米国不動産は、完全に買い手市場になった、とトップ・セールスマンたちがCNNのインタビューに答えている。住宅市場の低迷が顕著になり、とにかく家が以前のように売れない。実際の数値を挙げよう。現在アメリカには、去年の同時期を39%も上回る、370万件の住宅が売りに出されている。専門家の見方によれば、これを全部売り切るには、6.8カ月の時間が必要だ。(去年は平均で4.4カ月だった。)
「今年ここまでを振り返ってみると、株式市場で目立つのは、商業用不動産に投資をしているファンドです」、と経済コラムニストのティム・ミドルトン氏は言う。「REIT(リート)と呼ばれる、不動産投資信託が好調です。平均で12.8%の利益があり、二桁の上昇率は最近7年間で6回あります。」一般住宅は冴えないが、商業用物件は、まだ伸びるのだろうか?ミドルトン氏の話を続けよう。
「不動産投資信託も、そろそろ危ない、という声を聞くようになりましたが、今日のような環境でも、不動産を完全に諦めることはありません。連銀の金利政策が、アメリカを不景気にしてしまう、と心配する人たちが大勢います。T・ロウ・プライスのファンド・マネージャー、デービッド・リー氏によれば、たとえ金利が上昇しても、商業用不動産は十分な成長が見込めるようです。
金利引き上げ=不況、と直ぐ思ってしまいがちですが、ここ10年、20年を振り返ると、深刻な不景気は無くなり期間も短くなっています。それだけ、連銀の対処方法が適切になっている、ということができると思います。
もう一つ指摘したいのは、株式市場が不調なため、既に現金化された大量な資金の存在です。不動産投資信託のニュースレターを発行しているバリー・ビノカー氏の調べによると、1000億ドルを超える資金が、商業用不動産に流れ込む可能性があるようです。」
大きく分けると、不動産投資信託にはオフィスビルや倉庫、工場などに投資するもの、小売店ビルに投資するもの、そしてアパートやマンションに投資するタイプがある。好調なのがオフィスビルとアパートだ。今年すでに20%以上の利益が出ている。逆に不調なのは小売店ビルで、今年ここまでの利益は3%から10%ほどだ。
主な不動産投資信託を記そう。
Vanguard REIT Index (VGSIX):過去5年間の平均年間利益は18.9%。
iShares Cohen & Steers Realty Majors (ICF):過去5年間の年間平均利益は20.5%。
T. Rowe Price Real Estate (TRREX) :過去5年間の年間平均利益は21.1%。
Cohen & Steers Realty Shares (CSRSX):過去5年間の年間平均利益は20.7%。
Phoenix Real Estate Securities (PHRAX) :過去5年間の平均年間利益は20.6%。