テクニシャンの中のテクニシャン、と呼ばれるマーチン・プリング氏は、テクニカル分析の第一人者だ。先日、チャールズ・シュワブのグレッグ・ミラー氏がプリング氏をインタビューした。その内容の一部を紹介しよう。(Gはグレッグ・ミラー氏、そしてMがマーチン・プリング氏)
G: トレーダーが、一番初めにしなければいけないことは何ですか?
M: 個別銘柄を検討する前に、トレーダーがしなくてはいけないのは、マーケットのトップダウン分析です。先ず、マーケット全体の様子をつかんでください。そして各セクターの分析です。個別銘柄を見るのは、それらが終わってからです。
G: トレーダーを待ち受ける罠には、どんなものがありますか?
M: スマートにトレードをするためには、客観的な態度でマーケットを見なくてはいけません。苦労して稼いだ資金ですから、冷静にトレードしろ、と言われてもなかなか難しいものです。トレーダーが最も陥りやすい罠は、感情に支配されてしまうことです。投資心理と株価には密接な関係があり、これを表したのがチャートです。簡単に言ってしまえば、冷静に客観的なチャート分析ができれば、適切な場所での売買が可能になります。
G: トレードに付き物のリスクにどう対応するべきですか?
M: リスクにどう対処するのか?言い方を換えれば、どうやって損を最小限におさえるか、ということになります。株価が逆に動いた場合、どこで損切るかを、あらかじめ決めておくことが大切です。買いを例にすなら、サポートレベルがどこにあるかを確認します。もし株価がサポートを割るなら、迷わず損切らなくてはいけません。サポートレベルができやすい場所は、以前の高値や安値、ギャップ、それに移動平均線やトレンドラインです。繰り返しますが、損は最小限におさえなければいけません。間違って50%の損をしてしまえば、次のトレードで100%の儲けを出さないと穴は埋まりません。
G: 利食いのポイントはどう決めたらいいですか?
M: リスク・リワード比の考慮が重要です。リスクが1なら少なくともリワードが3以上見込めない限り、そのトレードをしてはいけません。たとえば、20ドルで株を買い、19ドルに損切りを設定したとしましょう。リスクが1ドルですから、利食いの目標値は23ドルです。ですから、23ドル以下にレジスタンスレベルがあるようなら、その株は買えません。
G: 目標の23ドルに届かず、株価が勢いを失ってしまった時はどうしますか?
M: チャートパターンに注目してください。リバーサル・パターンが出来上がるようなら、直ぐ売ることが肝心です。
G: 多くの人たちは買いが中心ですが、空売りをどう思われますか?
M: 空売りが魅力的なのは、株価の下げは上げよりも速い、ということです。もちろん、空売りには怖い話もたくさんあります。たまに聞くのは、空売っていた株が突然買収されてしまうことです。一気に暴騰ですから、口座に大打撃を与えます。(理論的に、10ドルの株を空売った場合、最高に儲けても10ドルを超えることはない。しかし、買収なら10ドルが35ドルになってしまうこともある。)
G: プリングさんは、トレーダーの教育もされていますが、主にどんな手法を教えているのですか?
M: モメンタムトレードとスイングトレードです。トレンドやチャートパターンだけでなく、オシレーターも利用して、株価が買われ過ぎなのか、それとも売られ過ぎなのかを確認します。オシレーターの良い点は、大衆の心理を見ることができます。
G: 最後に効果的なスイングトレード方法を教えていただけませんか?
M: ブレイクアウトでの買いが効果的です。注意することは、オシレーターが既に買われ過ぎレベルなら、あまり大きな利益は望めません。