悪いニュースなら山ほどある。中東問題、北朝鮮のミサイル、オイル、短期金利、それに不安な企業収益、これだけあったら株は買いにくい。その他にも、下降が続く住宅市場、そして個人消費減少の兆しも見えるから、株はますます買いにくい。
周期的な理由もある。ストック・トレーダーズ・アルマナックの資料によれば、過去18年間、8月はS&P500指数にとって最悪な月だ。ダウ指数やナスダック指数にとっては最悪な月ではないが、8月は二番目に悪い月だから、どちらにしても良い話ではない。
「特に夏は、買い手に不利なマーケットです」、と言うのはレッグ・メーソンのトム・シュレーダー氏だ。「弱いマーケットですが、この状態は秋まで続くものと思われます。」
正に先週のマーケットは弱さが顕著だった。三日間でダウ指数は400ポイント近い下げだったから、強気な人でも心配になったことだろう。「短期的に見た場合ですが、マーケットは明らかに売られすぎです。小さな反発が何度か起きることでしょうが、全体的な流れは変化しないでしょう。ですから、8月、9月は下げ相場です」、とハリス・プライベート・バンクのジャック・アブリン氏もシュレーダー氏に賛成だ。
と書いてくると、「秋まで休め!」、と言っているように思われるかもしれないが、現在のような状況でも株を買っている投資者は当然いる。どんな理由で買っているのだろうか?理由のいくつかを見てみよう。
こんなオイル高では株は買えない、という投資者が多い。たしかに、インドや中国でのオイル消費量が大きく増大し、中東問題もオイル価格に悪影響だ。しかし、BPの最高経営責任者、ロード・ブラウン氏はオイル価格は現在の75ドル台から40ドル台への下落を予想している。
インフレも株を買えない理由の一つだが、ここ12カ月間で、消費者物価指数は4.1%の上昇だ。動きの激しい食品とエネルギーを除けば、上昇率はたった2.4%になり、オイル価格が安定すれば、物価指数は3%以下に下がる可能性が十分にある。
それでは、アナリストは実際にどの銘柄を推薦しているのだろうか?半導体装置の大手、アプライドマテリアルズ(AMAT)が割安だという。現在の株価収益率はかなり低いから、超格安ということらしい。
鉄道のバーリングトン・ノーザン(BNI)を推すアナリストも多い。高いオイルが、この銘柄の買い材料だ。輸送手段としてトラックと鉄道を比べると、鉄道の方が圧倒的にエネルギーコストの面で優勢だ。現に最近の四半期を見ると、バーリングトン・ノーザンの輸送量は19%増えている。
P&G(PG)やゼネラルエレクトリック(GE)も買い候補に挙げられているが、アナリストの言うことには一つの共通点がある。「マーケットの低迷が続き、魅力的な株価に達している銘柄が目立つようになった。長期投資者にとって、割安な株を拾うことのできる環境が揃いつつある。」