サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コープ(SAI)が株式市場にデビューする。最終的な公募価格は木曜に決定され(予想は13ドルから15ドル)、そして翌日金曜が初取引だ。幹事証券会社はモルガン・スタンレーとベア・スターンズ、合計で7500万株が発行される。
なぜ注目されるのか?5年前の9月11日以来、テロリズムがアメリカ人に現実の問題となった。テロリストに対抗するには、正確な情報収集が必要になり、そのためには最新のテクノロジーが要る。そんな要望に応えるのが、サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コープ(SAI)だ。
テロ対策(カウンターテロリズム)、企業の機密保持、密輸発見などに使えるソフトウェアやハードウェアの開発だから、SAIの主な収入源は米国政府機関だ。ザ・ストリート・ドット・コムによれば、SAIの技術はロッキード・マーチン(LMT)やノースロップ・グラマン(NOC)に匹敵するようだから、軍事関連銘柄の人気株になる可能性がある。
新規公開株には若い企業が多い。SAIが創立したのは1969年、そして現在の社員数は4万3100人だから、昨日今日に始まった会社ではない。若い会社には爆発的な伸びが見られるものだが、SAIは安定している。2005年から2006年の成長率は8.4%だから、投資者によっては物足りないかもしれない。しかし、77億ドルを超える収益、と聞いたら無視できなくなるだろう。
さて、新規公開株から核実験で問題になっている、北朝鮮に話題を移そう。「ナイーブかもしれませんが、これで地球最後の日が更に近くなった、という見方には反対です」、と言うのは経済コラムニストのジェームズ・スチュワート氏だ。「たしかに予測が難しい国ですが、たとえ北朝鮮であったとしても、私は核兵器を実際に使うことはないと思います。」
まったく人騒がせな国だが、スチュワート氏は、これが新興市場を見直す良い機会であることを指摘する。「新興市場の成長が話題になっていますが、5月がピークになり、その後は冴えない展開です。例をあげましょう。iShares MSCI Emerging Markets Index fund(EEM)は、新興市場に投資をする上場投信です。5月に111ドル10セントの高値を記録し、6月には82ドルまで下げ、現在99ドル付近で取引されています。過去3年間を振り返ると、EEMの年間平均成長率は+28%です。北朝鮮が心配材料になった今日、もはや28%といった高成長は難しいと思われます。
しかし、こんな状況でも新興市場の一つである韓国は買えそうです。もちろん、韓国が北からの脅威を一番受けていることは承知です。今年、韓国の株式市場は4%以上の下げです。株価収益率(PER)は約11ですから、まだ比較的割安なレベルです。積極的な買いは勧めません。あくまでも割安が主な理由ですから、Korea Fund (KF)やKorea Equity Fund (KEF)の上場投信が狙えると思います。」