私はギャンブラーではない、とアシラフ・ファヒーム氏(小児科医)は強調する。ちょうど二年前、不動産バブル警報が出ていたにもかかわらず、氏はカリフォルニア州リバーサイド市にある自宅を担保にして、銀行から約40万ドルを借りた。目的は土地に投資するためだ。
ロサンゼルスからラスベガスまで運転をしたことのある人なら聞き覚えがあるかもしれないが、ファヒーム氏が選んだ場所は、バーストーという小さな町から20分ほど離れた砂漠の真ん中にある。連日40度を超える猛暑にみまわれ、人の住めるような環境ではないが、氏の目には大きな可能性を秘めた土地に映った。
「今思えば、何故あんなことをしたのかよく分かりません。何エーカーという広大な土地が、たった数千ドルで手に入るのです。超格安だと思いました。妻には何度も怒鳴られました。「どうして、そんなつもらない土地にお金を使うの?」適切な返事をすることができず、割安だから買うのだ、を繰り返しました」、とファヒーム氏は当時を思い出す。
ここで話は終わりではない。砂漠土地の次にファヒーム氏が目をつけたのは、カリフォルニア州ニューベリー・スプリングズの住宅と土地だ。偶然かもしれないが、これも暑いバーストーの近くにある。データクイック・インフォメーション・システムズの調べによれば、去年、ニューベリー・スプリングズの不動産売上は1560万ドルにおよび、2000年の約7倍を記録した。
なぜこうもニューベリー・スプリングズに人気があるのだろう?先ず、ニューベリー・スプリングズに近いバーストーはラスベガスから約1時間半ほど離れている。実はこのバーストーに、アメリカインディアンが経営するカジノ計画がある。既に、パームスプリングズやテメキュラではインディアンが経営するカジノがあり、毎日大盛況だ。
バーストーにカジノが建てば、職を求めて多くの人たちがやってくる。とうぜん住宅の需要も上昇するから、近くのニューベリー・スプリングズが注目されたわけだ。それに、南カリフォルニアの住宅市場が冷えこみ始め、新しい投資場所として、ニューベリー・スプリングズがいっそう魅力的に見える。
ニューベリー・スプリングズの不動産ブローカー、サンドラ・ブリッタン氏はこう語る。「15年間、まったく動かなかった物件が、2005年から突然上がり始めました。2004年、78000ドルだった物件が、18万ドルで他州に住む投資家が、実際に物件を見ないで現金で買っていくのです。とにかく、売りに出したら直ぐ売れてしまいます。
さて、小児科医のファヒーム氏、購入した土地を400万ドルで売りに出している。買った値段の57倍、ということだが、まだ買い手はいないようだ。
(上記は9月10日のロサンゼルスタイムズの要約です)