による金利引下げで、住宅が購入しやすくなった。ますます不動産の人気は高まり、とうぜん住宅価格は急ピッチで上昇した。こんな状況の中、貸付業者たちはいっそう攻撃的になった。普通なら借りることが無理な低所得者、そして信用度の低い人たちを対象に頭金不要の住宅ローンを始めた。これが今日、大きな問題になっているサブプライム融資だ。
ひどい言い方をすれば、脈を打っている人なら誰でもサブプライム融資対象になる。先ず、住宅購入に必要な頭金が要らない。金利も3%、4%とかなり低いから、月々の支払いも少なくてすむ。もちろん、これは見かけの話だ。たしかに低い金利だが、変動利率だから、執拗な金利引き上げ政策で毎月の支払いが大きく上がっている。それに、この毎月の支払いは利子だけに適用されるから、元金は全く減ることが無い。だから、サブプライム融資で20年住宅ローンを組むと、20年にわたって利子だけを払い、肝心な家を購入できない。
サブプライム融資を受けた人たちが、次々と支払いが不可能になっている今日、被害を受けているのは貸付業者だけではない。予想によれば、200万件におよぶ住宅が今年差し押さえられる。これらの物件は、競売されることになるから叩き売りと同じだ。これは地域の住宅価格を下げる原因となり、経済活動に悪影響となるのは言うまでもない。
来年は大統領選挙がある。さっそく既に立候補を表明したクリントン上院議員は、貸付業者のきびしい取締りを訴えている。他の候補者や議会も動き始めたから、何らかの規制が加えられることは間違いない。こんな状態では、どの金融機関も不動産ローンに積極的になれない。住宅市場の低迷は、まだしばらく続きそうだ。
世界的に不安定になった株式市場。こんな時こそ金(ゴールド)だ、と買ってみたがサッパリ上がらない。それどころか、株といっしょに仲良く下がってしまった。なぜ、こんな現象が起きたのだろうか?
グローバル・リソーシズ・トレーダーの、ケビン・カー氏はこう語っている。「以前、金投資と言えば、金塊やコインなどを買う。または、先物市場を利用することでした。しかし今日、投資者たちには、ヘッジファンド、ミューチュアルファンド、上場投信、金鉱株、オプションなどの様々な選択肢があります。結局こんな状況が、金の避難場所としてのステータスを壊したのです。」
カルバート・アンド・フラビンのトレーダー、アモーリー・コンティ氏はこう付け加える。「政治不安、経済不安がある時、普通なら金の価格が上がります。しかし、金の上場投信を使って頻繁に空売りが実行されるようになった今日、金市場のメカニズムが大きく変わってしまいました。」
マーケット史上初の金上場投信、StreetTracks Gold Trust(GLD)がデビューしたのは2004年のことだった。ニューヨーク証券取引所に上場されているGLDは、個人投資家だけでなく機関投資家、それにデイトレーダーにも積極的に利用されている。
「上場投信は株と全く変わりがありません。2月27日、ニューヨーク株式市場は5年ぶりの大きな下げに襲われました。とにかく株を売って、資金を安全な場所に避難させよう、といった人たちが殺到し、とうぜんの結果として、金の上場投信も売られたのです。これでは、金価格が下がっても当たり前です」、とブライアン・ランディン氏(ゴールド・ニュースレター)は言う。
金の下落は上場投信が悪い、と聞こえてしまうが、もちろん利点もある。金塊やコイン投資は余分な管理費や保険が必要になるだけでなく、売りたくても直ぐに買い手は見つからない。しかし上場投信なら、全く保険などの心配がなく、瞬時に売買できる。
「問題は、金の上場投信が、どう利用されているかということです。単なる短期投機のための道具でしょうか?それとも、万が一に備えた長期投資でしょうか?今回の世界的な株安で明らかになったことは、投資者は金の上場投信を、一般の株と同一視していたことです。事実、金の現物を持っている人たちは一斉に手放すようなことをしていません」、とランディン氏は言う。
ブランチャードのエコノミスト、二ール・ライアン氏はこんな見方をしている。「金価格が下がったことは、別に不思議なことではありません。多くのヘッジファンドは、既に12%以上の利益を上げていましたから、今回の株急落で利食われても仕方ありません。とにかく、長期的な視野で投資を考えることが大切です。」
今回の世界的な株安から、投資者は重要なことを学ぶことができる。ある株は、S&P500指数の下げ率を大幅に上回る下落となり、ある株は、S&P500指数の下げ率より、はるかに少ないダメージで済んだ。ほとんど影響を受けなかった株、そして逆に上昇した株を調べることで、私たちは下げ相場に耐えることのできる銘柄の性質をつかむことができる。それでは、具体的な株を例に挙げて説明しよう。
PepsiCo Inc(PEP): マーケットが5%下げたのに対して、ペプシコーラやポテトチップ、そしてオートミールで知られるPepsiCoの下げ幅は3%だった。世界が本当に不景気になったら、私たちは毎日ペプシコーラを飲んで、主食はオートミールになるかもしれない。地味な食品会社だが、PepsiCoの株価は毎年10.7%の割合で過去10年間伸びている。
Procter & Gamble(PG): これもPepsiCo Incと同様に、下げは3%だった。Procter & Gambleはトイレットペーパー、洗剤、練り歯磨き、電池、ペットフード、コーヒー、剃刀、と様々な製品を扱う国際企業だ。株価の方は、毎年10.7%のペースで過去10年間成長している。
Kellogg(K): Kelloggと言えばコーンフレーク。朝食の代名詞だ。急落時の下げは2%、そして過去10年間の年平均成長率は6.9%だが、過去5年間なら13.6%の好成績だ。
Stryker (SYK): PepsiCo Incような知名度は無いが、 Strykerは医療機器を扱う企業だ。マーケット急落時の下げ率は2%。過去10年間では、年平均で22.5%の伸びを記録している。
Apple(AAPL): 急落時の下げ率は2%にとどまり、ハイテク銘柄の中では希な存在だ。たとえば、Cisco Systems は7%の下落となり、マーケットを上回る下げだった。
American International Group (AIG): マーケットが5%下げる中、American International Group は逆に1%の上昇になった。マーケット急落後の3月1日、American International Group は向こう5年間にわたって、配当金を毎年20%増やすことを発表した。言うまでもなく、経営陣に自信が無ければ、このような大胆な決定はできない。もちろん、役員や大株主も経営陣の手腕を100%信頼しているわけだ。
Fifth Third Bancorp (FITB): 急落時の下げは3%だった。American International Group のような配当金ではないが、Fifth Third Bancorp は全ての社員に1400ドルの利益分配を発表した。これも、経営状態が良くなければできないことだから、Fifth Third Bancorpは注目できる銘柄だ。
100株買うはずだったが、うっかりと1000株買ってしまう。シンボルを打ち間違えて、ぜんぜん関係ない株を買ってしまう、といったつまらない間違いをおかすことがある。確認の画面が表示されるから、そんなことが起きるはずがない、と言われるかもしれないが、それでも不注意な誤りが後を絶たない。そこで今日は、証券会社やヘッジファンドがおかした、馬鹿でかいケアレスミスを紹介しよう。
1、UBS証券(1999年1月):
間違いは、スイスの証券取引所で起きた。UBSのスペシャリストは、Rocheの一千万株の売り注文を出した。とうぜん証券取引所は混乱した。なぜなら、Rocheの浮動株数は700万株しかない。
2、1998年10月:
ソロモン・ブラザーズは、フランスの取引所で、10000枚におよぶ金融派生商品の売りを行った。なぜ1万枚も売ってしまったのか?トレーダーがキーボードに肘をのせた時、F12キーが押されてしまった。このキーが意味することは、「即刻全部売れ」だ。この結果、ソロモン・ブラザーズは、数百万ドルにのぼる損を出した。
3、2001年2月:
118億ユーロに相当する、Autonomy買い注文がロンドン証券取引所に舞い込んだ。これもキーボードの打ち間違えなのだが、118億ユーロはAutonomy社の時価総額を超える金額だった。ラッキーなことに、ロンドン証券取引所は異常を直ぐキャッチして注文が成立することはなかった。
4、2005年12月:
みずほ証券の担当者が大きな誤りをおかした。1株61万円でジェイコムを1株売るはずだったが、1株1円で61万株売り、と入力してしまった。間違いに気がついた担当者は取り消しを試みたが、東証のコンピュータに認識されなかった。
5、2001年5月:
リーマン・ブラザーズがイギリスでこんな間違いをおかした。ロンドン証券取引所に上場されている、BPなどの優良銘柄をまとめて売った時のことだ。合計売り金額は300万ポンドなのだが、トレーダーの入力ミスで3億ポンドも売ってしまった。お陰で、ロンドンのFTSE指数は120ポイントの下落となった。
6、2006年1月:
シティグループのトレーダーは、50万2000円で日本製紙を2株買うはずだった。しかし、入力ミスで2000株の買い注文を出してしまった。
7、2002年10月:
ベアスターンズのケアレスミスで、ダウ指数は100ポイントの下落になった。売るはずだったのは400万ドルに相当する株なのだが、担当者は40億ドルと打ち込んでしまった。間違いに気がついてキャンセルをしたが、6億ドル分に当たる株が売られてしまった。
8、2006年9月:
バンクオブアメリカでの出来事だ。そのコンピュータでは、エンターを押せば簡単に株が売れるようにセットされていた。トレーダーたちはフットボールでキャッチボールをしていたのだが、捕りそこなったボールが、エンターキーの上に落ちた。瞬時に50億ドルにのぼる株が売られてしまった。
(上記はファイナンシャル・ニュース・オンラインから、いくつか拾ったものです。)
先ず、10年物国債利回りの長期チャートを見てほしい。
現在4.51%の利回りは、上昇するチャンネルの底辺をテストしている。ここがサポートになるかならないかが注目されるが、トミー・キルゴア氏は、こんな質問をする。「もし、ブレイクダウンなら、それは株にとって好材料でしょうか、それとも悪材料でしょうか?」
底辺割れが起きれば、とうぜん国債利回りは下がる。そうなれば、一般的には住宅ローンの金利なども下がることになるから、これは株にプラス材料ではないだろうか?キルゴア氏の話を続けよう。
「表面的には、ブレイクダウンは株に良い影響を与えそうですが、はたしてそうでしょうか?先週金曜、雇用統計が発表されました。米国経済は不況に陥る心配はない。だから連銀は、短期金利を早々に引き下げる可能性は先ず無い、と解釈され国債が売られました。そのため利回りが上がり、チャンネルの底辺割れが回避されました。
そして月曜、金曜とは打って変わって、深刻化するサブプライム住宅ローン問題が大々的に報道され、安全な投資を求める資金が国債に集まりました。もちろん、これは利回りを引き下げる形となって、また底辺割れの可能性が出てきました。
もしブレイクダウンなら、利回りはどこまで下がるでしょうか?フィボナッチの数字を使って計算すると、38.2%戻すと4.41%、50%の値戻しなら4.16%、そして61.8%なら3.9%です。こうなれば逆イールド現象が更に進み、米国経済が不況に陥る可能性が高まるだけでなく、連銀は金利引下げに踏み切ることでしょう。(注: 61.8%レベルが崩れた時点で、完全にトレンドが転換した、と解釈するテクニカル・アナリストが多い。)
2月27日のマーケット急落を振り返ると、国債利回り低下は株に好影響、逆に利回り上昇は株に悪影響、と単純に結論することはできません。現に、27日の急落は利回りが下げる中で起き、今年初めの株上昇は、利回りが上がる中で起きています。」
キルゴア氏が少し触れた、サブプライム住宅ローンは予想以上に大きな問題になる可能性がある。ローンの支払いが不可能になった消費者が大幅に増え、サブプライム住宅ローンの大手(全米第2位)、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルは倒産をまぬがれることはできない、と報道されている。(既にニューヨーク証券取引所は、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルの取引を停止した。)
マーク・ザンディ氏(ムーディーズ・エコノミー・ドット・コム)はこう語っている。「今年、サブプライム住宅ローン不履行数は前年度の倍に当たる、80万に達することが予想されます。これらの住宅は差し押さえられ、競売されることになりますから、更なる住宅価格下落を引き起こします。」
失業が理由で、ローンの支払いが不可能になっているわけではないから、アメリカの経済は大丈夫、と反論する人たちもいる。しかし、こんな状況では住宅ローンを積極的に行う金融機関は無いから、やはり米国経済にはマイナスだ。
S&P500指数が誕生してから50年の月日が流れた。50周年を祝って、この指数にまつわる面白いデータを見てみよう。
1、S&P500指数が導入されたのは1957年3月4日。
2、1957年3月5日の大引けは44.42。(現在1409近辺で推移している。)
3、1957年以来、S&P500指数の平均終値は377.69。
4、1957年以来、平均すると一日で0.11ポイントの変化がある。(注:終値は、平均すると前日の終値より0.11ポイント高い/安い、という意味。)
5、1957年以来、平均すると一日で0.03%の動きがある。
6、S&P500指数が上昇したのは6608日あり、平均上げポイントは2.71。率に直すと+0.63%。
7、S&P500指数が下げを記録したのは5900日あり、平均下げ幅は2.80ポイント。パーセンテージではマイナス0.64%。
8、S&P500指数が変わらずで引けたことは73日ある。
9、ポイント数で最も上昇したのは2000年3月16日。+66.33。
10、ポイント数で最も下げたのは2000年3月14日。マイナス83.95。
11、パーセンテージで最も上げたのは1987年10月21日。+9.10%。
12、パーセンテージで最も下げたのは1987年10月19日。マイナス20.47%。
13、初めて100を突破して終了したのは1968年6月4日。
14、初めて200を超えて大引けをむかえたのは1985年11月2日。
15、初めて500を超えて終了したのは1995年3月24日。
16、初めて1000を突破して引けたのは1998年2月2日。
17、初めて1500を超えて終了したのは2000年3月22日。
18、史上最高値は1527.46。これは2000年3月24日に記録された。
19、最も好調だったのは1958年の+38.06%。
20、最悪だったのは1974年のマイナス29.72%。
21、最も良かった四半期は1975年の第1四半期。+21.59%。
22、最も悪かった四半期は1974年の第3四半期。マイナス26.12%。
23、最も良かった月は1974年の10月。+16.30%。
24、最も悪かった月は1987年の10月。マイナス21.76%。
25、推定されるここまでの全出来高は4,287,212,318,580株。
26、一般会計原則に基いて計算すると、S&P500銘柄の平均株価収益率は17.37。(現在17.74)
27、S&P500銘柄の平均配当利回りは3.19%。(現在1.73%)
28、ここまで最も成績が良いS&P500銘柄はアルトリア(MO、旧名フィリップモリス)。1957年に1ドル投資したとすると、今日現在の価値は8400ドルを超えている。
2005年のことだった。住宅建築業者、トール・ブラザーズの最高経営責任者、ロバート・トール氏はこう語っていた。「2006年度、そして2007年度、当社は20%の成長が予想され、その後は年間15%の成長率を維持していくことができるでしょう。」しかし、この言葉を境にトール・ブラザーズの下降が始まる。
2006年2月、トール・ブラザーズは9200から9900件の予定住宅建築数を発表したが、これは前回の予定数値10200件を下回るものだった。更に、5月と8月にも数字を下方修正し、結局2006年度に建てれた住宅数は8787件だった。2006年11月、2007年度の予定建築数は6300から7300件、と発表があったが、先月トール・ブラザーズは6000件に下方修正している。
先日の報道によれば、去年の同時期と比べると、1月の新築住宅販売件数は20パーセントの大幅下落になった。「この下げ率で思い出すのは、2000年から2001年に展開された、インターネット株の大きな下げです」、と言うのは経済コラムニストのダニエル・グロース氏だ。少し話を聞いてみよう。
「この下げは一時的なものだ、と投資者はインターネット株を買い足しましたが、その結果がどうなったかは皆さんもご存知のとおりです。不動産が絶好調だった2005年、全米不動産業協会のデービッド・レレア氏は本を出版しています。要旨は、住宅の上昇はこれからも続くから、不動産は最高の投資、というものです。これは、2000年の天井で、株はまだまだ行ける、と叫ぶようなものです。
2000年のシスコ・システムズは今日のトール・ブラザーズに似ています。2000年第4四半期、シスコは67億ドルを超える利益を発表して、最高経営責任者のラリー・カーター氏は自信に満ちていました。ハイテク銘柄が下げ始め、2001年に収益が大幅に減少した時点でも、カーター氏はシスコの30%年間成長率の可能性を語っていたのです。結局シスコの低迷は続き、2006年の4月まで回復することができませんでした。
サブプライム融資が原因となって、最近倒産する金融業者が出始めています。不動産ブームに乗って、本来なら住宅ローンが不可能な人たちに貸し続けた結果が見え始めているのです。とうぜん銀行は住宅ローンに消極的になりますから、言うまでもなく住宅市場には悪影響です。今日の住宅市場は、ハイテク銘柄の経験した2001年の状態です。ですから、不動産業界の人たちが、やっとことの重大さに気がついた頃でしょう。」
2月27日、ダウ指数は400ポイントを超える下げを記録し、これだけインパクトのある下落は2001年以来のことだ。株がダメなら金へ避難、という公式も崩れ、先物市場では金価格が1オンス当たり50ドル以上も下げた。しかし、オイルは逆の動きとなり、2月20日から3月1日までに5%の上昇となった。
アラロン・トレーディングのシニア・アナリスト、フィル・フリン氏はこう語っている。「多くの商品が下げたのにもかかわらず、なぜオイルは叩かれなかったのでしょうか?簡単に説明すれば、重要なファンダメンタル的原因があるのです。ですから、オイルが買い支えられたわけです。」
「もちろん、金(ゴールド)よりもオイルの方が価値があります」、と言うのはセント・ジョンズ大学のアンソニー・サビノ教授だ。「考えてみてください。家の暖房冷房にはオイルが欠かせません。それに、オイルがなくては車も動きません。」
最近4週間を振り返ってみると、アメリカ国内における油脂製品需要が、去年の同時期を約7パーセント上回っている。そのため、エネルギー省の発表によれば、毎日2170万バレル(34億5000万リットル)のオイルが消費されている。
特に増えているのが留出燃料(最近4週間では去年の同時期を7.8%上回る)、そしてガソリン(3.3パーセント増)だ。「ガソリンに関して言えば、先月ですが、一日平均で900万バレル(14億3000万リットル)の消費がありました。これは2月の月間消費量では、ほぼ記録的なレベルです」、とアラロンのフリン氏は言う。
更に、エネルギー省のデータよれば、2007年、世界のオイル消費量は一日当たり160万バレル(2億5400万リットル)ほど増えることが予測される。2006年は、一日当たり80万バレル(1億2700万リットル)増だった。
「今年は金の需要が減ると思われます。なぜなら、世界的に経済成長の減速が予想されているからです。しかし、世界のオイルに対する食欲は増える一方ですから、オイルの方が明らかに魅力的です」、とサビノ教授は付け加える。
ほぼ60ドルちょうどでオイルは現在取引されているが、ペリー・マネージメントの会長、チャールズ・ペリー氏は、3月末までに62ドルから66ドルに達することを予想している。ショーン・ブロドリック氏(マネー・アンド・マーケット)は、年末には80ドル台に乗せている可能性があると言う。
(上記はダウジョーンズ社、そしてCBSからの報道を参考にしています)
ようするに、ブロジェット氏が指摘していることは、ほとんどのアナリストには先見性がなく、起きたことに対して単に反応しているだけだ。大投資家のウォーレン・バフェット氏の言葉を借りれば、大半の人たちはバックミラーを見ながら投資判断をしているだけに過ぎない。
とまあここまで書いてみたが、何のことはない。投資者たちは怒っているのだ。先週の急落を、事前に誰も教えてくれなかった。いったいアナリストは何をしているのだ?投資は自己判断、と分かっていても誰かに責任をなすりつけたいだけだ。
さて、アナリストにはsell sideとbuy sideの二種類がある。sell sideというのは、ベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、それにメリル・リンチなどの証券会社に勤務する、私たちにお馴染みのアナリストのことだ。ご存知のように、格上げや買い推奨などは、顧客による株取引回数に大きく影響するから、証券会社にとってアナリストのレポートは重要だ。
ミューチュアルファンドや、ヘッジファンドに勤務するアナリストがbuy sideアナリスト、と呼ばれる。sell sideのアナリストは、買い推奨や格上げなどの発表をするが、buy sideアナリストの意見が外に漏れることはほとんどない。もちろん、それは決して不思議なことではない。ヘッジファンドのアナリストが、いちいち皆に買いだ、売りだと手の内を公開していたのでは、ファンドの成績に悪影響をおよぼす危険がある。
正確に質問をするなら、sell sideのアナリストは本当に役立つのか、ということになる。公認証券アナリストの、ライアン・ファーマン氏の意見を紹介しよう。
「インターネット株がブームだった90年代後半ですが、一部のアナリストのためにsell sideアナリストの全体が傷ついてしまいました。手数料稼ぎや、インベストメント・バンキング部門の収益上昇を狙って、あきらかにデタラメなレポートを作成していたのですから、とにかく極めて非道徳的な行動です。
残念なことですが、今でも投資者の頭の中には「汚いアナリスト」、というイメージが残っているのです。間違いなく、アナリストのレポートは投資に役立ちます。ただ、一部のアナリストのために、sell sideのアナリストには新規制が加えられてしまいました。ですから、優秀なアナリストはbuy sideに流出しているのが現状です。」
株価が大きく下がれば、結果として企業の時価総額も下がる。今回の急落で、シティグループ(C)は12月からの利益が全て吹き飛んだ。しかし、マーケットが416ポイント急降下しているその日、インベストメント・バンキング部門の責任者、トーマス・マヘラス氏は7万5000株におよぶ自社株を51ドル7セントで買った。380万ドルに相当する買い物だから、言うまでもなく真剣な金額だ。
シティグループの株主には、シティグループ株の成長率に不満を持つ人たちが多い。中でもサウジアラビアの、アルワリード・ビン・タラル王子は、思い切った経営方針の切り替えを最高経営責任者に要求し、シティグループの株価に対する失望を、まったく隠そうとしない。さすがにシティグループも動き始め、新最高財務責任者として、アメリカン・エクスプレスのギャリー・クリッテンドン氏を抜擢した。
モーニングスター社のクレッグ・ウォーカー氏によれば、今年中にシティグループの業績好転が見られなければ、最高経営責任者のチャールズ・プリンス氏も辞職に追い込まれることになるという。「それだけではありません。大株主の中には、シティグループの分割を提唱する人もいます」、とウォーカー氏は付け加える。
シティグループの持つ強みの一つは、収益の半分近くが、アメリカ国外の営業によるものだ。これが意味することは、成長率の極めて高い国々、新興市場から直接好影響を受けることができる。もう一つシティグループの持つ魅力は、4.1%の高配当利回りだ。アナリストの、ケリー・ライト氏はこう述べている。「シティグループが、株主を満足させることができる日は間違いなくやって来ます。投資者の立場から見れば、現在の株価は買いレベルです。」
Consolidated-Tomoka Land (CTO)も注目したい銘柄の一つだ。デービッド・ウィンターズ氏(ウィンターグリーン・アドバイザーズ)は、先週Consolidated-Tomoka Landを約130万ドル分買い足している。 ウィンターグリーン・アドバイザーズは投資会社だから、正確には内部関係者ではない。しかし、10%以上の株を保有する大株主だ。
ウィンターズ氏の話によれば、Consolidated-Tomoka Land はフロリダ州のデイトナビーチの土地、約120万エーカーを所有している。この土地だけでも、Consolidated-Tomoka Land の時価総額を簡単に上回るという。更に、大株主として、ウインターズ氏はConsolidated-Tomoka Land の経営に積極的にアドバイスしていくことも計画している。
1、うろたえないこと:
狼狽売り、パニック買いは決して好結果を生むことはない。賢い投資者は、行動を起こす前に必ず考え、それなりのリサーチをするものだ。衝動的な売買をする人たちのほとんどは、投機熱におかされている。
2、常に十分な現金を手元に残しておくこと:
株式市場の動きに関係なく、十分な現金が手元にあることは心強いことだ。今回の急落で、狼狽売りをした人たちの多くは、資金の大半が株に当てられていた。これでは、パニックしても仕方がない。十分な現金は、心の余裕になることを覚えておこう。
それでは、十分な現金とは、いくらくらいの金額だろうか?できれば、一年分の生活費に相当する金額を、現金(マネーマーケットファンドや短期国債)で常に持っていることが好ましい。(最低でも、6カ月分は欲しい。)長期的な立場から見れば、現金は優れた投資とは言えない。しかし、十分な現金無しでは、健全な投資判断ができない。
3、株の下落に正当な理由はいらない:
もちろん、上海相場の大幅下落には原因がある。約1年で100%を上回る上昇を記録していた上海だから、マーケットは完全に投機化していた。しかし、米国のダウ指数が、あそこまでつられ下げするのは、どう考えても納得できない。
新聞やテレビでは、様々な下げ理由が報道されているが、単にそれらを鵜呑みにするのではなく、自分なりによく調べてほしい。持ち株を売るのは、本当に同意できる情報が見つかった時だけだ。
下げ原因の一つとして、アメリカは不況に陥る、という報道がある。私個人的には、不景気の可能性は低いと思うが、仮に不況に陥ったとしよう。過去20年間を振り返ると、景気が低迷する期間は極めて短く、長期投資者には絶好の買いチャンスになっている。もちろん、この投資方法は忍耐が必要になるが、私は天井で株を買って財産を築いた人を一人も知らない。
4、将来を100%正確に予想できる人はいない:
グリーンスパン氏は優秀な連銀議長だった。しかし、氏は数年前アメリカがデフレに襲われる危険性を語っていたことでも分かるように、氏の予想が外れることには定評がある。前連銀議長という肩書きに惑わされてはいけない。(グリーンスパン氏は、急落のあった前日、アメリカが不景気に陥る可能性を語っていた。)
株式市場の長期トレンドは上向きだ。常に十分な現金を手元におき、忍耐強く、パニックすることなく、人が売る時に買う姿勢が大切だ。
どこのチャンネルも話題は世界的な株安だ。今日は、ホフストラ大学で経済学を教える、アーウィン・ケルナー教授の意見を聞いてみよう。
「先ず、先週の416ポイントの下げですが、この数字ばかりに気を取られてはいけません。長期間にわたってダウは上昇が続いていましたから、火曜の下げはパーセンテージで示せば、たった3.3%にすぎません。ですから、今回の下げ方では史上下落率上位10のリストには入ることができません。
よく受ける質問に、火曜のマーケット急落で、米国経済は不況に落ち込む確率が上がったか、というものがあります。極端な回答をすれば、先週の下げが史上下落率上位10内に入る規模のものだったとしても、アメリカが不景気に陥る可能性には何の影響も与えていません。
現在のアメリカには豊富な流動資金があります。先日も話したことですが、私が調べた限りでは、今日のマネー・サプライ(貨幣供給量)は、連銀が金利引下げ政策を実行していた時より早い速度で増えています。ですから、たとえ金利が上がった今日でも、企業や消費者はほとんど問題無く必要な金を簡単に借りることができます。
最近のデータを見ると、銀行の融資は年10%のペースで成長しており、特に企業向けの融資は15%のペースで増えています。全く銀行の貸し渋りが無い状態ですから、おそらく不景気は避けることができるでしょう。
次に挙げたいのは、経済的にショックとなるような一大出来事の不在です。具体的に言えば、実際に経済へ打撃を与えるオイル価格の急騰、戦争、国債利回りの大幅上昇などです。
ダウ指数が下げたことは事実です。しかし、急落したとは言うものの、現在のレベルはまだ去年の同時期より上です。マスコミの報道を見ていると、投資者は多大な被害を受けたように思ってしまいますが、事実は個人投資者のポートフォリオは、ごくわずかな影響を受けただけです。
それでは、米国経済はどうなるでしょうか?過去10回のダウ大幅下げを振り返ると、その後直ぐにアメリカが不景気に陥ったのは、1907年の一度だけです。1987年の暴落を覚えている方は多いと思いますが、22.6%という極端な下げにもかかわらず、アメリカが実際に不況になったのは1990年です。
もちろん、私はアメリカが全く今年不況に陥る可能性が無い、と言っているのではありません。単に、ダウの急落だけでは不況を引き起こすことは無理であることを指摘したいのです。金利引き上げ再開、企業収益の著しい低下、大幅な国債利回り上昇などが起きれば、アメリカはとうぜん不景気に落ち込む可能性があります。」
先週のハイライトは、火曜のマーケット急落だ。ダウ指数は、瞬時500ポイントを超える下げとなり、言うまでもなく売り物が殺到した。「マスコミは様々な下げ原因を報道していますが、完全に間違っている情報、誤解されやすい情報がほとんでです」、とファンドマネージャーのバリー・リットホルツ氏は言う。氏が指摘する、今回の一件に関する作り話のような報道のいくつかを見てみよう。
1、中国政府が下げ原因: 現在の一般投資者たちによる無謀とも言える株売買を防ぐために、中国政府は証券取引所の会員証券会社に、新たな規制を加えることを発表した。マスコミによれば、これが大幅な下げ原因になったということだが、規制発表があったのは日曜日だ。翌日の月曜、中国市場は最高値を記録している。
2、グリーンスパン前連銀議長の発言が下げ原因: 実際に前議長が言ったことは、「2007年の後半に不景気に陥る可能性もあるが、ほとんどのアナリストやエコノミストはそのような予想をしていない」、ということだ。どう考えても、この言葉が株安を引き起こしたとは思えない。前議長のコメントが報道されたのは月曜の朝だが、その日マーケットはほとんど動かなかった。
3、上海マーケットの大幅下落が下げ原因: 火曜、たしかに上海は8.8%に及ぶ下げになった。しかし、これが米国株式市場を急落させる原因になったとは思われない。なぜなら、同日ハンセン指数はマイナス1.76%、韓国はマイナス1.05%、そして東京は0.52%の下げだった。上海がそれほど重要な市場なら、全てのアジア市場が大きく下げていたはずだ。
4、コンピュータの不具合が下げ原因: コンピュータの集計システムの不調で、3時頃ダウ指数はほんの10分間で250ポイントの下げとなった。しかし、よく考えてほしい。これが起きる前に、ダウは既に290ポイントも下げていたのだ。
5、今回のような急落は健全だ: 健全な下落幅は0.5%から1%までだ。記録的に膨れ上がった出来高が今回特に目立つ。ナスダック100指数に連動するQQQQだけでも、3億株を超える出来高だ。更に、下げ出来高が上げ出来高を圧倒的に上回り、投資心理が大きく変わったことを示している。
6、更にマーケットが悪化するようなら、連銀は金利引下げに踏み切る: それはブルたちが切に望んでいることだ。現に連銀は、そのようなことを実行したことがある。2001年から2003年の不景気の時だが、結果は悪性なインフレを引き起こした。もし今回、利下げをするようなことがあれば、住宅価格の急騰が再開され、原油は75ドルを突破することになるだろう。
世界的な株安になったのは誰の責任だろうか?「今まで聞いた説明は、全て忘れてください。株安の原因は、前副大統領アル・ゴア氏の映画、「An Inconvenient Truth(不都合な事実)」がアカデミー賞を受賞したからです」、と奇妙なことを言うのは、トレンド・マクロリティックス社で投資コンサルタントを務めるドナルド・ラスキン氏だ。少し話を聞いてみよう。
「ゴア氏が、地球温暖化をテーマにした映画で賞を受賞したのは日曜の夜でした。株が崩れ始めたのは火曜ですから、タイミングがずれすぎている、と反論される方もいると思います。
翌日の月曜、テキサス州の電力会社TXUが投資者グループによって450億ドルで買収される、というニュースが報道されました。金額で分かるように、言うまでもなく超大型買収です。もちろん株価は跳ね上がったのですが、マーケットが終了すると、マスコミは次々とTXUに関する「不都合な事実」を報道し始めたのです。
TXUは、石炭を燃料にした11の電力発電所建設計画があったのですが、取り止めを発表していたのです。理由は、環境保護団体による訴訟を避けて、順調に450億ドルの買収を実現させるためです。
TXUの告訴を考慮していた環境保護グループの一つに、国家資源防衛審議会(NRDC)があります。TXUが新発電所の建築を断念したあと、NRDCはこんな声明を出しています。「企業はもはや地球温暖化を無視することはできない。TXUの例が示すことは、環境に対して無関心なビジネスプランは実現不可能ということだ。」
環境を考慮したビジネスプランは大切なことです。中止された11の石炭を燃料にする電力発電所は、コスト的にも安く、環境を破壊するようなことはありません。そんな事実があるのですが、NRDCは更にこう続けています。「今日テキサスで地震が起きたのです。TXUの実例は、ワシントン、そしてウォールストリートを揺れ動かすことになるでしょう。」
さて、TXUの地震が最初に襲ったのは上海です。結果は皆さんのご存知のように、上海マーケットは9%の大幅下落です。TXUが上海を下げた?ウソだ!、と思われることでしょう。もちろん、比喩的な言い方です。
地球温暖化ではなく、現在中国が抱えている問題は、経済の過熱です。経済成長を冷やすために中国政府は様々な提案をしましたが、どれもシンボリックなもので、現実性が無いものばかりでした。しかし、火曜に流れた噂はインパクトがありました。株の儲けに20%の税金を課す、というのです。」
分かりにくい話だが、こういうことだ。中国政府は否定しているようだが、政府は税金を武器にして中国マーケットを冷やすことに成功した。アメリカの場合は、アル・ゴア氏の民主党が議会の半分以上を占めている。民主党は環境保護支持政党だから、NRDCの味方だ。中国と同様に、米国企業も政府という圧力に屈したわけだ。
ゴア氏が株安原因、とラスキン氏は言っているが、ビジネスや株式市場に政府が介入してはいけない、ということを強調したかったのだろう。
円借り取引の終焉は、世界の金融市場に大混乱を引き起こすことになるだろう。具体的な数字は分からないが、少なくとも40兆円にのぼる金額が円借り取引に利用されているから、これらが一斉に売られたら、世界の市場は間違いなく大幅下落になる。
円借り取引は、単に株だけの話ではない。国債、定期預金、不動産、商品市場、とにかく取引できるもの全てに及んでいる。「円借り取引は、マーケット関係者の想像を超える規模に達しています。何らかの理由で、円借り取引が終わるようなことになれば、極めて悲惨な事態になることでしょう」、とHSBCのアナリスト、デービッド・ブルーム氏は言う。
日本の超低金利を利用して、もう10年以上、円借り取引は海外投資家の重要な投資方法の一つになっている。0%に近い金利だから、海外で3.5%の定期預金をするだけでも十分だ。投資が終了したら、通貨を円に替えて日本に返すことになるが、もし円が安くなっていれば為替でも儲けることができる。
ブルームバーグのウィリアム・ぺセック氏はこう述べている。「円借り取引は、あるとあらゆるところに浸透しています。もちろん、グーグル(GOOG)買いにも使われています。ですから、何らかの原因で円高になることは、世界の株式市場に打撃を与えるだけでなく、世界経済にも支障が起きることでしょう。
1998年を思い出してください。ロシアの債務不履行が原因になって、大手ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネージメントが破綻しました。市場はパニック状態に陥り、約2カ月で円は20%も上昇しました。もしこれと似たような事件が起き、円が急騰するような事態が発生すれば、円借り取引が世界の株式市場を混乱させることは間違いありません。
円借り取引は40兆円におよぶ、と推定されていますが、これはオーストリアの経済規模を上回る数値です。しかし、実際は40兆円をはるかに超える金額です。なぜなら、多数のヘッジファンドの参入で、高レバレッジを利用した投機が頻繁に行われているからです。もし一大事となれば、おそらく連銀は適切な対処をするのは無理でしょう。」
今回の大幅下落で、株の怖さを初めて知った人が多い。こんな人たちが口を揃えて言うことは、「いい加減な株ではなく、これからは優良株を中心に投資したい」、というものだ。それでは、実際に買えそうな優良銘柄はどれだろうか?MSNマネーの、ジム・ジューバック氏の話を聞いてみよう。
「ある程度の安全性があり、そして平均以上の成長を望める優良銘柄を探すには、世界的な視野でマーケットを検討しなければいけません。例をあげれば、韓国のサムスン電子、ルクセンブルグのTenaris SA(TS)などが国際的な優良銘柄です。
私たち米国投資者は、優良銘柄と聞くと、ペプシ(PEP)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、それにアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、といった銘柄を直ぐ思い出します。なぜなら、それらの企業は、毎年のように8%から12%の成長を見せているからです。過去10年間の株価ですが、ペプシは+10.7%、ジョンソン&ジョンソンは+11.6%の割合で毎年伸びています。、(S&P500指数は+6.8%)
それでは、優良株ペプシとジョンソン&ジョンソンの欠点は何でしょうか?先ず、これらはの名前は、あまりにも私たちに馴染み深すぎることです。個人投資家だけでなく、機関投資家にも広く買われている銘柄ですから、決して割安とは言えません。
両社は、アメリカを本拠地にした企業です。たしかに国際企業でもありますが、売上は日本やヨーロッパのように経済成長がゆっくりとした安定した国が中心です。もちろん、アメリカの経済成長もゆっくりですから、両社は急成長をするインドや新興市場から直接大きな恩恵を受けていません。
国際的な優良銘柄としてサムスン電子をあげましたが、もう少し見てみましょう。携帯電話、テレビ、半導体で知られるサムスンの株価収益率は12.5です。同業種のインテル(INTC)は24.3、そしてモトローラ(MOT)は14.5ですから、サムスンの方が割安です。会計方法の違いはありますが、サムスンの株主資本利益率は18.7%ですから、インテルの13.8%より魅力的です。
それでは、あともう3銘柄挙げておきましょう。
鉄とニッケルの大企業Companhia Vale do Rio Doce (RIO)、セメントメーカーのCemex(CX)、そしてパルプのAracruz Cellulose (ARA)です。どれも、米国株式市場に上場されています。」