イギリスでのテロリスト逮捕ニュースは、空港の警備体制を一段と厳重にさせる結果となった。夏休みの観光シーズンに起きたテロ未遂だけに、アメリカの主要国際空港は大混雑だ。
報道されたように、テロリストは液体の爆発物利用を計画していたから、水気のある物は、手荷物として機内へ持ち込むことが禁止された。だから、ウイスキー、香水、うがい液、日焼けローションなどは全て持ち込むことができない。手荷物検査がされる場所には、大きなゴミ箱が設置され、シャネルなどの高級香水が投げ捨てられている場面が放映されていた。
もちろん、手荷物として機内に持ち込めないだけだから、あらかじめスーツケースに入れてチェックインしていまえば問題は無いらしい。しかし、ここで気になるのが免税店だ。アメリカからのおみやげとして、ワインやウイスキーを買う人が多い。ご存知のように免税店で買い物をすると、品物は飛行機の登場ゲートで受け取る仕組みになっている。液体の持ち込みは完全に禁止された今日、いったい免税店はどうしているのだろうか?
260億ドルにおよぶ免税店業界の扱う品物は、アルコール飲料、タバコ、香水だけに限らず衣料品や家電製品も取り扱っている。国際免税店協会のマイケル・ペイン氏はこう語る。「たしかに免税店は多くの品物を販売していますが、何と言ってもアルコール類と香水が人気商品です。全売上の半分以上は、アルコールと香水です。今回の手荷物規制で、ブラジルとアルゼンチンの免税店は、アルコールと香水の販売を中止しました。」もう一つ付け加えれば、テロリストが逮捕されたイギリスでは、ロンドンのヒースロー空港でアルコールや香水の販売が規制されただけでなく、英国航空はそれらの機内販売も中止した。
それでは、アメリカの免税店はどうだろうか?ロンドンやブラジルを見習っているだろうか?答えは「ノー」だ。極端な言い方をすれば、米国の免税店は、手荷物規制を完全に無視している。手荷物検査で、好きなウイスキーを没収された人でも、免税店で購入すれば以前と同様に搭乗口で受け取って、機内へ持ち込むことができる。CNNニュースのインタビューで、国土安全保障局のアン・デービス氏は、「登場口で品物を受け取るのではなく、機内で受け取るようにするべきだ」、と述べている。
国際免税店協会のペイン氏も、デービス氏の意見に賛成だが、さらにこんな提案もしている。「旅行客は出発する空港の免税店を利用するのではなく、降機する空港の免税店で買い物をするようにすれば、テロ問題を防ぐことができると思います。あるいは出発する空港で買い物をして、実際の品物受け取りは降機地の免税店で行うことも可能だと思います。」