February 2007 のトップ・ストーリー一覧

ブルマーケット終了!?

寄付きまであと1時間、いつものように投資者たちはチャンネルをCNBCに合わせる。上海総合指数は前日比8.84%の大幅安、のニュースがいきなり飛び込んで来る。次々と各国の市況も映し出されているが、上げているところは一つも無い。

さっそく先物市場を見れば、ダウ96ポイント安、ナスダック31ポイント安、そしてS&P500は13ポイント安。間違いなく、寄付きは売り物殺到だ。とうぜん、個人投資家の質問はこれだ。「持ち株は全部売るべきだろうか?」アナリストたちの意見を要約すると、「中国だけに限らず、新興市場に一時的な下げが来るのは時間の問題だった。たしかに今日の下落幅はきびしいが、長期的な悪影響になることはない。」

どうも歯切れが悪い。実際に株を売買している人、ダグ・カシュ氏(ファンドマネージャー)の話を聞いてみよう。「過去数週間にわたって説明してきたように、私は完全に空売りを中心に行動している。もちろん、私のことを何度も狼だ!と叫んだ少年に例える人もいることだろう。

現在の状態では、危険を冒してまで株を買う意味は無い。ロバート・マーシン氏(ディファイアンス・アセット・マネージメント)も指摘しているが、バリューライン総合指数を構成する3000銘柄の中間株価収益率は20.5だ。2000年にマーケットが天井を形成している時は14.5だったから、明らかに今日の株は割高だ。

なぜ、私は株を避けているのかを、もう一度簡単に説明しよう。

1、大手銀行株、証券株の頭打ち。

2、ヘッジファンドによる買い残が記録的な高レベルに上がっている。既に目一杯買ってしまった、という状態だから、あとは売るしかない。また、AAII(米国個人投資家協会)の調べによれば、弱気論を唱える投資者数が、2004年12月以来最低の水準に落ち込んでいる。

3、中国市場におけるデイトレードの異常なブームは、正に1990年後半の米国インターネットバブル時代に酷似している。

4、熱狂的な合併吸収。

5、既に4年以上継続しているブルマーケット。1937年、1962年、そして1987年に起きた暴落は、いずれも4年以上続いたブルマーケットの後に発生している。

繰り返そう、これからは空売りがマーケットの主流だ。」

まだ大引けまで少し時間があるが、現在ダウ指数はマイナス372ポイント(2.98%安)とパニックするには十分な震度がある。他の指数ほど知られていないが、ニューヨーク証券取引所総合指数は180ポイントを超える下げとなり、プログラムトレードが規制された。もう一つ付け加えれば、取引が一時停止されるには、ダウ指数が1250ポイント以上下げる必要がある。

プロスパー・ドット・コム(Prosper.com) 、というウェブサイトが話題になっている。Prosperには、繁栄する、繁盛する、成功するなどの意味があるが、このホームページには、お金を貸したい人と借りたい人が集まる。オンライン・オークションで知られるeBayの仕組みに似ている、とフォーブス誌はProsper.com を説明している。少し記事を読んでみよう。

車を買いたい、家の頭金が欲しい、と金を借りたい理由は人によって異なるが、そんな人たちに、グレゴリー・ベケット氏はプロスパー・ドット・コムを通して余剰資金を貸すことにした。既に貸した金額は87万8000ドル(1億536万円)におよび、人数に直せば163人の人たちが、平均金利26.4%で氏から個人融資を受けている。

借りることのできる金額は2万5000ドル(300万円)までに限られ、ローン期間は長くても3年までだ。金利は、クレジットカードよりも、3ポイントから5ポイントほど低くなるのが通常だが、借りる人のクレジット歴が一番の金利決定要素になる。たとえば、借りたい人のクレジット歴がAクラスと判断されると、金利は8.8%になり、クレジットカードの13.8%より得だ。

なぜ、プロスパー・ドット・コムの金利は、一般のクレジットカードより低いのだろうか?簡単に言えば、安い経営費だ。借金の申し込みがあると、プロスパーは申込者のクレジット歴を、サンフランシスコの会社を使って調べる。クレジット歴は、最高のAAから最低のHR(ハイリスク)までの格付けがあり、オンラインにこの格付けが公表される。

借りたい人は、使用目的、金額、希望金利などをオンラインで表示して、融資者が現れるのを待つ。ようするにeBayと同じ要領で、有利な条件を示した融資者を借金申込者が選べる仕組みだ。言うまでもなく、危険度の低いAAクラスの人には、多くの融資希望者が現れる。

心配になることは、個人融資をして、本当に金が戻ってくるだろうか?プロスパー・ドット・コムの1年におよぶビジネス歴を振り返ると、0.5%が完全に支払い不可能になり、6.5%が月々の支払いに遅れている。(クレジットカードの場合は、完全支払い不可能4.2%、月々の支払い遅れ4.4%)

今のところ、ベケット氏から金を借りた人で、完全に支払いが不可能になった人は一人もいない。支払いが遅れている人は3人だけだから、今年は少なくとも15%ほどの利子を稼げるという。

まだ、ごく限られてはいるがヘッジファンドもプロスパー・ドット・コムから利益をあげている。ジョナサン・ホーニック氏(シカゴのヘッジファンド)は、AAの格付けではなく、ある程度危険性の高い借金申込者を中心に融資して、既に15万ドル以上の利益を手に入れている。

株は買い、しかし

現在、30年物国債には4.83%の利回りがある。投資コンサルタントの、ドナルド・ラスキン氏によれば、S&P 500指数を国債と仮定して利回りを計算すると6.5%ほどになる。単純に引き算すれば、S&P 500が国債を1.67ポイント上回り、歴史的平均の0.2ポイントをはるかに超えている。だんぜん株の方が有利だから、まだまだ積極的に株を買っていくべきだろうか。ラスキン氏の意見を聞いてみよう。

「過去22年間を振り返ると、株が割安な時、S&P 500指数は三カ月で4.9%の上昇がありました。逆に割高な時は、1.7%に下がっています。期間を12カ月で見ると、割安な時は+18%、そして割高な時は+9.5%です。さて、今日の状況はどうでしょうか?

長期投資を前提にしますが、私の評価方法によれば、現時点で株は割安です。しかし、割安状態は既に数年以上続いており、現在の割安度は最も浅い、と言うこともできます。現在と同程度の割安度だったのは去年の5月です。5週間で、S&P 500指数が7%下落する、という事態が起きていますから、短期的に考えれば、今は利食ったほうが良いと思われます。

去年の5月の一件は、割安なものは更に割安になることを示す良い実例です。そして私は、今回も去年の5月が繰り返される可能性が高いと思います。もし、ここで一時的な下げが生じ、うまく底値近辺で買うことができれば、30%ほどの利益を得ることができるはずです。

株の浮き沈みに関係なく、長期投資者は株価の割安が続く限り、持ち株を売りません。もし、あなたが短期投資家なら、ここは良い利食いのタイミングです。マーケットは、一時的なプルバックとなるでしょうから、割安な株は更に割安になります。

もちろん、私の予想が完全に外れることも当然ありえます。私の投資モデルは、企業収益のおだやかな減少を前提にしています。もし、おだやかな減速ではなく、大幅な収益急落が起きると国債の方が有利になってしまい、株からの高利益を望めなくなってしまいます。

一つ心配事があります。ひょっとしたら、株は割安でないかもしれません。たしかに分析した結論が割安ですが、これは将来の高インフレを予期している可能性があります。もしそうなら、国債利回りは跳ね上がり、完全に株は不利になります。もちろん、そんな状況が起きれば、連銀は間違いなく金利引き上げ政策に戻ります。

繰り返します。現時点において、株は割安です。短期的にはプルバックが起きそうですから、一先ず利食いを勧めます。しかし、連銀の金利引き上げ再開は、全てを変えることになることを頭に入れておいてください。」

ゴールド対バーナンキ議長

テレビでは、金が1オンス当たり690ドルを突破した、と繰り返し報道している。まるで、今日いきなり上げたような口調だが、さっそく日足チャートを見てみよう。

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これは、streetTRACKS Gold Shares (GLD)という金価格に連動する上場投信だ。1月5日の安値を境にして、現在GLDは上昇ラリーを展開している。騒ぐなら、2日前の大陽線で徹底的に報道すればよさそうなものだが、区切りの良い数字700ドルが近くなった今日の方が話題にニュース性があるようだ。

ここで、金1000ドル論を唱える、ケビン・カー氏(グローバル・リソーシズ・トレーダー)の話を聞いてみよう。「インフレ懸念を示す連銀関係者のコメントで、水曜、金は20ドルを超える上げになりました。もちろん、オイル価格の上昇や、イラン情勢も買い材料になったことはたしかです。

さて、金は現在の高レベルでまだ買えるでしょうか?テクニカル的に見ると、700ドルから710ドルが壁になっています。先ず、そこが突破できないかぎり、ここでの買いは得策でありません。しかし、金鉱株は別です。ヤマナ・ゴールド(AUY)、ニューモント(NEM)、それにフロンティア・ディベロプメント・グループ(FRG)が魅力的です。」

ヘッジ・ファンド・マネージャーの、バリー・リットホルツ氏はこんな見方をしている。「これは金対バーナンキ連銀議長の戦いです。今日のバーナンキ氏には、インフレのタカ派として知られていた、以前の姿を見ることができません。先日のコメント、「減退するインフレと安定の兆しが見える住宅市場」でも分かるように、完全なハト派に変身です。

こんな氏の意見を聞いて、大声で笑っているのが金です。「バーナンキさん、私には、あなたが何を恐れているかが良く分かる。現実は、インフレ減退の逆だ。それに、住宅ローンの返済が不可能になった人たちが大幅に増え、既に大手ローン会社が大きな損を出している。たぶんこの問題は、全米に広がるはずだ。」

金は全て知っているのです。前任グリーンスパン氏の低金利政策が、大きなインフレ原因になっています。しかし、減速の見られる米国経済ですから、バーナンキ氏はこれ以上の金利引き上げはできません。

住宅ローンの支払いが不能になっているのは、サブプライム融資を利用した人たちです。住宅ブームに乗って、銀行だけでなく、多くの金融機関が普通なら金を借りるのが無理な人たちにサブプライム・ローンを積極的に勧めて、多額な融資をしました。

サブプライム・ローンのほとんどは利率が変動しましすから、度重なる金利引き上げで、多くの人たちがローンの支払いが苦しくなったわけです。ですから、ここでバーナンキ氏は金利引き上げをしたくてもできません。もし更なる金利引き上げに踏み切れば、サブプライム・ローンに関連した金融会社の倒産が次々と起きることでしょう。

今、連銀にできることは同じメッセージを繰り返すことだけです。「住宅市場は安定し始めた。インフレは抑制されている。」連銀は、ただじっと座って次に訪れる大きなインフレを待っているだけです。」

格言や諺には、投資の知恵が凝縮されている、とeOptionsトレーダー・ドット・コムのハロルド・アンダーソン氏は言う。「もう25年以上になりますが、気に入った言葉を聞いたら直ぐメモするようにしています。全てが格言というわけではありませんが、どれも機知に富んでいると思います。」早速、いくつか見てみよう。

1、「お金はそんなに重要なものじゃない。5000万ドル持っている人と、6000万ドルを持っている人を比べてほしい。6000万ドル持ってるいる人は、5000万ドル持っている人より幸せに見えるかな?」 (ミルトン・バール)

2、「いつも懐に十分な金があれば、あなたはハンサムに見え賢くも見える。それだけじゃない、歌だってうまくうたえる。」(ユダヤの諺)

3、「金が無くなることはない。単に居場所が変わるだけだ。」(ガートルード・スタイン)

4、「株を分析するなら、少なくとも冷蔵庫選びに費やすのと同程度の時間をかけてほしい。」(ピーター・リンチ)

5、「明日、世界が破滅する、といったような馬鹿らしいことを平気で言うのがウォールストリートだ。どんなにヒドイ材料でも、直ぐ忘れてしまうのもウォールストリートだ。」(ケン・フィッシャー)

6、「経験が正しい判断を教えてくれる。今あなたが経験していることは悪い判断の結果だ。」(ロバート・ロベル)

7、「もし乗っている馬が死んでいることに気がついたら、さっさと下馬することだ。」(スー族インディアンの諺)

8、「知っていることを実行しないことは、知らないことと同じだ。」(禅僧の言葉)

9、「全ての人が馬鹿げたことを言ったとしても、それが常識になるとは限らない。」(サマセット・モーム)

10、「近代史を振り返ってみると、エコノミストが食い逸れたことは一度もない。」(ピーター・ドラッカー)

11、「ブルマーケットは投資判断を鈍らせる。」(ハンフリー・二ール)

12、「多くの株の天才はブルマーケットで現れる。」(ジョン・ガルブレイス)

13、「高く買って、更に高いところで売れ。」(ウィリアム・オニール)

14、「ブルは常に好材料を食べていないと死んでしまう。しかし、ベアは食料なしでも長く生きられる。」(ウォール・ストリートの諺)

15、「全ての人には二つの選択肢がある。金を利用するか、それとも金に利用されるかだ。」(コンラッド・レスリー)

16、「マーケットが間違っている、などと間違ったことを考えてはいけない。」(ジェームズ・ダインズ)

17、「10月が株にとって最も危険な月だ。その次は7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、そして2月だ。」(マーク・トウェイン)

18、「株で儲けたければ、馬鹿でも経営できるビジネスに投資することだ。」(ウォーレン・バフェット)

過去の実績と将来

2006年、ミューチュアルファンドAは+15%の成績、そしてBは3%増の結果だった。さて、あなたなら今年どちらへ投資するだろうか?歴史は繰り返す、という言葉を信じるならAを選んでも構わない。しかし、「The Wall Street Self-defense Manual」の著者、ヘンリー・ブロジェット氏は、歴史は大してあてにならないと言う。少し氏の話を聞いてみよう。

最近、T. Rowe Price社が積極的にミューチュアルファンドを売り込んでいる。「最近1年間、5年間、そして10年間を振り返ると、当社が扱うファンドの7割が、業界平均以上の成果を上げている」、といった内容の広告を使って、いかに過去の成績が優れているかを強調している。

もちろん、広告の下には「過去の実績は将来の利益を約束するものではない」、と小さな断り書きがある。私が思うことは、過去の実績ほど将来の予想に役立たないものはない。今までこんなに素晴らしい成績だった、と過去ばかりを重要視するファンド会社は、単に投資者の心理的弱点を利用しているだけだ。

優れた成績は、必ずしもファンドマネージャーの腕が良かったためではない。なぜなら、単にラッキーだっただけ、ということも十分にありえる。何のルールにも従わず、無作為に株を選んだ場合でも、約50%の確率で好成績を上げることができる。(猿に株を選択させる実験が有名)長年にわたるデータを基に判断するなら話は別だが、短期間の情報では3割3分の打者と、3割1厘の打者の違いを見つけるのは難しい。

投資テーマもファンド成績に大きく影響する。たとえば、90年代の後半は成長株中心ファンドが素晴らしい成果を上げ、2000年から2006年は割安株専門ファンドが平均を上回る成績を上げている。ようするに、時流の投資テーマに乗ったファンドなら、それなりの数値を残すことができる。

たとえ、長年の実績があるファンドマネジャーのファンドに投資したとしても、今年も良い利益が得られるとはかぎらない。なぜなら、

1、ファンドマネージャーが他社に引き抜かれる可能性がある。

2、優秀ファンドマネージャーともなれば、あちこちから声がかかる。株に対する情熱も冷め、趣味に時間を割くようになり、株リサーチがおろそかになる。

3、成績の良いファンドには、投資者からの資金が更に集まり、ファンドが巨大化する。これは規模の不経済を引き起こすから、好成績を上げるのが困難になる。

4、好成績を理由に、ファンド会社が口座管理料金を値上げすることがある。これが、成績の低下につながる。

過去の実績が大事、という考え方は常識なっている。しかし、インデックス・ファンド以外に、この考え方を適用することはできない。

インデックス・レーザーのススメ

今年も大型株を推すアドバイザーが多い。現に、ダウ指数やS&P 500指数のチャートで分かるように、大型株のブルマーケットは4年以上も続いている。そろそろ売りの準備をしたほうが良いのでは、と心配する人たちが増えているのは言うまでもないが、先ず不安材料から記そう。

・2006年、S&P 500指数を構成する企業の平均収益成長率は10%以上だったが、2007年第1四半期、この数値は5%台に下がることが予測される。

・2007年、期待されていた金利引下げはありそうもない。

・たしかに底打ちの兆しはあるが、相変わらず住宅市場が弱い。現在、売りに出されている住宅が完売されるには5.9カ月の時間を要し、平常値の4カ月を上回っている。

・航空会社や運輸業界はオイル価格下落で収益が増大する、という恩恵を受けていた。しかし、あと数カ月で夏の本格的なドライブシーズンがやって来るから、ガソリンの需要が増え、それに伴いオイル価格も上昇することになる。

・割安株が少ない。

次に、ジム・ジューバック氏(MSNマネー)が指摘する好材料を見てみよう。「世界は、豊富な現金で溢れています。どこから、こんなに沢山の現金が流れて来るのでしょうか?答えは日本です。米国の金利は5.25%、ヨーロッパは4.5%、しかし日本は0.25%です。ようするに、投資者は日本から金を借りて、いたる所で投資をしているのです。これは、機関投資家に限られた話ではありません。実際に日本の銀行から金を借りて、住宅を購入した外国人の話を聞いたこともあります。」

ジューバック氏の結論は、皆さんもご察しのように、10%ほどのマーケット下方修正はあってもおかしくないが、日本の金利が低い限り、アメリカのマーケットはそう簡単に下がらない、というものだ。一度や2度金利を引き上げても、0.25%の金利は直ぐに5.25%に追いつくことはない。

大型株を推すアドバイザーが多い、と一行目に書いたが、これを利用した少し変わった投資方法を紹介しよう。インデックス・レーザー(ICZ)という上場投信がある。これは、S&P 100指数(大型株)とS&P スモールキャップ600指数(小型株)を比較して、その差額を投資者に支払うというものだ。

投資期限は2006年9月25日から2008年1月8日までになり、支払いを受け取るには、S&P100の成長率がS&P スモールキャップ600の成長率を上回る必要がある。支払い額は、成長率差額の1.25倍になる。S&P 100が、S&P スモールキャップを20%上回ったとしよう。20% X 1.25=25% インデックス・レーザー(ICZ)の額面は10ドルだから、この場合満期に12ドル50セントを受け取ることができる。

もし逆場合、S&P スモールキャップが大型株指数の成績を上回ると、投資者は資金を失うが、差が15%未満なら満期に額面の10ドルが戻って来る。もちろん、上場投信だから満期まで持っている必要はない。出来高が少ないのが難点だが、株のように取引することができる。

どんな着陸もありえない!?

ソフトランディング、それともハードランディングになるか、と米国経済の先行きが議論されているが、そもそも「ランディング(着陸)」という考え方が間違っている、とケン・フィッシャー氏は言う。氏は、350億ドルに及ぶ資金を運用するフィッシャー・インベストメントの最高経営責任者として知られるだけでなく、経済誌「フォーブス」のコラムニストとしても活躍している。さっそく氏の話を聞いてみよう。

米国経済ソフトランディング、ハードランディングのシナリオが実現するためには、2007年、米国住宅市場が更に落ち込む必要がある。言うまでもないが、ハードランディングは住宅市場の大きな下落を意味し、ソフトランディングは住宅市場のおだやかな減速を表す。

結論を言えば、2007年、アメリカはソフトランディングもハードランディングも起きることはない。なぜなら、予想されるような住宅市場の下落が展開される可能性がないからだ。今年はアメリカだけでなく、世界的に経済成長スピードが加速することになるだろう。

悲観的なアナリストやエコノミストの意見ばかりに耳を傾けるのではなく、直接マーケットの声を聞くことが大切だ。今、住宅市場が見せているのは、底からカムバックしようとしている姿であり、最近6カ月を振り返ってみると、住宅銘柄は既にマーケット全体を大きく上回る24%の上昇だ。もし2007年、米国住宅市場に全く回復の見込みがないなら、ここまで住宅株が買われるだろうか?

これも最近数カ月のデータだが、住宅販売件数は下がっているのではなく上向きになっている。売りに出されている住宅の数も、6カ月前より減っているから、住宅在庫数は好転している。こんな状況だから、アメリカ経済に着陸はありえない。とうぜん、ソフトランディングもハードランディングも起きない。

ということは、まだ積極的に株を買っていけるのだろうか?ベテラン・ヘッジファンドマネージャー、マイケル・スタインハート氏の意見を聞いてみよう。

マーケットの底と天井を正確に予測できる人は少ない。現在、マーケットは高い水準で推移しているが、ここが天井だとは思わない。ただ一つ言えるのは、ここから大きな上昇を考えるよりも、下げに備えた方が良いだろう。それから、あまりにも頻繁な信用取引も気になる。

ここが天井だとは思わない、とマイケル・スタインハート氏は言っているが、こんな言い方になってしまった理由は、インタビューしたジャーナリストが断定的な回答を求めたためだ。借金(信用取引)で株を買う人が多すぎる今日、スタインハート氏は10%以上の下方修正が起きやすい環境であることを強調している。

アナリストは、新オペレーティング・システムVistaの売上を、あまりにも高く予想しすぎている、というスティーブ・バルマー氏(マイクロソフト最高経営責任者)のコメントで、金曜、マイクロソフトの株価は2%を超える下げとなった。「ここ2週間ほどチャートを見ている人ならお分かりと思いますが、これは単なるニュースは売り材料のパターンではありません」、と24/7ウォールストリートのジョン・オッグ氏は言う。

「Vistaにアップグレードする、と一口に言っても、これはWindows2000からWindows XPにアップグレードするような簡単なものではありません。一番の問題点は、ほとんどの家庭やオフィスに現在あるコンピュータでは、Vistaを使うことは無理です。プロセッサは大丈夫かもしれませんが、メモリとグラフィックが大きな支障になりますから、先ずVistaを買う前にコンピュータその物の心配をしなくてはいけません。

そんな技術的なことを知らなくても、チャートを見続けていた人たちは、マイクロソフトが大きな問題にぶつかったことは簡単に推測することができました。もちろん、チャートから具体的なニュース内容を読み取ることはできませんが、マイクロソフトの先行き不安が明確に表面化していました。

結論を言えば、新しいコンピュータを購入するまで、ほとんどの人たちはVistaを使うことはないでしょう。以前のように、99ドル払って直ぐにアップグレードできるのとは全く違い、Vistaへのアップグレードは長く時間のかかるプロセスです。

そんなに時間を要するプロセスなら、LinuxやMacシステムが大きく市場に食い込むチャンスになるでしょうか? 1990年代の終わり頃ですが、ビル・ゲイツ氏が、20年後はWindowsはナンバー1でないかもしれない、と発言して会場にいた人たちを驚かせたことがありました。

Windowsは、そう簡単に首位の座から転落することはありません。一部のファンはいても、一般の人たちにLinuxを使いこなすことは無理です。使いやすさの面でMacは定評がありますが、ビジネスやオフィスには浸透していません。特に金融業界でMacを見ることは、先ずありません。

投資者の中には、早くもマイクロソフトは死んだ、と宣言する人たちがいます。繰り返しますが、今回のVistaへのアップグレードは一夜で済むようなものでなく、かなりの時間を要します。過去5年、6年までさかのぼって、マイクロソフトのチャートをよく見てください。これは成長株のパターンでしょうか?答えは「ノー」です。

マイクロソフトは、まだ下げるでしょうか?答えは「イエス」です。数週間前、Vistaの販売開始ニュースで興奮して買った人たちは喜ぶべきです。今なら、もっと安い値段でマイクロソフトが買えます。」

最終データと現実

スーパー・ベアの異名を持つリチャード・ラッセル氏が、二日前、ダウ・セオリー・レターズでこう書いている。「極めて力強いマーケットだ。三つのダウ指数は全て新高値を記録し、このような状況は、そう簡単に崩れるものではない。堅調な株式市場は米国に限られたことでなく、これは世界的な現象だ。」さすがに、ベア廃業宣言はしていないが、買い手にとって嬉しい言葉だ。

ブルマーケット、安定した経済成長、それに低失業率、さぞ投資者は満足していることだろう、と思われるかもしれないが、ここでジム・ジューバック氏(MSNマネー)の話を聞いてみよう。

「読者からのメール、ブログやメッセージ・ボード、テレビ、ラジオのトーク番組、それに先日フロリダで開催されたワールド・マネー・ショーに参加して感じることは、多くの人たちが米国経済の先行きを心配していることです。こんなに現在の経済状態は良いのですが、なぜ素直に安心できないのでしょうか?

国内総生産、失業率、新規雇用者数、消費者信頼感などの経済活動を示す数字が、定期的に政府機関から発表されます。言うまでもありませんが、これらの統計は全ての足し算引き算が行われた後の数値、ようするに最終的な結果です。しかし、私たちが生活している現実社会は、最終的な結果だけではありません。ある時期は足し算の段階にあり、ある時期は引き算の段階にあります。これが今日、多くの人たちが米国経済に対して、手放しに喜べない理由ではないでしょうか。

たとえば、1月の新規雇用者数は11万1000増でした。これは計算後の最終結果です。同時期を見ると、米国内では250万人が職を失い、260万の人たちが職を得ていますから現実は単純なものではありません。もう一つ例をあげましょう。食品とエネルギーを除くと、アメリカのインフレ率は2.5%です。医療費が6%上がっているけど、コンピュータが3.5%下がったからインフレ率は2.5%だ、とあなたは言うでしょうか。たぶん、6%上昇した医療費だけが頭に残るはずです。

株式市場にも同じことが言えます。ここまでの12カ月間を振り返ると、ダウ指数は16%の上昇です。これも現実的な数字ではありません。もしこの間、幸運にもゼネラル・モーターズを買っていれば+72%、しかしデルを買っていれば25%のマイナスです。16%以上の成績をあげている人は喜ぶことができますが、それ以下の人たちは、自分の投資能力に疑問を持ってしまいます。」

ジューバック氏の指摘するとおりだ。指数(インデックス)を上回る結果を出している投資家なら自慢できても、そうでない人は自信を失ってしまう。ようするに、これが個別銘柄が嫌われ、インデックス・ファンド大人気の一因だろう。

優良株とは何だ?

皆さんは優良株をどう定義するだろうか?冗談まじりに、「儲かるものなら何でも優良株さ!」、と言う人もいるが、簡単なようで中々うまい答えが浮かんでこない。

英語では、優良株のことを「ブルーチップ」と表現する。ポーカーをする人ならお分かりと思うが、値段の高い青いチップのことだ。ということは、株価が高い値嵩株が優良株だろうか?もしそうなら、グーグル(GOOG)は約463ドルで取引されているから、間違いなく優良株だ。しかし、多くの投資者たちは、グーグルは優良株ではなく成長株だ、と言う。

それなら、巨大企業はどうだろうか?現在、アメリカの株式市場で、最も時価総額が高いのはエクソン・モービル(XOM、4300億ドル)、ゼネラル・エレクトリック(GE、3660億ドル)、マイクロソフト(MSFT、2840億ドル)、シティグループ(C、2620億ドル)、そしてバンクオブアメリカ(BAC、2360億ドル)だ。これは5社はブルーチップだろうか?ほとんどの人たちの回答は「イエス」だ。

どうやら、小型企業は避けたほうが良さそうだが、ハリー・ドマッシュ氏(投資アドバイザー)に優良株を定義してもらおう。

「先ず、時価総額ですが、銘柄は上位2%から選んでください。ですから、500億ドル以上の時価総額です。米国株式市場には、現在7500以上の株が上場されていますが、500億ドル以上という条件を満たす企業は130社ほどです。

時価総額の次は、銘柄はS&P500指数に含まれている必要があります。簡単に言えば、S&P500指数はS&P社のアナリストによって選ばれた、米国を代表する500の優良企業です。

時価総額とS&P500銘柄の条件を満たすだけでは十分でありません。ミューチュアルファンドや機関投資家たちの動きも見てください。成績の良い優良株を振り返ってみると、60%から95%の株が機関投資家たちに保有されています。ですから、少なくとも60%の数値が必要です。

アナリストの格付けも参考にしましょう。一般的に、strong buy、moderate buy、hold、moderate sell、strong sellという格付けが使われますが、対象になるのはstrong buyとmoderate buyに属する銘柄だけです。」

更にドマッシュ氏は、優良株の条件として、向こう5年間の年間平均一株利益成長率が10%以上見込まれていること。株主資本利益率(ROE)は15以上あること(過去5年間の平均)。負債比率は、業界平均より低いこと。毎年売上高は5%の成長があること。そして、株価は200日移動平均線より上にあること、をあげている。

以上全ての条件を満たす5銘柄を記しておこう。これらは買い推奨ではなく、投資の一アイディアであることをお断りしておきたい。

Cisco Systems (CSCO)、 Wells Fargo (WFC)、 PepsiCo (PEP)、  United Technologies (UTX)、
Lowe's (LOW)

銀行と不法滞在者

バンクオブアメリカ(BAC)が、ソーシャル・セキュリティー・カードを所持しない人にも、クレジットカードを発行する、と発表したのは火曜日のことだった。ソーシャル・セキュリティー・カードは、社会保障庁から発行され、身分証明として使えるアメリカ全住民が持つカードだ。

今回のバンクオブアメリカの発表は、全支店に適用されるのではなく、ロサンゼルスにある51支店だけに限られる。銀行側は、あくまでも試験的なものであり、何の支障も発生しなければ全店で実施する、と説明している。しかし、このニュースが大きな論争を引き起こしてしまった。

銀行を批判する声の要点は、「ソーシャル・セキュリティー・カード無しでクレジットカードを発行することは、不法移民を支持しているのと同じだ」、というものだ。トム・タンクレド下院議員は、早速こう語っている。「バンクオブアメリカは、テロリストたちの資金支援をしたいようだ。もちろん、テロリストだけでなく、他の犯罪組織にも利用される可能性が十分ある。」

国土安全保障省の、ラス・ノック氏はこう述べている。「ひじょうに問題のある決定です。既に社会問題になっている個人情報の盗難が、更に悪化することが考えられます。それに、マネーロンダリングも増えることでしょう。」

現在、アメリカには1200万人の不法滞在者がいる、と推定されている。法律の目から見れば1200万人の犯罪者だが、銀行にとっては将来的な客だ。

たとえば、ウェルズファーゴ銀行(WFC)は、これも試験的なものだが、約1年ほど前からロサンゼルス郡とオレンジ郡で、ソーシャル・セキュリティー・カードを持たない人たちに、住宅ローンサービスを始めた。条件は、アメリカに少なくとも2年間滞在していること、そして国税庁から発行された納税者番号を持っていることだ。「当行では現在、ソーシャル・セキュリティー・カードが無い人たちにも、クレジットカードの発行を検討しています」、と広報担当のメリー・トリッグ氏は言う。

バンクオブアメリカの決定を、称賛する人たちもいる。「クレジット歴が浅い移民者は、住宅ローンなどの金利が割高になる、という大きな問題がありました。ソーシャル・セキュリティー・カードの無い人たちがクレジットカードを使えるようになれば、一般の人たちと同様な金利で金を借りることができます」、とロバート・グネイズダ氏(グリーンライニング協会)は指摘する。

もはやバンクオブアメリカにとって、ソーシャル・セキュリティー・カードの有無は関係ない。現に、ウェルズファーゴ銀行が領事館発行の身分証明者をソーシャル・セキュリティー・カードの代わりとして認めるようになってから、100万以上のメキシコ人口座獲得に成功している。ボヤボヤしている時間はない。競争相手は確実に市場を広げている。

ジョン・ドーフマン氏(サンダーストーム・キャピタル)の株投資コラムが、今日で最終回になった。100%投資アドバイザー業に打ち込む、という理由で執筆をやめるようだが、最後のコラムは、氏が学んだ九つの教訓だ。さっそく、その中から6つを見てみよう。

1、見捨てられている株に注目しろ。

毎年、米国株式市場に上場されている銘柄の中から、機械的に10銘柄を選んでみた。条件は、株価収益率(PER)が最も低いこと。時価総額は少なくとも5億ドル以上あること。それに、赤字決算でないことなどを含めて選択した株の1999年から2006年の成績は、S&P500指数の+31%を大きく上回る+830%だった。(注:人気の無い、見捨てられている株は、株価収益率が低い。)

2、アナリストの意見に動揺するな。

名前は公表しないが、人気アナリスト4人の推奨を1998年から2006年まで追ってみた。その結果分かったことは、買い推奨銘柄は年平均でマイナス3.7%。そして、売り推奨銘柄の平均はマイナス0.2%だった。

3、銘柄を頻繁に入れ替える必要はない。

別な言い方をすれば、新材料が出るたびにポートフォリオを調整することは、あまり意味がない。

4、割高という理由だけで株を売ってはいけない。

割安割高を判断する一般的な方法は、株価収益率(PER)の利用だ。割高なものが売りの対象になるなら、株価収益率が極めて高い株を空売りすれば儲かるわけだ。さっそくテストしてみたが、このやり方では利益を上げることはできない。

空売り銘柄を探すなら、株価売上高倍率(PSR、時価総額を年間売上高で割ったもの)が役にたつ。2000年から2006年までの結果だが、PSRが100を超える株を空売った場合、年平均の利益は35%だった。しかし、割高なものは、更に超割高になる傾向があることも付け加えておこう。

5、株の勢いに気をとられすぎるな。

モメンタム株、という言葉があるように、モメンタムは勢いを表す。となれば、見捨てられた割安株を買うよりも、モメンタム株を買ったほうが早く儲かりそうだ。毎年、2000年から割安株とモメンタム株を比較してきたが、成績には大した違いはない。モメンタム株の年間平均は+25%、割安株は+30%だ。名称に迷わされてはいけない。

6、長期予想は極めて困難。

今年、アメリカはベアマーケットに陥るだろうか?8月に利下げの可能性はあるだろうか?12月の失業率は、何パーセントになるだろうか?ひとつや二つなら正確に予想できても、毎年的確に予測できるアナリストやエコノミストはいない。

持ち株の見直し

先ず、ネッド・デービス社からのデータを紹介しよう。ここ7カ月間、ダウ指数は一日で2%を超える下げを記録したことは一度も無い。ある程度マーケットが上昇した後には、数日から数週間にわたって下げ相場が展開されるものだが、S&P500指数は、約4年近く、10%におよぶ下方修正をしたことが無い。

「長いこと好調なマーケットが続いていますから、投資者たちは、完全に安心しきっています。信用取引が頻繁に利用されているだけでなく、ボラティリティもかなり低い現状ですから、もし予期せぬ悪材料に襲われるようなことが起きれば、マーケットは大幅な下げになる可能性があります」、とINGインベストメント・マネージメントのブライアン・ジェンドロー氏は言う。

上昇相場が永久に継続することはない。間違いなく、上げの後には下げがやってくる。だから、投資者にとって大切なことは、下げ相場の準備が出来ているかどうかだ。「ポートフォリオの見直しをしてください。限られた銘柄だけに、集中投資していないでしょうか?下げ相場では、うまく分散投資されたポートフォリオの方が叩かれにくいだけでなく、回復も早くなります」、とモザイク・ファイナンシャル・パートナーズのケビン・ガハガン氏は指摘する。

マイケル・クジブ氏(レノックス・アドバイザーズ)の意見はこうだ。「過去3年間の上昇を考えれば、一部の株は利食って、ポートフォリオの調整をしたほうがいいでしょう。顧客には、株は大型銘柄だけに絞って、新興市場は避けるようにアドバイスしています。」

「人気銘柄の動きに注意してください」、とガハガン氏は付け加える。「もうかなり前の話ですが、ある人が相談に来た時のことです。ポートフォリオを見ると、人気銘柄のノーテル(NT)に集中投資されています。とうぜん、分散することを勧めましたが、この投資家は完全にノーテルと結婚していたのです。けっきょく、大きな下げに襲われても処分することができませんでした。たとえ、あなたがある株に集中投資しても、株のほうは、あなたのことなど全く無関心です。それから、いったん下がったものは、もとの値段に戻る、などという迷信も信じてはダメです。」

持ち株の売り時は、どうやって確かめるのだろうか?「簡単なテストがあります」、とガハガン氏は言う。「Jという株を持っていたとしましょう。うまく値上がり、今日処分すれば、5万ドルが手に入ります。ここで質問してください。今日この値段で、あなたはJ株を5万ドル分買いますか?」

オイルとマイクロン?

さて、皆さんはどう週末を過ごされましたか?金曜のマーケットが後味の悪い引け方だったので、これは天井のサインだ、と心配する声があちこちから聞こえてきます。マスコミは、マイクロン・テクノロジー(MU)と、オイル価格が金曜の下げ原因だ、と説明していますが、たぶんほとんどの人は信じなかったことでしょう。

下がマイクロンの日足チャートです。

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見てのとおり、株価は3本の移動平均線(20日、50日、200日)より下で推移しています。長いことダウントレンドが続いているわけですから、投資者たちは、マイクロンが悪いことは百も承知です。

それでは、クルードオイルの動きを見てみましょう。

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短期的には上げですが、大きな流れは下向きです。もしマスコミが正しいなら、株式市場は、オイルが上げ始めた、1月の中旬から下げていなければいけません。

さて、話題を変えましょう。中古車、という言葉があるように、世の中で売られているのは新品だけではありません。MSNマネーに、中古で買った方が得な品物10、が特集されていたので見てみましょう。

1、本:買われた本が、2度3度と繰り返し読まれることは先ずない。たとえ新しい本でも、アマゾンやebayなどのサイトに行けば、近くの本屋で買うよりずっと格安だ。また、図書館の利用も勧めたい。

2、DVDとCD: これも、アマゾンやebayを利用すると安く手に入る。

3、子どものオモチャ: 毎年新製品が発表されるが、本当に子どもが好むかどうかは分からない。だから、フリーマーケット(のみの市)などの利用を勧めたい。

4、宝石: 小売店で買うのは、言うまでもなく超割高。信用のある質屋へ行ってみるのも面白い。

5、スポーツ用品: 靴や手袋、それに帽子などの直接身につけるものは避けた方が良いだろう。それ以外の品物、たとえばゴルフクラブやテニスラケットなどは、オンラインや新聞で格安なものを見つけることができる。

6、タイムシェア: 時分割方式のマンション投資などは、単にお金が無駄なだけ。

7、自動車: 平均的な新車は、最初の1年間で12.2%の価値を失う。2万ドルの車なら2440ドルの損額に相当し、毎月約200ドル減るわけだ。昔と違って最近の車は長持ちするから、点検済みの優良中古車の購入も考えてみよう。

8、ゲームソフト: これもオンラインで格安なものを入手できる。

9、オフィス用家具: 新聞の広告欄などで、割安なものを見つけることができる。倒産した会社が、超割安で家具を処分することもある。

10、日曜大工道具: ドライバー、レンチ、金槌、ほぼ何でもフリーマーケット(のみの市)で安く買うことができる。

2月14日はバレンタインデー。チョコレートを想像される方が多いはずだが、アメリカでは夫婦や恋人の間でプレゼントが交換される。人気商品の一つがダイヤモンドだ。金や銀は、商品先物市場で取引されているが、なぜダイヤモンドには同様な市場が無いのだろうか?経済レポーター、マイラ・サフォング氏の話を聞いてみよう。

ダイヤモンドの取引所など無理だ、というのが、圧倒的に多い業界関係者たちの声だ。しかし、マーチン・ラパポート氏(ラパポート・ダイヤモンド・レポート)は、20年の時を経て、再度ダイヤモンド取引所設立に挑戦する。1982年、ラパポート氏は、ニューヨーク商品取引所に、ダイヤモンドの先物を提案したが却下された経験がある。

「ダイヤモンド業界からの圧力だと思います。たぶん業者たちは、ダイヤモンド価格を不透明なままにしておきたかったのではないでしょうか」、とラパポート氏は語る。現在、氏はダイヤモンド先物市場案の最終的な見直しをしている。

たしかに、氏が指摘するように、業者からの反対が大きな壁になっているようだが、ダイヤモンドも金や銀と同様な商品であることを業者たちに納得させなければいけない。ダイヤモンドは天然資源であり、量には限りがある。品物としての価値もあり、人々は自由に売買することができる。まさに、ダイヤモンドは商品ではないだろうか?

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ダイヤモンド市場の40%を独占するのはデビアス社だ。「ダイヤモンドはユニークなものですが、商品ではありません。物が商品市場で取引されるためには、全てが同じ品質を持たなくてはいけません。ダイヤモンドには、その保証ができないのです。」(デビアス米国担当、ロサリンド・カインヤ氏)

ゴールド・フォーキャスター・ドット・コムの、ジュリアン・フィリップス氏も同意見だ。「一粒一粒が違いますから、正確に価格を決定するには、ひとつずつ鑑定する必要があります。」

「ダイヤモンドには、普通の商品とは大きく異なる点があります」、とデービッド・コフィン氏(アナリスト)は言う。「人々がダイヤモンドを買う理由は、儲けるためではありません。テレビのコマーシャルでも分かりますが、ダイヤモンドは愛の表現です。いったん受け取った人は、先ず手放しませんから、活発な再販市場は存在しません。」

「それでも、ダイヤモンドの先物市場は実現できます」、とラパポート氏は頑張っている。「ようするに、ダイヤモンドを標準化すれば良いのです。保証書が付いているものだけを取引対象にして、標準化を徹底させるのです。」さて、ラパポート氏は、今回、どの先物市場に提案書を持っていくのだろうか?

魅力的なPMV4銘柄

最近、PMV(Private Market Value)アナリシス、という言葉をよく耳にするようになった。有望な銘柄を選ぶための、一分析方法だが、ファンドマネージャーのマーティー・ホイットマン氏も利用している一人だ。もし、あなたがB社の買収を考えていたとしよう。一株当たり、いくら払ったら良いだろうか?この質問に答えを出すのがPMVアナリシスだ。

銘柄のPMVを割り出すことで、現在の株価が割高なのか、あるいは割安なのかを検討することができる。そこでフォーチュン誌は、ラインハート・パートナーズの協力を得て、3000銘柄のPMVを分析した。さっそく、将来性の高い有望銘柄を見てみよう。

1、Actuant (ATU): 2000年、アプライド・パワーから分離独立して出来上がったのがActuant(住宅修繕用の工具メーカー)だ。年商は12億ドルほどだから、決して極端に魅力的、というわけではない。しかし、ラメッシュ・プーラ氏(モーニングスター)の話によれば、向こう12カ月間に予想される利益を基に計算した株価収益率は、たったの14という割安レベルだ。ラインハート・パートナーズの弾き出したPMVは68ドル。(現在の株価は50ドル10セント)

2、Federated Investors (FII): 2370億ドルの資金を運用するFederated Investors は、多数あるファンドの中で、トップクラスの成績をあげている投資会社の一つだ。クリストファー・ドナヒュー氏(最高経営責任者)は、更に投資結果を向上させるために、70億ドルの資金を運用するMDTアドバイザーズ(コンピュータを駆使した投資で有名)を最近買収した。毎年、S&P 500指数以上の伸び率を記録しているロイス・プリミア・ファンドのほとんどもFederated Investors に買収されている。FIIのPMVは43ドル。(現在35ドル58セント)

3、MGIC Investment (MTG): ミルウォーキーに本社を置くMGIC Investment は、全米で最大の抵当保険会社だ。この業界が成長するためには、米国の住宅市場が上向きになる必要がある。大幅な失業率上昇を予想するアナリストはいないから、住宅ローンの返済が不可能になる人の数もさほど増えないはずだ。PMVは95ドル。(現在66ドル79セント)

4、O'Reilly Automotive (ORLY): O'Reilly Automotive は全米に1500の店舗を持つ、自動車部品とアクセサリーをあつかう年商22億ドルの小売業者だ。自動車の修理には季節性や流行がないから、たとえアメリカの経済が下向きになったとしても、この業界は大幅に落ち込む心配が無い。PMVは40ドル。(現在の株価は34ドル45セント)

金額よりも人数

こんな数字がある。過去25年間を振り返ると、積極的に政治献金をしている企業の株価は、マーケット全体の成長率を2.5ポイント上回っている。「私個人的には驚かされるような事実ではありませんが、良い悪いは別にして、ワシントンの政治家に投資することは無駄ではありません」、とプルーデンシャル・ファイナンシャルのチャールズ・ガブリエル氏は言う。

経済コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏によれば、見返りを考えれば、政治献金は決して多額なものではない。2年ごとに選挙がやって来るが、平均を見ると、企業が一人あたりの政治家に選挙資金として献金するのは約1700ドルから2000ドル(20万4000円から24万円)で、合計56人だ。

更に、ブラッシュ氏の調べによると、集中的に少数の政治家に献金するのではなく、献金する政治家の数は多ければ多いほど株価に好影響となる。

なぜ少ない額の献金が株価に良い結果をもたらすのだろうか?ミシガン大学のフセイン・グーレン教授は、こう説明している。「企業から見れば、一人頭約2000ドルは微々たる金額ですが、個人の平均献金は115ドルほどです。それに比べれば、2000ドルは多額です。たしかに選挙資金の40%から80%は個人からの献金ですが、やはり企業からの金額は目立ちます。」

ブラッシュ氏の話に戻ろう。「人数が多ければ多いほど良い、と言いましたが、議員なら誰でも構わない、というわけではありません。大切なのは、議会で重要な役についている議員や、企業の本拠地から立候補している議員に狙いをしぼることです。民主党の議員よりも、共和党議員に多く献金される傾向がありますが、株価を見る限り、民主党議員に献金したほうが有益です。」

政治献金に、もっとも熱心なのはロッキード・マーチン(LMT)、ボーイング(BA)、ゼネラル・エレクトリック(GE)などの政府と大きな契約を結んでいる企業だ。たとえば、GEが献金している政治家数は530人、ボーイングは442人、そしてロッキードは438人におよぶ。

大手銀行、バンクオブアメリカは450人に献金し、数なら上記の軍事産業に負けない。「現在、銀行が買収によって成長できる範囲は、連邦法によって限られています。もし議会がこの制限を取り払うなら、バンクオブアメリカ(BAC)は、積極的な買収で、市場を大きく伸ばすことが可能になります」、とモーニングスターのアナリスト、クレッグ・ウォーカー氏は指摘する。

世界最大手の小売業者、ウォルマート(WMT)は416人の政治家に献金している。コストを低く抑えるために、海外から安い製品を大量に輸入しているウォルマートだけに、貿易政策にはいつも目を光らせている。

グーグル(GOOG)はいくらまで買えるだろうか?29人のアナリストたちの目標株価を見ると、415ドルから650ドルまでのばらつきがある。現在、株は470ドルで取引されているから、650ドル論を信じるなら、グーグルはまだ割安だ。しかし、650ドル論が正しいという保証は無い。だれを信じたら良いのだろうか?さっそく、インターネット株アナリストの経験がある、ヘンリー・ブロジェット氏の話を紹介しよう。

どんなに優秀なアナリストでも、グーグルの正当株価は分からない。もちろん、これはグーグルに限ったことではなく、全ての株に言えることだ。正当株価、目標株価、株価ターゲット、と表現のしかたは色々あるが、これらの数値は100%科学的に計算されたものではなく、主観的要素がかなり入っている。

目標株価を弾き出すためには、過去のデータだけでなく、予想される収益や売上などが必要になる。問題は、アナリストによって、将来の見方が大きく違うことだ。たとえ同じ資料を持っていたとしても、強気なアナリストならとうぜん高めの収益を予想し、悲観的なアナリストなら極めて保守的な数値を発表する。これが、グーグルの目標株価に決定的な差が生じる一原因だ。

目標株価を算出するためには、予想される将来のキャッシュ・フローが必要になる。株価収益率や時価総額などは、簡単に割り出すことはできても、だれにも将来のキャッシュ・フローは分からない。だから、とうぜんの結果として推定することになる。言い方を換えれば、肝心の部分に見積もりが使われるわけだ。

推定される数字も、企業やセクターによって、大きな違いがある。グーグルのような若い成長株やインターネットセクターには、食品セクターに適用される地味なモノサシが使われることはなく、アナリストの高い期待感が尺度になる。ようするに、データの裏付けは無く、極端な言い方をすれば、グーグルの目標株価はアナリストの期待感で決まる。

だからといって、アナリストはいい加減な意見を発表して、株価を操作しようとしているわけではない。インターネットバブル時代に起きたリサーチ・スキャンダルで、今日のアナリストは極めて慎重になっている。現に、証券取引委(SEC)をあまりに恐れるあまり、最近のアナリストの意見は投資に使えるものが少ない。

過去のデータを基に、最新のソフトウェアを使って将来の収益やキャッシュ・フローを推定する今日でも、以前と同様に大きな許容誤差がある。目標株価を予想するのは、目隠しをして100メートル先の動く標的を撃ち落とそうとするようなものだから、アナリストに必要なのはレーザー・ガンではなく散弾銃だ。

ビジネス界にあふれる変な話

2006年、7月のことだった。大幅な従業員削減に踏みきったノースウエスト航空は、「お金を節約する101の方法」、と題されたパンフレットを、社員に配布した。ゴミ箱から物を拾うのは恥ずかしいことではない。古い新聞紙は猫のトイレに使える。森を散歩することでデートは割安になる。まったく人を馬鹿にしたパンフレットだが、ビジネス界にはこんな失礼な話や失敗談であふれている。いくつか見てみよう。

カジノ経営者、スティーブ・ウィン氏は所有するピカソの「Le Reve」を1億3900万ドル(約166億円)で手放すことになった。最後の機会、ということで何人かの訪問者に絵画を見せているときだった。単に指で示せば済むことなのだが、ウィン氏は肘で「Le Reve」叩いた。訪問者の耳には、絵画の裂ける音がはっきりと聞こえた。もちろん、この一件で1億3900万ドルの話は無効になった。 

コムキャスト(ケーブルテレビ会社)の修理作業員が、ブライアン・フィンケルスタインさんの自宅に来たときの話だ。こともあろうに作業員は、修理どころか、テレビの前にある長いすで寝てしまった。フィンケルスタインさんが起こそうとすると、「疲れているんだ。眠らせてくれ」、と図々しい作業員。もちろん、この修理作業員は首になったが、フィンケルスタインさんが一部始終を撮ったビデオは、インターネットで大ヒットだ。

ラップトップ型(ひざのせ型)コンピュータの爆発事件(バッテリーが原因)で、米国消費者製品安全委員会は、次のような警告を発表した。「危険防止のため、ラップトップ型コンピュータを使用する際は、ひざの上にのせないでください。」

ロサンゼルスに本社があるFiji(ボトル入りの水)は、こんな広告を出した。「Fijiのレベルが示すように、この水はクリーブランドの水ではありません。」この広告に対抗するため、クリーブランドのある機関が、徹底的にFijiをテストした。その結果わかったことは、Fijiには1リットルあたり6.3マイクログラムのヒ素が含まれていた。もちろん、Fujiは反論した。「当社の検査によれば、1リットルあたりに含まれるヒ素は6.3マイクログラムではなく、2マイクログラム以下です。」

ロバート・ストークス氏は、損害賠償(30万ドル、約3600万円)を求めてグレーハウンド・バスを訴えた。事件は、家族揃ってドライブしているときに起きた。すれ違ったバスから、突然トイレの中身が投げ捨てられ、サンルーフを開けてドライブしてたストークス氏一家はずぶ濡れになった。

8月、ラジオ・シャックは、Eメールで400人の社員に解雇通知を送った。メールは、こう書かれていた。「現在当社から、従業員削減計画の一環として、何名かの社員の皆さんに解雇通知が送られています。まことに残念ですが、あなたの職が削減対象の一つになりました。」

割安3銘柄

S&P 500指数は6年ぶりの高値を記録し、好調なマーケットが続いている。これだけ株が上がってしまった今日、まだ割安株は残っているのだろうか?「答えはイエスです」、と強調するのはUnTapped Opportunities(投資ニュースレター)のナンシー・ザンベル氏だ。バリューショッパー、として知られる氏は、銀行でのクレジット・アナリストの経験を生かして効果的に銘柄を選んでいる。ザンベル氏の話を続けよう。

「銀行以外にも、証券会社でアナリストの経験があります。その時、こんなことに気がつきました。

・経営陣の手腕と、企業収益上昇率には密接な関係がある。

・アナリストが隠れている有望な企業を発見するには時間がかかり、そのため株価が正当な水準で推移していないことが多い。

・投資者としての常識と、一般的に使われている方法を利用すれば、ほとんどの企業を適切に分析することができる。

実際の分析方法を、簡単に説明します。先ず株価と一株利益を比べます。そして、過去5年間の値動きを見て上下幅を確認します。同セクターに属する株を一つ一つ調べて、どれが割安であるかを判定するわけですが、もちろん、これで終わりではありません。

どんなにファンダメンタルズが優れた会社を発見しても、マーケット全体の流れを無視したのでは、良い投資結果を得ることができません。ですから、ファンダメンタルズだけに集中するのではなく、株に影響を与える周囲の分析も必要です。」

それでは現在、ザンベル氏は、どんな銘柄に注目しているのだろうか?

「カーライル(CSL)という建築株があります。第3四半期の決算は、同業者を大きく引き離す、ずば抜けた結果でした。カーライルの収益成長率は19%を記録し、業界平均6.4%のほぼ3倍です。営業利益率の10.3%は、業界平均5.4%の約2倍です。カーライルは、第4四半期の決算発表を来週に控えています。好結果が予想されますから、買い手を集める可能性があります。」

先日のブッシュ大統領の演説でも分かるように、ワシントンで代替エネルギーが注目されている。特に、中間選挙で勝った民主党はこの問題に熱心だから、ザンベル氏はエタノール銘柄のMGP Ingredients (MGPI)を推している。

もう一つ氏が見ているのはOption Care(OPTN)だ。高齢化する社会、そして次々とベビーブーマー世代が定年退職をむかえ、ヘルスケア・サービスのOption Careが狙えるという。OPTNの収益成長率は、業界平均の約2倍に相当するが、株価収益率は19.20だから割安だ。さらに、先日UBS証券とJPモルガンから買い推奨も出され、投資者から注目され始めている。

2月に入り、決算シーズンもほぼ終わりだ。予想以上に良かった、悪かった、と連日忙しく報道されていたが、マーケット関係者を本当に驚かせたのはどの企業だっただろうか?さっそく振り返ってみよう。

1.AMRコーポレーション (AMR):

テキサス州フォートワースに本拠地を構える、AMRコーポレーションはアメリカン航空の親会社だ。1月17日、誰もが赤字決算を予想していたが、第4四半期の結果は1700万ドルの黒字だった。金額的には微々たるものだ。しかし、航空運賃の値上げとリストラの効果がついに表れ、AMRは2000年以来初めての黒字決算になった。

2.アドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD):

チップメーカー第2位のAMDは、業界首位インテル(INTC)との価格戦争が大きく裏目に出て、第4四半期は5億7400万ドルの赤字決算だ。さっそく株は投げられ、最近52週間の安値を更新した。

3.アルカテル・ルーセント (LU):

2006年、アルカテルとルーセント・テクノロジーズが合併して出来上がった会社だが、波乱な決算になった。アナリストの予想を大きく外して、株価は一気に12%の下落だ。

4.アップル (AAPL):

iPodの支配は続く。新製品iPhoneニュースの数日後、アップルが発表した決算は巨大だった。収益の10億ドルは、全てのアナリストの予想を上回っただけでなく、アップル史上最高の成績だ。

5.エナジャイザー (ENR):

電池で有名なエナジャイザーの決算は、1月23日だった。亜鉛の価格上昇が予想されるが、他のコストを削減することで、将来的な悪影響は回避できる、といった見方を決算後に発表した。投資者は、このコメントと好決算を素直に受け入れ、株価は高値を更新した。

6.エスティーローダー (EL):

化粧品メーカー、エスティーローダーの利益は2倍以上の伸びを記録した。この爆発的な結果は、一日で株価を15%上昇させた。

7.グーグル (GOOG):

1月31日の好決算発表で、これで過去11回を振り返ると、アナリストの予想を外したことは1度しかない。一株利益は3ドル18セントを達成し、アナリストが見込んでいた2ドル92セントを難無く上回った。

8.ハーシー (HSY):

チョコレートの売上が伸びず、四半期の利益は10%の減少になった。更に、サルモネラ菌の一件で、カナダでリコール、という事態も起こしてしまった。経営陣は、2007年は国際的な市場拡大を計画している。

9.IBM (IBM):

IBMの一株利益は、アナリストの予想を7セント上回った。しかし、株価のほうは5%の下落だ。たしかに、一株利益は予想以上だったが、これは税率が下がったことが原因だ。

10.SAP AG (SAP):

新ソフトウェアを推進するために、SAPは利幅を約1%減らす計画があることを決算と同時に発表し、アナリストたちを唖然とさせた。決算自体も、満足のできる結果ではなかったから株価は13%の下落になった。

11.サン・マイクロシステムズ (SUNW):

ついに黒字決算を発表した。2006年度の最終四半期、サン・マイクロシステムズは1億2600万ドルの利益をあげ、前年度同期の2億2300万ドルの赤字から、大きく立ち直った。これは、単なる一回限りの出来事で終わるだろうか?これからの収益が注目される。

12.ヤフー (YHOO):

グーグルに完全に圧倒され、ここ数年間、ヤフーは低迷している。こんな状態だっただけに、1月23日に発表された予想以上の決算に、とにかく皆おどろいた。2月5日には、新広告用プラットフォーム、Panamaの公開が控えている。

今年狙えるダイエット関連株

今年こそ体重を減らそう、と多くの人たちが新年に決心してから、1カ月の時が経った。肥満が大きな問題になっているアメリカだけに、次から次へと、新しいダイエット方法が登場する。もちろん、ダイエット産業は投資としての魅力もあるが、これだけ会社が多いと、どれを買ったら良いか分からない。そんなわけで、ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)が紹介する株を見てみることにした。

「減量関連銘柄で、なんと言ってもナンバー1はライフ・タイム・フィットネス(LTM)だ。人によっては、タウン・スポーツ(CLUB)の方が好きなようだが、営業利益率やメンバーシップ料金から得られる収入を考慮すれば、やはりライフ・タイム・フィットネスに分がある。

ダイエット産業や健康産業が大きく成長できたのは、国民の健康意識が高まったことにあるかもしれないが、一番の原因は減量の難しさだ。体重を減らすことが簡単なことなら、毎年減量を新年の抱負にする必要など無い。違った表現をすれば、ダイエット産業は人々の失敗に支えられているわけだ。

最近、プルーデンシャルのアナリストはライフ・タイム・フィットネスをアンダーウェイトに格下げした。アンダーウェイトなどと言うと分かりにくいが、ようするに売り推奨だ。この格下げの理由が面白い。「ライフ・タイム・フィットネスは、高級住宅街周辺への進出を計画しているが、これには膨大な投資が必要になり、四半期の収益に悪影響になる。」

フィットネス・クラブを増設することは、言うなでもなく多額な金が要る。しかし、高級住宅街の近くに、最新の設備を備えた贅沢なクラブを開設するのだから、法外とも言える破格なメンバーシップ料金を稼ぐことができる。一時的な出費よりも、将来の大きな収入を考えればライフ・タイム・フィットネスは売りではなく買いだ。」

数日前、UBS証券のアナリストは、ライフ・タイム・フィットネスに関してこう語っている。「最近の好調な上昇で、ライフ・タイム・フィットネスの割高を気にする投資者がいる。しかし消費者関連株で、ライフ・タイム・フィットネスは最も成長が期待できる銘柄の一つだ。割高と感じるのは、現在の株価収益率だけに気を取られすぎているからだと思われる。」

ニュートリシステムズ(NTRI)というダイエット関連銘柄もあるが、この株には手を出さないほうが良い、とクレーマー氏は付け足している。「ニュートリシステムズの欠点は、小売店を通さずに、直接消費者に販売するビジネスモデルだ。このセクターで成功するには、小売店にも商品を置く必要がある。もし、ニュートリシステムズのような株に興味があるなら、ウェイト・ウォッチャーズ(WTW)が良いだろう。」

メッセージはいつも同じ

全米不動産業協会チーフ・エコノミスト、デービッド・レレア氏の言うことは、いつも同じ二点をくり返すだけだ、と経済コラムニストのレックス・ナッティング氏は語る。

1、住宅売買に、間違ったタイミングは無い。いつどんな時でも、住宅は良い買い物だ。
2、米国住宅市場は既に底を打った。

特に2番目だが、レレア氏は住宅市場の底打ちを、もう一年以上も言い続けている。先日発表された、12月分の中古住宅販売件数は、前年同時期と比べると7.9%の減少だった。2006年全体を見ると8.4%減となり、これは最近17年間で最も大きな下落率だ。こんな事実を突きつけられても、レレア氏の顔からは笑みが消えない。

ここで、レレア氏のコメントを振り返ってみたい。

2006年1月:

氏の予想: 「現在、住宅市場は正常化の過程にある。」
実際の結果: 第4四半期の住宅売上件数は12.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「今日発表された住宅販売件数は、十分に継続維持できるレベルだ。数カ月後、住宅市場は上向きになっていることだろう。」

2006年4月:

氏の予想: 「住宅販売件数は、とうぜん上下するが、高い水準で横ばいになるはずだ。」
実際の結果: 第1四半期の住宅販売件数は年間ベースで679万件。8.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「この数字が証明しているのは、米国住宅市場が、急成長からおだやかな最長率になった、ということだ。」

2006年7月:

氏の予想: 「住宅市場が落ち着き、安定が見られるはずだ。」
実際の結果: 第2四半期の住宅販売件数は年間ベースで669万件。マイナス6%だった。
発表後の氏の言葉: 「たしかに住宅市場に安定を観測できる。」

2006年10月:

氏の予想: 「住宅売上数が上向きになるだろう。」
実際の結果: 第3四半期の住宅販売件数は22.2%減を記録した。
発表後の氏の言葉: 「おそらくここが、住宅市場の底だろう。」

2007年1月:

氏の予想: 「順調な住宅売上数の回復に伴い、住宅価格も上昇していることだろう。」
実際の結果: 第4四半期、住宅販売件数は年間ベースで624万件。2.3%減だった。
発表後の氏の言葉: 「これで、たしかに住宅市場の底が確認できたようだ。」

そして結論として、ナッティング氏はこう付け加える。「もちろん、レレア氏一人だけを槍玉にあげるのは不公平なことだと思います。他にも、多くのエコノミストたちが、2006年に起きた住宅市場の大幅下落を予想できませんでした。しかしレレア氏は、住宅市場の具体的なデータを持っているにもかかわらず、事実ではなく氏の個人的な意見を教壇の上から説教していたのです。」

メッセージはいつも同じ

全米不動産業協会チーフ・エコノミスト、デービッド・レレア氏の言うことは、いつも同じ二点をくり返すだけだ、と経済コラムニストのレックス・ナッティング氏は語る。

1、住宅売買に、間違ったタイミングは無い。いつどんな時でも、住宅は良い買い物だ。
2、米国住宅市場は既に底を打った。

特に2番目だが、レレア氏は住宅市場の底打ちを、もう一年以上も言い続けている。先日発表された、12月分の中古住宅販売件数は、前年同時期と比べると7.9%の減少だった。2006年全体を見ると8.4%減となり、これは最近17年間で最も大きな下落率だ。こんな事実を突きつけられても、レレア氏の顔からは笑みが消えない。

ここで、レレア氏のコメントを振り返ってみたい。

2006年1月:

氏の予想: 「現在、住宅市場は正常化の過程にある。」
実際の結果: 第4四半期の住宅売上件数は12.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「今日発表された住宅販売件数は、十分に継続維持できるレベルだ。数カ月後、住宅市場は上向きになっていることだろう。」

2006年4月:

氏の予想: 「住宅販売件数は、とうぜん上下するが、高い水準で横ばいになるはずだ。」
実際の結果: 第1四半期の住宅販売件数は年間ベースで679万件。8.6%減だった。
発表後の氏の言葉: 「この数字が証明しているのは、米国住宅市場が、急成長からおだやかな最長率になった、ということだ。」

2006年7月:

氏の予想: 「住宅市場が落ち着き、安定が見られるはずだ。」
実際の結果: 第2四半期の住宅販売件数は年間ベースで669万件。マイナス6%だった。
発表後の氏の言葉: 「たしかに住宅市場に安定を観測できる。」

2006年10月:

氏の予想: 「住宅売上数が上向きになるだろう。」
実際の結果: 第3四半期の住宅販売件数は22.2%減を記録した。
発表後の氏の言葉: 「おそらくここが、住宅市場の底だろう。」

2007年1月:

氏の予想: 「順調な住宅売上数の回復に伴い、住宅価格も上昇していることだろう。」
実際の結果: 第4四半期、住宅販売件数は年間ベースで624万件。2.3%減だった。
発表後の氏の言葉: 「これで、たしかに住宅市場の底が確認できたようだ。」

そして結論として、ナッティング氏はこう付け加える。「もちろん、レレア氏一人だけを槍玉にあげるのは不公平なことだと思います。他にも、多くのエコノミストたちが、2006年に起きた住宅市場の大幅下落を予想できませんでした。しかしレレア氏は、住宅市場の具体的なデータを持っているにもかかわらず、事実ではなく氏の個人的な意見を教壇の上から説教していたのです。」

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