弁護士を目指して、ボストン大学の法学部に入ったところまでは良かった。しかし、講義は退屈でたまらない。けっきょく数カ月で中退、という経歴を持つのはデイトレード・チーム・ドット・コムの創始者、アンディー・スワン氏だ。
スワン氏がトレードを始めたのは、全米がブルマーケットで沸いていた1998年だった。以前から株には興味があったから、さっそくオンライン証券会社に口座を開設した。「初めて買いのボタンをクリックした瞬間から、私はトレードの魅力にとり付かれてしまいました。トレードの回数が増えるほど、自分のトレード知識不足を痛感しましたから、ありとあらゆる本を読みました。」
デイトレードが主体の、スワン氏が読みあさった本の9割9分はテクニカル分析に関するものだ。もともと理数系に強いスワン氏、数式が頻繁に出てくるテクニカル・アナリシスは性格とうまく合ったようだ。
さて、スワン氏のトレードは順調に進んだのだろうか?「ひじょうに強いマーケットでしたから、素人でも簡単に儲けることができました。あの頃は、今のようなデイトレードの資金規制がありませんでしたから、約1年で2000ドルで始めた口座が4万8000ドルになりました。本当に夢のようなマーケットでしたが、私も大衆といっしょになって、こんな相場が永久に続くと信じていました。」
2000年、米国株式市場は頂点に達し、インターネット株を筆頭にして大幅な下落が始まる。具体的な金額は分からないが、スワン氏も多大な被害を受けた。「ダウントレンドの恐ろしさを身をもって経験しました。しかし、下げ相場で利益を上げる方法があることも学びました。たしかに苦しい経験でしたが、トレード技術を向上させることができたのです。」
損を出すのは面白くない。しかし、スワン氏はこう忠告する。「特にトレードを始めて間もない人が陥りやすいことですが、損をすぐに取り戻そうと躍起になってはいけません。誰でも、次の取引で一気に挽回しよう、と思うものですが、これが更なる損を呼びます。焦りは良い結果に結びつきません。前回のトレードに関係なく、冷静にルールに従ってトレードすることが大切です。」
スワン氏が、最も好んで利用する指標は何だろうか?「MACD、ストキャスティクス、CCI、色々な指標がありますが、これらを利用しても、他のトレーダーに大きな差をつけることはできません。ですから私は、マーケットを幾何学的な立場から分析するようにしています。」
デイトレードを志す人たちに、スワン氏はこう勧める。「先ず徹底的にペーパートレードをして、トレード技術を身につけてください。一日で大きく儲けよう、といった態度は捨ててください。口座の残高ばかりに注意を払うのではなく、トレーダーが集中しなければいけないのは株の値動きです。」
あらゆる本を読みあさったスワン氏、おすすめは「テクニカル・アナリシス・オブ・ザ・ファイナンシャル・マーケッツ」(ジョン・マーフィー著)だ。