米国経済は、既に思っている以上に悪い、という声が聞こえるようになった。先週金曜に発表された第3四半期GDP(国内総生産)は、予想された+2.1%を下回る+1.6%、という結果だった。これだけでも冷えこみを見ることができるが、実際の数値は、+1.0%に満たないという。
アライアンス・バーンスタイン社のエコノミスト、ジョー・カーソン氏はこう語っている。「今回の報告で際立って目立つのは、26%増の自動車生産量です。この数字を除くと、GDPは発表された+1.6%ではなく、+0.9%になります。
既に、ゼネラルモーターズ(GM)とフォードモーター(F)は減産が実施されていますが、それにもかかわらず、なぜ生産量が増えたのでしょうか?答えは、スポーツ用多目的車(SUV)や小型トラックの卸売り価格が下がり、各自動車メーカーは売れ残った2006年型モデルを、いっせいに処分しようとしたためです。自動車業界の低迷が、具体的な数字としてGDPに現れるのは、次の発表になると思います。」
少し説明すると、米国商務省が車の生産量を割り出すために使っているのは、自動車卸売り業者からの数字だ。第3四半期、スポーツ用多目的車(SUV)の卸売り価格は5.5%ほど下がり、一時的に販売数が上がった。しかし、格安価格での売上だから、単にSUVが右から左に動いたたけだ。
カーソン氏は、自動車メーカーの低迷は次のGDP発表で顕著になる、と言っているが、それを裏付けする報道があった。フロリダに本拠地があるオートネーションは、アメリカで最大の自動車とトラックの卸売り業者だ。その規模は、80のGM販売店、48のフォード販売店、58のクライスラー販売店、そして147のフランチャイズ店にのぼる。
第4四半期、オートネーションはデトロイト自動車メーカーへの注文台数を30%減らす。最高経営責任者、マイク・ジャクソン氏によれば、全米各地での販売数が下落している。今年9月までの状況を見ると、GM車の売上は8.6%減、そしてフォードとクライスラーがそれぞれ7.3%減だ。「このままの状態では、2007年になっても、2006年型の販売が続きそうだ」、とジャクソン氏は述べている。
危険シグナルは、自動車産業だけでなく、他の製造業や小売セクターにも見られる。たとえば、先日発表された小売最大手、ウォルマートの売上は2000年12月以来の低成長だった。製造業者は、予想以上に大きな在庫を抱えているから、第4四半期の生産量は下落することだろう。
マスコミは、住宅市場の冷えこみばかりを報道するが、アメリカの経済の落ち込みは、思っているより広範囲にわたっているようだ。
Tuesday October 31, 2006
US Market Recap
あてにならないGDP
Stocks You Need To Know About
GM
上でも触れた、GMの日足を見てみよう。
数日間下げていたが、サポートレベルが押し目買いのチャンスになった。明日、今日の高値が突破できれば、更なる買いを集めることだろう。
Wall Street English
上昇の理由
好調なマーケットについて、アドバイザーのポール・ノルテ氏は、こう語っている。
The market is just trading off the lower oil prices because the economic numbers we got were more or less in line with expectations.
ここまで発表された経済指数は、ほぼ予想どおりのものばかりですから、オイル価格の下落が主な材料となって、株が買われています。