金が26年ぶりの高値、739ドル20セントを記録したのは5月12日のことだった。その後を見てみると、6月14日、569ドル90セント、7月17日、663ドル70セント、そして7月24日が615ドル10セント、と激しい動きを展開している。
ロバート・キヨサキ氏、といえば不動産で有名だが、こんなことを語っている。「私は今、金市場に買い手として参加しています。ここが底値でしょうか?まだ下がるかもしれません。しかし、500ドル台に下落するような事態が起きれば、迷わずに更に買い足すまでです。」
不動産の専門家が、なぜ金投資を推薦するのだろうか。ここで、キヨサキ氏は面白い話を持ち出している。さっそく聞いてみよう。
「1996年のことですが、私は金鉱採掘会社を中国に創立し、銀鉱採掘会社を南米で始めました。最終的に、両社ともカナダの証券取引所に上場されました。会社を始めた理由は、金と銀は安すぎる、と思ったからです。当時、金は1オンス当たり275ドル、銀は1オンス約5ドルでした。もちろん、私の見方が間違っていたら、会社は倒産したことでしょう。
私は、金と銀に無謀な賭けをしたのではありません。勝算はありました。1996年、原油は1バレル10ドルでした。これも、あまりにも安い値段です。また、ドルが極端に強かったですから、もし原油が上昇しドルが下がるなら、私は金と銀が上がることを直感しました。
今日の情勢を見てください。膨大な貿易赤字を抱えるアメリカ、いまだに続くイラクでの戦争、不安定なドル、そして上昇するオイル、と金銀買い材料ばかりです。
現在の状況は、1996年より悪い状態です。ドルの需要が減っているのですが、連銀はドルの供給量を増やしているようです。ご存知のように、低需要を無視して供給量を増大させると、その商品の価値は下がります。もし連銀が、本当にドルを下げたくないなら、バーナンキ議長は金利を真のインフレ率以上に引き上げる必要があります。
このまま連銀がドルの供給を増やし続けると、インフレは悪化し、ドルは大きく下落すると思います。だからと言って、金利引き上げ政策の継続は、アメリカ経済を弱らせ、不況を引き起こすことになるでしょう。もちろん、金利引き上げ継続は、ドルの下げにブレーキをかけることになりますから、金銀には悪材料です。しかし、ドルを救うことができても、高金利が経済に良いわけがありませんから、株式市場は低迷することになります。」
歴史的に見ると、オイルを1バレル買うには、2.2グラムの金があれば十分だったが、今日1バレル買うには、3.4グラムが必要になる、とキヨサキ氏は言う。「これは、オイルが高すぎるのでしょうか、それとも金が安すぎるのでしょうか?私にとって、答えは明確です。金が安すぎるのです。」