瞬時突破する場面もあったが、ダウ指数は三日連続で高値を更新することができなかった。たった30銘柄で構成される指数だから、もちろん、マーケット全体を反映しているわけではない。現に、S&P500指数が2000年のレベルに復帰するには、まだ16%の上昇が必要であり、ナスダック指数は2倍以上にならなくてはいけない。
10月のマーケットが始まる。米国経済は、過去3年間のような成長が望めなくなり、ソフトランディングが濃厚になった。「経済は過熱することなく、ゆっくりとした成長になるでしょう。金曜日に発表される雇用統計にも、それが確認できるはずです。金利引下げの時期はまだですが、連銀は金利据え置きをしばらく続けると思われます」、とUBS証券のモーリー・ハリス氏は言う。
最近、オイルやガソリン、それに長期金利が下がっている。ビジネス経営者や消費者には嬉しいニュースだが、ハリス氏は、こう指摘する。「たしかに、消費者にとって良い環境になってきましたが、住宅市場の低迷は続くことでしょう。連銀は、最終的に金利を引き下げることになりますが、住宅市場が完全に冷え込んでしまえば、たとえ低金利になっても肝心な借りる人がいません。」
ハイ・フリークエンシー・エコノミクス社の、イアン・シェパードソン氏はこう語る。「住宅ローンの利子が、6カ月ぶりの低レベルになりましたが、これは単に数字上の話です。住宅ローンの平均金利は6.3%ですが、実質金利は8%です。ここ12カ月間で、住宅価格は平均で1.7%下がっています。ですから、6.3%に1.7%を足すことで、実質金利の8%を計算することができます。1年前の実質金利はマイナス10.6%でしたから、今日の金利が、いかに割高であるかが分かると思います。」
生産分野の健康度を見る、ISM指数(9月分)が月曜に発表される。8月、54.5%だった数値は、53.7%に下降することが予想されている。50%以上の数字は成長を表し、52%を割ると危険シグナルが発せられる。歴史的には、金利引下げは、ISM指数が50%を大きく下回った時に実施される傾向がある。
二回連続で下げた耐久財受注、そして予想以上に悪かったフィラデルフィア連銀からの経済レポートがあった後だけに、今回のISM指数は注目される。住宅市場の冷えこみ、それに個人消費の低下に対抗するには、企業による積極的な設備投資が必要だ。それが無くては、ソフトランディングが実現しない。
次に注目されるのが、金曜の雇用統計だ。失業率は変わらずの4.7%、新規雇用は12万6000人増の、生温い数字が予想されている。個人所得は+0.3%が予測され、年間ベースだと+4%に相当し、2001年6月以来の高レベルになる。個人所得の上昇が続く限り、金利引き下げは無い、というアナリストも多い。