S&P500指数と、ファンドマネージャーの成績がよく比較される。S&P500が+8%、そしてファンドマネージャーが+15%なら、優れたファンドマネージャーだ。だから、たとえ年間で5%の損を出しても、S&Pがマイナス7%なら、優秀なファンドマネージャーという評価を得ることができる。
「問題なのは、多くのファンドマネージャーが、S&P500指数を上回る成績を、コンスタントに上げることができないのです」、と語るのは経済ジャーナリストのトーマス・コスティジェン氏だ。もちろん、これは新しいニュースではない。時おりマスコミは、半分冷やかしで、冴えないファンドマネージャーの成績を話題にしているから、投資者たちはS&P500を破ることの難しさは承知している。
しかし、プロに任せるのだから、やはり優れたリターンが欲しい。ファンドマネージャーも、良い成績を残さなければ投資者に逃げられてしまう。うまい解決方法はないだろうか?コスティジェン氏の話に戻ろう。
「簡単に言ってしまえば、S&P500指数を買えば、それに近い成績を出すことができます。これが指数ファンド(インデックス・ファンド)が生まれた原因です。投資者たちからも圧倒的な支持を受けて、ミューチュアルファンドには数多い種類がありますが、今日、インデックス・ファンドが最大の規模になりました。」
積極的なファンドマネージャー、そして消極的なマネージャーがいるが、ロバート・コソースキー氏(英国インペリアル大学)は、こんな発表をしている。「積極的なファンドマネージャーは、下げ相場において、指数を3%ほど上回る成績を上げています。しかし、上げ相場では逆に2%ほど下回っています。」(積極的なマネージャーの特徴には、頻繁な銘柄入れ替えや、限られた数の銘柄への集中投資などがある。)
ジェーソン・トマス氏(コーチス・フィッツ社)は、こう付け加える。「ヘッジファンド・マネージャーのように、投資スタイルが積極的になればなるほど成績が悪くなります。」この言葉で思い出すのが、先日報道されたヘッジファンドのアマランスだ。天然ガスに集中投資して、35%以上の損を出し、投資者は解約したくても解約できない状態だ。
ジェーソン・トマス氏自身も、約20億ドルの資金を運用している。正確に言えば、氏は預かった20億ドルを、ファンドマネージャーたちに運用させている。「積極的なファンドマネージャーを使うことは止めました。積極的だからといって、いつも良い銘柄を選べるわけではありません。それよりも、安定している消極的なファンドマネージャーを使った方が無難です。」
それでは、一般投資家はどうしたらいいのだろうか?「ベアマーケットなら積極的なファンドマネージャーのいるファンドを選び、ブルマーケットならインデックス・ファンドに投資することです」、とコソースキー氏は勧める。