債券市場のブルマーケットが始まった。こんなビル・グロス氏(PIMCOファンドマネージャー)の言葉を信じて、7月に中期優良債券の投資を始めたら、既に2.5%の利益が出ている。なんだ、たったそれだけか、と思われるかもしれないが、中期債券でそれだけのリターンを得るには、通常約6カ月が必要だ。
「まだ、誰にも完全にアメリカの金利引き上げ政策が終了したかは分かりません。しかし、格付けの高い優良債券に、投資者たちが戻り始めています」、と言うのは経済コラムや投資コメンテーターとして知られるティム・ミドルトン氏だ。「キャピタルゲインを狙う株投資家にとって、債券はつまらない話かもしれませんが、今こそ債券に注目すべきです。」
債券、と一口に言っても社債、地方債、それに国債などがある。長さも30年物もあれば、3カ月物の国債もある。いったい、どれに注目すれば良いのだろう?ミドルトン氏の話を、もう少し聞いてみよう。
「先回の会議で、連銀は金利を据え置きましたが、リーマン・ブラザーズのアダム・トパリアン氏はこう述べています。「これは単なる一時停止であって、連銀は10月と一月に金利引き上げを実施するだろう。」こんな見解にもかかわらず、トパリアン氏は短期と中期債券投資を推奨しています。短期債券は4年以内に満期が来るもの、そして中期債券は5年から8年までの長さになります。
私たち個人投資者には、中期債券(社債、国債、地方債を含む)を中心に投資するミューチュアルファンドを利用するのが一番便利です。今年成績が良いのは、3.37%の利益があるメトロポリタン・ウエスト・トータル・リターン(MWTRX)です。また、ビル・グロス氏が指揮をとるピムコ・トータル・リターン(PTTRX)も有名です。」
多くのエコノミストやアナリストは、米国経済成長速度の減速を予想している。こんな環境では、投資してはいけない債券が二つある。やたらと利回りの高い債券は避けよう。経営の苦しい企業が、高リターンの債券を発行することが多いから、経済が下向きになったら倒産の可能性もある。先ず、債券の格付けを調べよう。
「住宅市場の冷えこみが顕著になった今日、住宅ローンをパッケージにした債券投資は危険です」、とタッド・リベレ氏(メトロポリタン・ウエスト・アセット)は言う。「米国経済の後退が本格的になれば、住宅市場へのダメージは更に広がります。たとえ利回りが魅力的でも、住宅ローンがパッケージされた債券に投資してはいけません。」