寄付き前、海外のマーケット結果や主な経済ニュースに目を通す人が多い。もちろん、偏見を持ってマーケットに臨みたくないから、ニュースは全く読まない、という人たちもいる。それでは、ここで質問。ニュースを読む読まないに関係なく、ほとんどのトレーダーたちが寄付き前に見ているものがある。それが何かお分かりになるだろうか?
アメリカで株チャンネルと言えばCNBCだ。マーケット開始15分前にスイッチを入れると、嫌でも画面右下に表示されている数字が目に飛び込んでくる。正解はこの数字、S&P500先物指数だ。それでは、ここでまた質問。なぜ私たちは、先物指数に注意を払わないといけないのだろうか?
「先物指数マーケットは、スポーツクラブのメンバーシップのようなものです」、とザ・ストリート・ドット・コムのトレーシー・バーンズ氏は言う。「スポーツクラブの会員になると、契約に毎月の会員費が100ドルと記されていれば、その通りに私たちは100ドルを支払います。2カ月後、3カ月後も費用の100ドルは変わりません。ですから、5カ月目だからといって、100ドルが105ドルになることもありえません。
先物指数もスポーツクラブと同様です。金の先物で説明しましょう。もし、あなたが宝石店を経営していた場合、クリスマスに金の値段が上がりそうだ、と予測するなら先物市場で金を買うことができます。こうすることで、将来の金価格に関係なくコストを一定させることができます。
株をやる人たちが気にしている、S&P500先物指数とはいったい何なのでしょうか?簡単に言ってしまえば、S&P500は株式市場が上がるか下がるかを賭けるゲームです。S&P500指数は、株式市場が始まる前から取引されていますから、S&P500の動きを見ることで、少なくとも株式市場がどう寄付くかが予測できます。」
インテル、マイクロソフト、ゼネラルモーターズなどのS&P500指数を構成する銘柄は、アメリカの株式市場だけでなく、海外の株式市場でも取引されている。だから、これらの銘柄が海外で買いを集めるとS&P500指数も上がり、米国株式市場は前日の終値より高く寄付くことになる。逆にマイクロソフトなどが海外で売られるとS&P500指数も下がり、米国市場は弱めな寄付きになるわけだ。
金の例を挙げたように、銘柄によっては先物商品市場に注意を払う必要がある。アドバイザーのジェーク・バーンスタイン氏はこう語る。「最近フェルプス・ダッジ社の株価が上がりましたが、これは先物市場で銅が値上がりしたためです。食品会社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドに投資するなら、トウモロコシの先物市場にも気をつけることが大切です。」