皆さんが既にご存知のように、株を分析するにはファンダメンタル・アナリシスとテクニカル・アナリシスの二つがあります。どちらが優れている、劣っているということではありませんが、デイトレードにファンダメンタル・アナリシスは役にたちません。その理由を見てみましょう。
ファンダメンタル・アナリストが丹念に調べるものに、決算報告書があります。この会社は儲けているのだろうか、それとも損を出しているのだろうか?もし儲けているなら、利益は増え続けているのだろうか、それとも減少の傾向にあるのだろうか?もし損を出している場合なら、損額は増大しているのだろうか、それとも損出に減少の兆しがあるのだろうか?
ZZZという会社があったとしましょう。先回の収益減少は一時的なものであり、今期は好決算が期待できます。この情報だけで、デイトレードができるでしょうか?答えは「ノー」です。もし、あなたと同様なファンダメンタル情報を持つ人たちが、寄付きで一斉に買いを入れたらどうなるでしょうか?たぶん、ギャップアップ(窓)を起こすことになると思いますが、ここでいきなり買っていいのでしょうか?
そんな時は、PER(株価収益率)に注意を払えばよい、と言うファンダメンタリストもいます。たしかに、PERは割高割安を測るために使われますが、これもデイトレードでは役にたちません。勢いのある人気株には、平均以上のPERがありますから、割高という結論になってしまい、とうぜん対象銘柄から外されてしまいます。
野村証券のホームページで「株価収益率」を検索すると、こんな回答が出てきます。「株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度である。一般的には、市場平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断する場合が多い。どのくらいの株価収益率が適当かについての基準はなく、国際比較をする場合には、マクロ的な金利水準は基より、各国の税制、企業会計の慣行などを考慮する必要がある。」
興味深いのは「どのくらいの株価収益率が適当かについての基準はなく」、の部分です。アナリストたちは、よくPERを引き合いにして、「割安だから買いだ」、といった意見を述べます。しかし、現実は適当な基準は無いわけですから、絶対的なモノサシではありません。米国が急騰するインターネット株に浮かれていた90年代、アナリストはこんな事を言っていました。「インターネット株は、従来のPERを当てはめることができない。たしかに、現在のPERは高すぎるように見えるが、将来の収益を考慮すれば、現在の株価は決して割高ではない。」
「鎌田さんは、なぜアナリストによる格上げや格下げを話題にするのですか?ファンダメンタルズはトレードに不要なんでしょう?」、といったメールをよくいただきます。その通りです。トレードにファンダメンタル的な情報は必要ありません。私が興味があるのは、格上げや格下げが作り上げるチャートパターンです。
格下げはギャップダウンを起こしますが、直ぐ一転反発することがあります。ファンダメンタルズでは買えないが、テクニカル的には買えることがあるわけです。ファンダメンタル分析を馬鹿にしているわけではありません。長期投資にファンダメンタル分析を欠かすことはできません。現に、ファンダメンタルを重視したwww.fool.com、という人気サイトもあります。肝心なことは、自分に合った投資方法や、トレード方法を見つけることだと思います。