欧州中央銀行、そしてイングランド銀行による金利引き上げ。金曜は米国雇用統計の発表、更に来週はFOMC(連邦公開市場委員会)もあるから投資者は心配だ。こんな不安定な状況で、投資アドバイザーは、どんなことを推薦しているのだろうか。ビジネスウィーク誌に掲載された、クリス・ジョンソン氏(シェイファーズ・インベストメント・リサーチ)の意見を少し見てみよう。
7月末、インフレに関するバーナンキ連銀議長のコメント、それに第2四半期のGDPはマーケット上昇材料になった。これで8月に利上げは無い、と判断した人が増えたためだが、それでは8月に利上げが実施されたらどうなるだろうか?失望売りを呼ぶのではないだろうか?まだマーケットは20月移動平均線に支えられているが、失望売りが強烈なら、ブレイクダウンの可能性がある。
全体的に、投資者たちは悲観的だ。ミューチュアルファンドへの資金流入量、株オプションのプット・コール・レシオ、ボラティリティ指数などからも分かるように、大衆は株式市場に対して悲観的な見方をしている。ファンダメンタル的に買える材料も乏しいから、連銀による金利引き上げ政策終了が大きな鍵になると思う。
決算シーズンもほぼ終わり、65%に近い企業は予想以上の利益を発表した。今年後半の見通しも思ったほど悪くないが、投資者の目から見ればガッカリな内容だ。それだけに、来週のFOMCから、はっきりとした連銀の金利政策が読めれば、投資者はマーケットに戻ってくるだろう。もちろん、たとえFOMCが好材料になっても、多くのレジスタンスレベルが控えているから、一本調子の上げはありえない。
現在のマーケットが不安定だからといって、買えるものが全く無いわけではない。人気の無いセクターだから、買いを推薦するアナリストが少ないが、電話会社や電力会社には魅力的な銘柄がある。例えば、電話ならAT&T(T)とベル・サウス(BLS)の二社、そして電力ならアメリカン・エレクトリック・パワー(AEP)だ。
テクノロジー銘柄は買えるだろうか?かなり下げた銘柄も目につくが、大型テクノロジー銘柄は、まだ買い時期が来ていない。たとえば、95%のアナリストが買い推奨をマイクロソフトに出していたが、その数値は70%台に下がっている。しかし、まだ高すぎる。半数以上のアナリストが、ホールド(中立的立場)以下の格付けをしないかぎり、完全に売り物は出尽くしたとは言えない。
マイクロソフト以外でも、インテル、シスコ、デル、ヤフー、グーグルなどは空売り残が少なすぎる。これらの銘柄に、現在ある空売りを全て買い戻すには二日とかからない。買い候補になる銘柄には、空売り買い戻しに、通常6日から7日の日数が必要だ。
注:「マーケットは20月移動平均線に支えられているが」、とジョンソン氏が指摘するマーケットはS&P500指数のこと。しかし、既にナスダック指数は20月移動平均線を割っているため、氏はS&P指数のブレイクダウンを心配している。