膨大な損を出したヘッジファンド、アマランスから投資者は何を学ぶことができるだろうか?「90億ドルを運用するヘッジファンドは、砂の上に建てられた家のように崩れた」、とザ・ストリート・ドット・コムのジム・クレーマー氏は言う。「アマランスが教えてくれたことは、傲慢な態度が、いかに危険なものかということだ。自信を持つのは構わない。しかし、あまりにウヌボレが強くなると、今回のアマランスのようにトレードがいい加減になり、多くの間違いを積み重ねることになる。」
報道によれば、天然ガスの下落で、アマランスは35%以上の損を出している。当然、解約を求める投資者の殺到が予想されるが、2月1日以降に投資を始めた人たちは、25カ月間、資金をファンドから引き出すことができない。クレーマー氏の話に戻ろう。
「アマランスが大失敗した第1の理由は、資金をエネルギー・セクターだけに極端に集中させたためだ。一つのバスケットに、全ての卵を入れるな、という格言があるように、どんなことがあっても資金の20%以上を、一つの銘柄だけに投資することは避けたい。
信用取引を利用することは、もちろん罪ではない。しかし、アマランスのやり方は無責任すぎる。まだ投資を始めたばかりの人に、私は信用取引を勧めない。信用取引は、借金をして株を買うことだ。積極的な信用取引は、借金を増やすことと同じだから、もし思惑が外れると、アマランスのように膨大な損を出すことになる。安易な気持ちで、信用取引を絶対にしてはいけない。
マーケットを一番よく知っているのは、マーケット自身だ。アマランスは天然ガス市場で大損をしたが、この天然ガス市場をコントロールできる、と思い上がっていたようだ。自信過剰は、つまらない失敗を引き起こす。だから、ウヌボレは罪だ、と思った方が良い。
もし、あなたがミューチュアルファンドに投資しているなら、ファンド・マネージャーがいかに資金を運用しているかを調べよう。アマランスは資金の半分が天然ガス市場に投入されていたから、リスク管理が完全に無視されていた。あなたのファンドは、資金がうまく分散されているだろうか?
ファンドのポートフォリオを調べたら、ファンド・マネージャーの経歴も見てみよう。十分な経験があるだろうか?満足な成績を上げているだろうか?成績で重要なのは、上げマーケットだけでなく、下げマーケットでも良い成績を残していることだ。」
クレーマー氏もヘッジファンド・マネージャーの経験があるが、もう一つこう付け加える。「株と結婚するな、とよく言われるが、アマランスは天然ガスと結婚してしまった。間違ったら直ぐ損切るのが鉄則だが、あまりに自信がありすぎたアマランスは、結局最後まで天然ガスと手を切ることができなかった。」