「米国経済は心配されたような急激後退することなく、安定成長に移行できるだろう。だから、株式市場が高値を更新するのは時間の問題だ。そんなソフトランディングを主張する投資戦略家たちが目立ちますが、私は賛成できません」、と言うのはグローバル・マーケット・コンサルタンツ社のリチャード・サットマイヤー氏だ。話を続けよう。
「先日の会議で、連銀は金利を据え置きましたが、それ以外に選択肢が無かったのです。据え置きを実施することで、マーケット関係者や消費者に、連銀はソフトランディングのシナリオを考えていることが表明できます。逆に利上げだったらハードランディングを引き起こし、利下げなら連銀は金利を上げ過ぎたことを認めることになり、ほぼ間違いなくハードランディングになります。
国債利回りは、短期金利を0.5ポイントほど下回っています。これは何を意味するのでしょうか?国債投資者たちは、連銀は利下げするしかない、と読んでいます。私が一番気になるのは銀行、特に地方銀行です。住宅建築のために、銀行が貸し付けた金額は、現時点で約5140億ドルほどあります。
アメリカの国内総生産は13兆ドルです。ということは、住宅建築に融資された総金額は、国内総生産のほぼ4%になります。あまりにも大き過ぎます。時限爆弾を抱えているようなものです。
木曜、500の地方銀行の動きを見る、アメリカズ・コミュニティー・バンカーズ指数が高値を更新しました。ソフトランディングが買い材料です。連銀は、経済を安定成長に導くことができる、というわけすが、私はそう思いません。逆に今こそ、地方銀行株を利食うべきです。
迫っている中間選挙も注目です。もし民主党が巻き返して、下院と上院の過半数を占めるような事態が起きると、2008年の大統領選挙まで、株式市場に先行き不安感を与えることになるでしょう。」
「ヒットエンドラン株式売買法」の著者、ジェフ・クーパー氏の意見も記しておこう。
「高値が目前のダウ指数だが、まだシャンパンの栓を抜くには早過ぎる。指摘したいのは、1976年から始まった30年周期が終わりに近づいている。単にダウ指数は抵抗線に頭をぶつけているだけでなく、現在の位置は2002年の安値から計算すると、重要な1.618フィボナッチ・レベルだ。
更に、S&P500指数が、今週の安値近辺で引けるなら、週足チャートには反転パターンが出来上がる。実際にチャートを見てもらうと直ぐ分かることだが、先週の強気な線に後続が無いのだから、マーケットから発信されているメッセージは明瞭だ。」