トレード計画無しでマーケットに臨むのは、トレード失敗計画をたてたのと同じことだ、とベテラン・デイトレーダーのハービー・ウォルシ氏は言う。ナスダック銘柄を中心にトレードする氏は、時おり新人トレーダーの個人指導もしている。「多くの人たちをコーチしてきましたが、ほとんどの新人は同様な間違いを犯します。失敗から学ぶ重要性が強調されていますが、なにもそれは自分の失敗に限られたことではありません。他のトレーダーが犯しやすい間違いを、あらかじめ知っておくことはトレードの向上に役立ちます。」ウォルシ氏の指摘する、トレーダーが失敗する原因のいくつかを見てみよう。
1、トレード方法が複雑すぎる。
あまりにも末梢的なことを気にするトレーダーが多い。すべての細かい点まで考慮していたら、トレード方法が複雑になり、トレードを必要以上に難しくしてしまう。最初は簡単な方法で始めるのだが、一度損を出したり、思ったような成果が上がらないと、トレーダーはさっそく手法の改善を試みる。これが結局トレードを複雑にしてしまうわけだ。
どんなに優れたトレード方法でも百発百中はありえない、という当たり前な事実を覚えていてほしい。一度や二度の失敗で、簡単にトレード方法に手を加えることはやめた方が無難だ。それよりも徹底的に同じやり方でペーパートレードを重ねて、手法の確実さを検証しよう。二連敗、三連敗ということが起きても、通算でプラスならそのトレード方法は使いものになる。
2、トレード手法の頻繁な乗り換え。
これは上記1に関連し、ほとんどの場合、損がきっかけになる。繰り返すが、この世の中にパーフェクトなトレード方法は存在しない。しかし、損が続くと多くのトレーダーは完璧な手法探しを始める。セミナーからセミナーへ、新ソフトウェアの購入、ニュースレターの新規購読、幻のトレード方法を求めて出費ばかりが増えていく。
なぜトレーダーは、こんな無駄な努力に金と時間を費やすのだろうか?簡単に言ってしまえば、現実を直視できないのが問題だ。ソフトウェアから出される買い、売りシグナルだけで、マーケットは簡単に儲けさせてくれない。この事実を受け入れられない限り、永久に手法探しが続くことだろう。勝率の高い方法を手に入れたら、それを完全に自分のものにすることが重要だ。
3、トレード計画が無い。
細かいトレード計画をたてる前に、トレード目標を明確にしてほしい。ただ、漠然と儲けたいでは困る。あなたは儲けた金で何をしたいのだろうか?
トレード方法によってチャートパターンは異なるが、事前にエントリーポイント、脱出ポイント(損切りも含める)を決め、実際に日誌の形で記録しよう。ノートに書き残すことでマーケット終了後に復習することができるから、トレード上達に有益であることは言うまでもない。売買ポイントだけでなく何株買うのか、といったポジションサイズもあらかじめ決めておこう。