先ず下のチャートを見てほしい。2003年8月、40ドル以上だったクリスピー・クリーム・ドーナツ(KKD)は、現在たったの8ドル8セントで取引されている。
アナリストはどんな見方をしているのだろうか?3カ月前の様子を調べてみると、1人が買い、1人がホールド(中立的意見)、2人が売り、そして2人が強い売り推奨を出していた。そして今月、6人いたアナリスト数が2人減って、2人が売り、そして2人が強い売り推薦だ。人気銘柄なら追っているアナリストの数は増える。クリスピー・クリーム・ドーナツは正にその反対だから、本当に見込みが無いのだろうか?
昨日、また悪いニュースが出た。現在、クリスピー・クリーム・ドーナツには証券取引委から取調べが入っている。決算内容に不審な点があるためだ。そんなわけで、7月に終了した四半期の決算報告が予定どおりにできなくなってしまった。ここで面白いのは、そんなニュースにもかかわらず株価は下げなかった。
「チャートを見てみろよ。ここまで下げたんだ。悪材料は全て織り込み済みさ!」「織り込み済み」、という言葉は非常に便利だ。上げても下げても使える。とにかく手っ取り早く株価を説明するなら、この「織り込み済み」で十分だ。冗談はこれくらいにして、株価が下げ渋っている原因を少し探ってみよう。
ジョージ・シュルツ氏が指揮をとるシュルツ・アセット・マネージメントは、約5.6%に相当するクリスピー・クリーム・ドーナツの株数を保有している。ここまで積極的に買っているのは、株価が極めて割安、と判断したからだ。シュルツ氏はこう説明する。「売上の悪い店の閉鎖も順調に進み、現会計年度の収益は5億ドルを超えることになるでしょう。取調べなどの悪材料で大衆から見捨てられている状態ですが、暗雲が消え去ってしまえば、買収のターゲットになる可能性もあります。」
アメリカ人は、通勤前に軽い朝食としてドーナツとコーヒーを買う。だから、強力なライバルはダンキン・ドーナツとスターバックスだ。ロサンゼルスで、18のクリスピー・クリーム・ドーナツ(フランチャイズ店)を経営するリチャード・レイニス氏はこう語る。「今年3月、クリスピー・クリーム・ドーナツに新最高経営責任者が就任しましたが、今のところ期待したような変化はありません。」
レイニス氏や他のフランチャイズ店経営者が期待していたのは、会社側が積極的にテレビや雑誌を通して、大々的な宣伝をしてくれることだった。たしかに新しいコーヒーになったが、これだけではスターバックスやダンキン・ドーナツに対抗できない。会社をあてにすることはできない、と結論したレイニス氏は個人的にある人気コーヒー会社と契約して、売上向上に必死だ。
さて、クリスピー・クリーム・ドーナツを買い増しているのは、ジョージ・シュルツ氏だけではない。発表された数字を見ると、ミューチュアルファンドも買い足している。たとえば、ロイス・オポチュニティ・ファンドは12万4100株買い増して、現在の保有数は98万4400株、そしてUSマイクロキャップ・シリーズは7万4100株買い足して、保有株数が54万3400株になっている。