クリーネックスを知らないアメリカ人はいない。ティッシュペーパーのことだが、日常会話では「クリーネックス持ってる?」、と尋ねる人の方が圧倒的に多い。そんなアメリカ人に、「どの会社がクリーネックスを作っているの?」、と聞くと「クリーネックス社だろ?」、とおかしな答えが返ってくる。
クリーネックスを製造しているのは、ニューヨーク証券取引所に上場されているキンバリークラーク(KMB)だ。ティッシュペーパー以外にもトイレットペーパー、それにハギーズで知られる紙オムツなども作っている。消費者製品専門の地味な会社なのだが、「原油が値下がりしている今日、キンバリークラークは狙える」、と言うのは「マッド・マネー」(株番組)のジム・クレーマー氏だ。少し話を聞いてみよう。
「良い株を買うことが大切ですが、何故その株を買う必要があるのかを理解することも重要です。ティッシュペーパーが生活必需品であるように、赤ちゃんのいる家庭には、紙オムツを欠かすことができません。そんな理由でキンバリークラークを買う人たちが多いわけですが、もちろんその理由は間違っていません。
ノーブランドの安い紙オムツやティッシュペーパーもありますが、そんな環境でも、キンバリークラークは強い競争力を持っています。正に、クリーネックスやハギーズには熱烈な支持者が多数存在するわけです。さて、皆さんもご存知のように、最近オイルの下落が目立ちます。それなら航空会社が買える、と結論する投資家が多いですが、私はキンバリークラーク買いを薦めます。
紙オムツはオイルが無くては作れない化学製品です。オイルの値下がりは、紙オムツの生産コスト減に結びつきますから、とうぜん利益が上がります。アナリストの収益予想には、最近のオイル値下がりが含まれていませんから、低めの一株利益予測が発表されています。大した結果が期待されていないわけですから、キンバリークラークの決算は、アナリストたちを驚かせることになりそうです。」
今週の焦点として、クレーマー氏はこう付け加える。「大手証券会社、ゴールドマンサックス、リーマン・ブラザーズ、それにベア・スターンズの決算発表が控えています。場合によっては、マーケットラリーの起爆剤になる可能性があります。キンバリークラークと同様に、アナリストの一株予想は低いですから、大手証券会社を買える材料は揃っています。
長い出来高の少ない夏休みが終わり、9月は本格的な取引が始まる月です。秋から証券会社の収益が好転する傾向がありますから、ゴールドマンサックスなどの大手証券会社は注目です。もちろん、決算発表を聞いて直ぐ一度に全部買うのではなく、分散して買うことも忘れないでください。」