2006年1月11日、475ドル11セントだったグーグルの株価は、先週金曜383ドル36セントで取引を終えた。約19%の下落だが、なぜ今年グーグルは低迷しているのだろうか?「原因は経営陣です」、と言うのは経済コラムニストのマーク・ギルバート氏だ。経営陣?何かヘマをおかしたのだろうか?少し説明を聞いてみよう。
2005年2月14日を境に、自社株売りの制限が無くなったグーグルは、会社関係者たちによる持ち株の投げ売りが顕著だ。8月9日現在、会社インサイダーたちが処分した株数は、なんと2300万株に及んでいる。ドルに換算すれば74億ドルにのぼり、2004年8月、一株85ドルの新規公開で集められた資金の約三分の一が売られたわけだ。
自社株売りは、もちろん犯罪ではない。グーグルを1190億ドルの企業に成長させた幹部の功績は、称賛されるべきであり、持ち株を売って新居の購入、一家揃っての旅行に使うのは当たり前の行動だ。
しかし、一つ気になることがある。ブルームバーグ社の調べによれば、2005年2月14日以来、グーグルの会社内部者は自社株を売ることはあっても、誰一人として自社株買いを実行していない。グーズマン・アンド・カンパニーのアナリスト、フィリップ・レメック氏は、グーグルに売り推奨を出す極めてまれなアナリストだ。しかし、氏の意見を圧倒的に支持しているのは、グーグルの内部者ではないだろうか。
自社株売りに、最も積極的なのは、会社を創立したラリー・ページ氏とサーゲイ・ブリン氏の二人だ。売り総額は、ページ氏が20億ドル、そしてブリン氏が19億ドルだ。他には、上級副社長オミッド・コルデスタニ氏が11億ドル、役員のラム・シリラム氏が6億5000万ドル、そして最高財務責任者のジョージ・レイエス氏が2億ドル相当を手放している。
グーグルに売り推薦を出すアナリストが少ないことは上記したが、今月の様子を見ると、強い買い推奨を出しているアナリストは11人、買いが21人、ニュートラルが3人、売りはたった2人だ。これだけ強気意見が多いのは、サーチエンジン業界では、グーグルがなんと言ってもナンバー1だからだ。2005年、36.9%のサーチエンジン市場を占めていたグーグルは、今年44.7%まで率を上げている。
低迷する株価も、アナリストはグーグル買いの一理由にあげている。2007年度に予想される一株利益を使って計算すると、現在のPER(株価収益率)は29だ。グローバル・クラウン社のアナリストによれば、PERが40になるまでは買えるというから、少なくとも525ドルの株価を予測しているわけだ。
季節的にグーグルは買える、と言うアナリストもいる。まだ歴史の浅いグーグルだが、ここまでの株価推移を振り返ってみると、2004年第4四半期は+50%、そして2005年の第4四半期は30%以上の上昇だ。はたして今年も同様な結果となるだろうか?