レッグ・メーソンのファンドマネージャー、ビル・ミラー氏に危機が訪れている。15年間連続で、S&P500指数以上の成長率を記録してきたが、いよいよ連続記録がストップしそうだ。モーニングスター社の調べによれば、今年ここまでミラー氏が指揮をとるバリュー・トラスト・ファンドは10.14%の下落を示し、+2.78%のS&P500指数を下回っている。
なぜ、ミラー氏は今年不調なのだろうか?間違った銘柄を選んだからだ、と当たり前な回答をすることもできる。しかし、バロンズ誌は変わった見方をしている。バリュー・トラスト・ファンドが低迷しているのは、ミラー氏が超豪華ヨットを買ったからだ、というのだ。
言うまでもなく、ファンドマネージャーは投資者たちに利益を与えることが最も重要だ。そんな立場にいる人間が、投資者を優先させることを忘れ、船内のインテリア選びに忙しくしているようなら、そのファンドからは大した利益を見込むことができない。だから早々に解約した方が得策、というわけだ。
アメリカでは昔から、豪華ヨットが贅沢度のモノサシとして使われてきた。豪華ヨットを買う人は、単に金持ちというだけでなく、金が有り余っている。だから、もうこれ以上稼ぐ必要はいっさい無い。多くの企業が小型ジェット機を購入しているが、これは遊びのためではない。素早く移動して、ビジネスを効率化させるのが目的だ。豪華ヨットはノンビリと浮いているだけだから、暇人以外には使い道が無い。
1940年に発行された「Where Are the Customers' Yachts? (顧客のヨットはどこ?)」は、証券業界を痛烈に批判した一冊だ。もしこの本が今日発行されたなら、たぶん題名は「ミューチュアルファンド加入者たちのヨットはどこ?」、になったことだろう。
アメリカで一番大きな豪華ヨットを所有するのは、オラクル社の最高経営責任者、ラリー・エリソン氏だ。豪華ヨットを購入した2004年から、オラクルの株価とS&P500指数を比べてみると、オラクルは常にS&P500指数に負けている。(下がチャート。赤がS&P500指数。)
二番目に大きな豪華ヨットを所有するのは、マイクロソフトの共同創立者、ポール・アレン氏だ。もう一つ付け加えれば、アレン氏は全米で四番目に大きな豪華ヨットも所有する。1998年以来、アレン氏はチャーター・コミュニケーションズの会長を務めているが、株価の方は目もあてられない状態だ。2000年1月、チャーター・コミュニケーションズは17ドル75セントで取引されていたが、今日現在株価はたったの1ドル40セントにしかすぎない。
バリュー・トラスト・ファンドは本当に見込みがないのだろうか?バロンズ誌によれば、使っていない時は、ミラー氏は豪華ヨットを貸して料金稼ぎをしているようだ。そんなことをポール・アレン氏はしていないから、バリュー・トラスト・ファンドにはまだ希望があるかもしれない。
(注:上記はバロンズ誌とスレート・ドット・コムの要約です。)