バリュー株という言葉がある。簡単に言ってしまえば割安株のことだ。成長率、収益、資産性などを分析して正当な株価を算出し、もし現在の株価が、算出された株価を下回るようなら、割安というわけだ。
なぜバリュー株が出現するのだろうか?こんな質問を、一般のアメリカ個人投資家にすると、次のような答えが返ってくる。「バリュー株は、大きく叩き売られた株のことです。以前は人気株だったかもしれませんが、予想を裏切る決算やアナリストの悲観的なコメントで、株価が異常な水準まで落ち込んでいます。ですから、そんな株には、誰も見向きしません。」なかなか的を得た説明ではないだろうか?
割安株を狙う投資者は多い。しかし、バリュー株を専門に投資する、デルファイ・マネージメントのスコット・ブラック氏はこう語っている。「最近、割安株を見つけることが、とても難しくなっています。」決して調子が良いとは言えない今日の株式市場、特に半導体や小売銘柄の下げがひどい。これだけ売られたら割安、と思ってしまうが、どうやらそうではないらしい。
何故バリュー株が、なかなか見つからないのだろうか?USAトゥデイのマット・クランツ氏の説明を記そう。「バリュー株が本当に割安かを確かめるには、成長株と比較してみる必要があります。スタンダード・アンド・プアーズ社スモールキャップ600バリュー株指数には17.2の株価収益率(PER)があります。そして、スタンダード・アンド・プアーズ社スモールキャップ600成長株指数のPERは17.1です。ほぼ同一の株価収益率ですから、これではバリュー株に魅力がありません。
スタンダード・アンド・プアーズ社以外にも、ウィルシャー・アトラス社が割高なバリュー株を指摘しています。2000年末、大型バリュー株の株価収益率は、大型成長株の株価収益率を15.1ポイント下回っていました。今日、両者の違いはたった5.8ポイントだけですから、これではバリュー株投資家たちが積極的に動けません。」
今年の成績を見てみると、ラッセル3000バリュー株上場投信は+6.6%、そしてラッセル3000成長株上場投信はマイナス1.8%だ。この数値が意味するのは何だろうか?クランツ氏の話に戻ろう。
「割安株が買われ始めると、とうぜんの結果として株価が上がります。これは更なる買い手を集めることになり、株価の上昇が続きます。今年だけで、人気バリュー株のヒューレットパッカードは+13.7%、オフィスデポは+15.5%、そしてJCペニーは24.1%の上げです。」ようするに現在のアメリカ市場では、バリュー株が成長株化し、成長株がバリュー株化しているようだ。