株や先物トレードで、あなたの犯しやすい間違いは何だろうか?一つの銘柄だけに、必要以上の資金を投入してしまう。損の出ている株を更に買い足してしまう。あらかじめ決めておいた株価で損切りができない。他人から聞いた情報を鵜呑みにして感情買いをしてしまう。損を取り戻そうと、躍起になってリベンジ・トレードをする。スリルだけを求めて頻繁なトレードをしてしまう。まだ他にもあると思うが、「トレードの心理」(The Psychology of Trading )の著者、ブレット・スティーンバーガー氏は、トレーダーはもっと根本的なところで間違いを犯している、と指摘する。話を聞いてみよう。
「判断の仕方に誤りがあることに気がつかないトレーダーがいます。たとえば、ある町の一角で、市民たちからアンケートを取りました。65%の人たちが現在の市長を支持し、次の選挙でも現市長に投票する、という返答が得られました。これと類似することが、トレードでも起きます。次の言葉を考えてみてください。
・マーケットは上昇基調だ。
・2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ。
・マーケットは1週間ぶりの高値を記録した。
・今日のボラティリティは今月の最低値だ。
・マーケットは横ばいゾーンからブレイクアウトした。
二番目の、「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ」を例にとりましょう。この言葉を聞いたら、あなたはどう思うでしょうか?多くのトレーダーは、「マーケットは強い。今日は積極的に買える」、と判断することでしょう。このように、現状データを基に、トレーダーは判断を下すのですが、ここで注意が必要です。
市民の65%が現市長に再投票する、の例に戻りましょう。これだけで、現市長が再選される、と簡単に判断して良いのでしょうか?もちろんダメです。ある一角でのアンケートですから、他の場所でもアンケートを取らなくてはいけません。」
もっともな意見だと思う。A地区で市長の人気が高くても、B地区やC地区でも同様な結果が得られるとは限らない。「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だ」、という場合も、これはどこから得た情報か、先ず確認しないといけない。この数値は、ニューヨーク証券取引所の状況だろうか、それともナスダック市場だろうか?
あなたがナスダック銘柄の買いを考えていた場合、ナスダック市場の上げ銘柄数が2対1で下げを上回っていたら、買いを実行するべきだろうか?強いのだから買ってしまえ、と思われるかもしれないが、もちろんそれだけでは買えない。あなたの買いたいのは、ナスダック市場で取引される半導体銘柄だったとしよう。ナスダックが強くても、半導体指数が下げているなら、買いは控えた方が安全だ。
更にスティーンバーガー氏はこう付け加える。「2対1の割合で上げ銘柄数が優勢だった場合、明日もマーケットが上げる確率はどれほどあるでしょうか?そういったデータが無いまま、単に強いからといって買うのは危険です。」