あまりにも単純な質問をされると、意外と回答に窮するものだ。投資心理の研究で有名な、ブレット・スティーンバーガー氏の元には、毎日様々なメールが送られて来る。その中の一つに、こんな質問があった。「株のトレードで損を出すことは、どうしてこうも簡単なのですか?」それは、あなたのやり方が間違っているからです、と技術的な面を強調することもできる。しかし、ブレット・スティーンバーガー氏は少し違った見方を発表している。早速いくつか見てみよう。
1、銘柄が大衆に馴染み深いものであればあるほど儲けが低くなる。
アメリカの個人投資者が最も好むのは大型成長株だ。たとえば、2003年の5月に大型成長株に投資する上場投信を買ったとすると、今日現在22%の利益がある。もし小型株に投資する上場投信なら、74%の利益が上がっている。アメリカ人に馴染みが無いのは外国株だ。しかし、日本株の上場投信を買っていれば+101%、そしてドイツ株の上場投信なら+99%の儲けがある。
2、増え続ける上場投信数はマーケットに悪影響。
スパイダー(SPY、S&P500指数の銘柄に投資する上場投信)で説明しよう。2000年以来、スパイダーの出来高はコンスタントに増えているが、逆にボラティリティは減少している。なぜだろうか?出来高が増えると裁定取引も増し、これがボラティリティを低下させる原因になった。そのためマーケットに、はっきりしたトレンドが現れにくくなり、トレードが難しくなった。
3、マーケットにマイナーリーグは無い。
野球の場合なら、大リーグに行く前には先ずマイナーリーグで実績を作る必要がある。だから初日から、大リーグのピッチャーに遭遇するようなことは決して無い。しかし、トレーダーはいきなり最初から大リーガーと対戦することになる。素人トレーダーには、ヘッジファンドのような膨大な資金、情報網、それにコンピュータを駆使した高度な売買手法が無い。こんな不利な条件で始めるのだから、とにかく徹底的にトレード知識で武装することが肝心だ。
トレードのヒントとして、スティーンバーガー氏はこんな統計を付け加えている。二人のトレーダーがいたとしよう。両者ともスパイダー(SPY)を買うのだが、一人はSPYが上がっている時だけにマーケット終了間際に買い、他者は下がったいる時だけに大引けで買う。どちらが良い成績を残しただろうか?
正解は下がった日に買う方法だ。1996年から今日までを見ると、上がった日に買うと一回平均の利益は0.01%、そして下がった日に買う場合は、一回平均の利益は0.20%だ。とかくマーケットが上がると買いたくなるが、実際は下げた日に買った方が効果的なわけだ。